要介護4とは?介護保険サービスと各種制度について解説

「要介護4はどのような身体の状態?」
「要介護4だとどんなサービスが利用できるの?」

など、要介護状態に関して疑問を持っている方もいらっしゃると思います。

要介護4は7段階に分かれている要介護度のなかで上から2番目に位置する区分です。しかし、「要介護4」がどのような状態なのか、具体的にイメージできない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、要介護4の状態を詳しくご紹介するとともに、要介護3や要介護5との違い、要介護4の方が利用できる介護保険サービスなどについて解説します。

1.要介護4とは?

要介護4は、7段階に分かれている要介護認定のなかで上から2番目に介護度が高い段階です。

厚生労働省の「要介護認定等基準時間の分類」によれば、要介護4は「要介護認定等基準時間が90分以上110分未満またはこれに相当する状態」とされています。
ほとんどの方は、立ち上がりや歩行、入浴、排泄などについて、介助がなければ行うことが難しい状態です。また、食事や着替え、立位・姿勢の保持が難しいうえ、思考力や理解力が低下し意思疎通が困難なことも多く、日常生活のほとんどの場面で介助を必要とします。

2.要介護3と要介護5との違い

要介護度のなかでも比較的重度となる要介護4は、要介護3や要介護5とどのように違うのでしょうか。具体的に説明します。

要介護3との違い

要介護3は、要介護4と同様にトイレや入浴、食事といった日常生活の基本動作全般において介助が必要な状態です。しかし、要介護4は要介護3よりも要介護状態が重度で、常時介助が必要な状態といっても良いでしょう。
また、人によっては要介護4でも寝たきりに近い状態の方もいます。認知症の進行もあり、身体機能だけでなく、思考力や理解力に関しても機能の低下が見られます。

要介護3について、詳しくはこちらをご覧ください。

要介護5との違い

要介護5は介護認定のなかで最も介護度が高い区分です。要介護4の方と比べて介護が必要な時間が長く、自力で身体を動かすことが難しい状態となります。

日常生活のほとんどにおいて介護が必要になるのは要介護4も同じですが、要介護4の方は一部の動作を行うことができる場合があります。しかし、要介護5になるとほぼ寝たきりのような状態で、常時介護を必要とします。

3.要介護4で利用できる介護保険サービス

要介護4の方が利用できる介護保険サービスには、どのようなものがあるのでしょうか。以下、サービスの種類ごとに整理して詳しく解説します。

在宅介護サービス

訪問介護

自宅で生活するご利用者のもとへホームヘルパーが訪問し、食事・入浴・排泄などの身体介助のサービスを提供します。また、生活援助として、衣類の洗濯や居宅の掃除・ゴミ出し、病院や薬局での薬の受け取り代行などのサービスを利用することもできます。

訪問介護について、詳しくはこちらをご覧ください。

訪問入浴介護

自宅の浴槽で入浴が困難な方に対して、ホームヘルパーや看護師といった訪問入浴のサービス提供事業者が自宅に訪問し、あらかじめ準備した特殊浴槽を使って入浴介護を行うサービスです。

訪問看護

看護師がご利用者の自宅を訪問し、病気や状態に応じて、健康や病状の悪化防止やアドバイスなどを行うサービスです。また、主治医の指示に基づき医療処置を行う場合もあります。

訪問看護について、詳しくはこちらをご覧ください。

訪問リハビリテーション

リハビリ専門職の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、日常生活の自立支援や心身機能の維持・回復といったリハビリテーションを行うサービスです。

通所介護(デイサービス)

ご利用者が通所介護(デイサービス)事業所などに通い、日帰りで日常生活の支援や、機能訓練などを受けられるサービスです。食事や入浴、生活機能を向上させるためのレクリエーションなどのサービスを受けることができます。原則として、デイサービスへの送迎は事業者が準備した車で行われます。

通所介護(デイサービス)について、詳しくはこちらをご覧ください。

通所リハビリテーション(デイケア)

介護老人保健施設、病院、診療所などに通い、理学療法士、作業療法士などによる生活機能向上の訓練やその他に必要なリハビリテーションが受けられるサービスです。通称「デイケアサービス」と呼ばれ、できる限り要介護状態になることを防ぐ、あるいは状態がそれ以上悪化しないようにすることを目的としています。

認知症対応型通所介護

認知症のある方が通所介護(デイサービス)事業所などに通い、入浴や食事の支援、生活などに関する相談、健康状態の確認、機能訓練などのサービスを受けることができるサービスです。通常のデイサービスよりも少人数で行われます。

認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)について、詳しくはこちらをご覧ください。

短期入所生活介護(ショートステイ)

数日~最長30日間までの短期間、福祉施設に入居できるサービスです。入居した施設では入浴、排泄などの介助や、健康状態に合わせた食事の提供を受けられ、期間が終わったら自宅へ戻ります。

短期入所生活介護(ショートステイ)について、詳しくはこちらをご覧ください。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

日中・夜間を通じ、訪問介護と訪問看護が一体的にまたは密接に連携しながら、安全確認のための定期巡回やナースコールによる随時通報の対応を行うサービスです。24時間いつでも連絡や相談が可能で、定額で利用できる点に特徴があります。

SOMPOケアが提供する在宅サービスはこちらをご覧ください。

SOMPOケア在宅サービス一覧

施設介護サービス

介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)

主に介護を必要とする利用者が入居し、食事や入浴、排泄の介助や掃除や洗濯など生活上の支援を受けて日常を送ることのできる施設です。

介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)について、詳しくはこちらをご覧ください。

住宅型有料老人ホーム

原則自立〜軽度の要介護者が入居し、食事の提供や掃除、洗濯など生活上のサポートを受けられる施設です。ご利用者の必要に応じて介護サービスが利用でき、さまざまなサービスを組み合わせることが可能です。
施設によっては要介護度の高い方も受け入れているところもあれば、要介護度が低い方しか入れないところもあるので、確認しましょう。

住宅型有料老人ホームについて、詳しくはこちらをご覧ください。

サービス付き高齢者向け住宅

高齢者住まい法に定められた施設で、高齢者の単身・夫婦世帯が入居できる賃貸住宅です。段差解消・手すりが設置されており、収納設備やトイレ、一人当たりの床面積が25平方メートル以上など、入居する高齢者が安心して暮らせるように設計されています。また、ケアの専門家による生活相談サービスなども受けられます。

サービス付き高齢者向け住宅について、詳しくはこちらをご覧ください。

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

自宅での生活が難しい要介護3以上の方が入居する施設で、入居者の多くは認知症のある方や重度の要介護状態の方です。受けられるサービスは、食事や入浴、排泄の介助だけでなく、更衣や口腔ケア、清拭(身体を拭いて清潔に保つ)などがあります。

介護老人保健施設(老健)

要介護1以上の方が利用でき、食事や入浴などの介護サービスに加えて、自宅復帰のための歩行訓練といったリハビリテーションのサービスを受けられます。病院に併設されていることが多く、医療体制が整っている点に特徴があります。

介護療養型医療施設

長期的な療養と常時の介護が必要な方が入居する施設です。医療的処置やリハビリテーション、日常生活上の介護を受けられます。特別養護老人ホームや介護老人保健施設に比べると、より医療環境が整っています。

ケアハウス(軽費老人ホーム)

ご家族からの援助が受けられないといった理由などにより、自宅で生活することが困難な方が入居する施設です。入浴・食事などの身体介護が提供されると同時に、掃除や洗濯などの家事援助、その他日常生活上の支援が受けられます。

ケアハウスについて、詳しくはこちらをご覧ください。

グループホーム

地域密着型サービスの一つで、要介護4の方も入居できる小規模で家庭的な雰囲気の施設です。他の入居者や介護職員と関わりを持ちながら共同生活を送ります。ただし、認知症と診断された方、また施設と同じ市区町村に住民票がある方でなければ入居することができません。

福祉用具に関するサービス

福祉用具貸与

ご利用者の日常生活における自立支援や介護者の負担軽減を図るためのサービスです。要介護4の方は、次の福祉用具をレンタルすることができます。

  1. 車いすおよびその付属品
  2. 介護用ベッドおよびその付属品
  3. 床ずれ防止用具
  4. 体位変換器
  5. 手すり
  6. スロープ
  7. 歩行器
  8. 歩行補助つえ
  9. 認知症老人徘徊感知器具
  10. 移動用リフト(つり具の部分を除く)
  11. 自動排泄処理装置

特定福祉用具販売

福祉用具のうち、その用途が貸与に適していないもの(腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分など)を購入することができます。

福祉用具について、詳しくはこちらをご覧ください。

4.要介護4の介護保険支給限度額

介護保険では、要介護区分に応じて月ごとに支給限度額が定められています。支給限度額とは、介護保険から給付される1ヵ月あたりの上限額のことです。

厚生労働省の示す居宅サービスの支給限度額は次のとおりです。

居宅サービスの支給限度額

要介護区分 支給限度額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

出典:令和4年版 厚生労働白書 ⑩高齢者保健福祉

要介護4の場合は309,380円/月です。要介護度が上がるほどサービス利用の頻度が増えるため、より多くの介護サービスを利用できるように、要介護度が上がるにつれて利用限度額が増える仕組みになっています。
支給限度額の範囲内で介護サービスを利用すれば、利用者負担は1割〜3割で済みます。ただし、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超過分はご利用者の全額自己負担となるため注意が必要です。

5.要介護4の方の障害者控除や補助金について

要介護4と判定された方は、心身機能の状態によっては障害者控除の対象となる可能性があります。また、自宅にお住まいの場合、介護保険の居宅住宅改修費を利用することで、住宅改修を安くすることができます。それぞれの内容について説明します。

障害者控除

障害者控除とは、障害のある人やそのご家族が受けることのできる税法上の制度です。これを利用することにより、所得税や住民税、相続税の負担を減らすことができます。

要介護4の認定を受けた人は、心身機能の低下だけでなく認知症の進行により、障害者控除の対象となる場合があります。控除の金額は、障害者・特別障害者・同居特別障害者の区分や自治体によって状況が異なるため、障害者認定を受ける場合には自治体に確認すると良いでしょう。

補助金

要支援や要介護認定を受け、受給条件を満たしていれば、介護保険制度から介護リフォームを行うための「居宅介護住宅改修費」という補助金を受け取ることができます。
居宅介護住宅改修費とは、要介護状態にある高齢者が居住する住宅の改修(手すりの取り付け、段差解消など)を行う場合、かかった費用の一部を介護保険が負担してくれる仕組みです。

住宅改修の上限額は、20万円/生涯(自己負担分を含む)までで、要介護区分に関わらず定額です。

例えば、改修費用が20万円だった場合、保険適用額は18万円で、自己負担額は2万円となります(利用者負担が1割の場合)。ただし、利用者の要介護状態が3段階上昇した場合や、別の住居などに引っ越した場合には、すでに使用した住宅改修の限度額がリセットされ、再度20万円まで使うことができます。

なお、20万円を超える改修を行った場合、その超過分は全額自己負担となってしまうため注意が必要です。

6.要介護4の方と同居するご家族の負担について

要介護4の方が在宅での生活を続ける場合は、24時間体制での介護が必要です。同居しているご家族だけで介護をおこなう場合、身体的にも精神的にも負担が大きくなってしまう可能性があります。
ご家族の状況によってはすべての介護を自宅で行うこともできますが、ご家族の負担やご本人の安心・安全な生活のためには、介護保険制度による在宅介護サービスの利用をおすすめします。

ただ、基本的に在宅介護サービスは24時間利用できるわけではありません。利用できたとしても施設へ入居するよりも費用が高くなる可能性があります。ご本人の状態やご家族の状況によっては、施設への入居も選択肢の一つとして検討してみるのも良いかもしれません。

7.要介護4の方は一日中介護が必要になる可能性が高い

この記事では、要介護4の認定を受けた人の状態、受けられるサービスなどについて解説してきました。

要介護4の方は常時介護が必要な状態であるため、支えるご家族の身体的・精神的負担が大きくなり過ぎてしまうおそれもあります。ご自宅で介護サービスの利用や、介護施設への入居によって、ご本人・ご家族双方の負担軽減につながり、より安心した生活を送ることができる場合もあります。ご本人の意思を尊重しつつ、状態に合った介護保険サービスの活用をおすすめします。

SOMPOケアの提供するホーム・サービスには、要介護4の方に対応したものが多数あります。ぜひご検討ください。

要介護4の方が入居できるSOMPOケアの老人ホームはこちら

要介護4の方が利用できるSOMPOケアの在宅サービスはこちら

監修・執筆

林 修造

現役の大学教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や健康保険などの社会保障にも精通している。大学で教鞭を取る傍ら、福祉系専門学校の非常勤講師を務め、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。

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