訪問介護とは?特徴や利用条件、受けられるサービス内容を解説

「訪問介護の利用料金はいくらかかるの?」
「訪問介護で受けられるサービスについて詳しく知りたい」
など、訪問介護に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

訪問介護は、ご利用者のご自宅にホームヘルパー(ケアスタッフ)が訪問して身体介護や生活援助をおこなう介護保険サービスです。

今回は、訪問介護の概要、サービス内容、利用するメリットなどを徹底解説します。訪問介護について理解が深まり、ご利用に向けて前向きに検討できるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。

1.訪問介護とは

訪問介護とは、ホームヘルパーがご自宅を訪問し、食事や入浴、服薬などの身体介護、洗濯や掃除など生活援助をおこなう介護保険サービスです。訪問するホームヘルパーは、介護福祉士もしくは介護職員初任者研修、実務者研修いずれかの資格を保持している必要があります。ただし、生活援助中心の支援については、2018年に新設された生活援助従事者研修の資格でも従事可能になりました。

訪問介護の利用条件・対象者

訪問介護は、要介護認定を受けており、ご自宅で生活している方が利用対象者となります。そのため、まだ要介護認定を受けていない方は、まず住んでいる市区町村の窓口で要介護認定の申請をしましょう。

なお、要支援1・要支援2の認定を受けている方は、「介護予防訪問介護」という形でサービスを利用することになります。あくまでも要介護の状態にならないための予防を目的としており、要支援1の方は週2回まで、要支援2の方は週3回までと利用回数に制限が定められています。

また、ここでいう「自宅」には、住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、介護サービスを直接提供していない施設も該当します。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)などに入居している方は、施設内で介護ケアサービスを受けられるため対象外となります。

訪問介護の利用料金

訪問介護の利用者負担割合が一割の場合、負担額は次のようになります。
※2022年10月時点の利用者負担額です。

訪問介護の利用料金は、サービスの提供時間によって決まります。身体介護の場合は、20分未満と20分以上~30分未満、30分以上~1時間未満、1時間以上~1時間半未満の4段階に分けられ、以降30分増すごとに料金が加算されます。

生活援助は、20分以上~45分未満と45分以上の2段階です。通院等乗降介助は、時間ではなく一回あたりの料金となります。

2.訪問介護で受けられるサービス

訪問介護で提供されるサービスは、ケアマネジャーの作成するケアプランに基づき提供されます。具体的な内容は、サービス担当者会議にて、サービスを受けるご本人、ご家族、関係する事業所間で話し合いのうえ決定します。

訪問介護として主に提供するサービスは、身体介護や生活援助、通院乗降介助の3つです。それぞれのサービス内容について確認していきましょう。

身体介助

身体介助は、食事や入浴、排泄など直接身体に触れておこなう介護のことを指します。具体的に、身体介助には次のようなサービスが含まれます。

身体介助 サービス内容
食事介助 口腔ケアや食事を摂る際の支援
入浴介助 入浴の準備、全身または部分的な洗浄
清拭 入浴ができない場合に濡れたタオルなどで身体を拭く
排泄介助 トイレの介助やおむつの交換
更衣介助 衣類の着脱など着替えの介助
身体整容 洗顔、歯磨き、整髪、爪切り、耳かき、髭剃りなど
体位変換 寝返りの介助、床ずれを防止するための姿勢交換
移乗介助 ベッドから床や車椅子に移る際の介助
歩行介助 歩行時に転倒しないように支援
外出介助 通院や日用品の買い物など外出が必要な際の支援

食事介助では、一人では食べることが難しい人に対して、声かけや食事を口に運ぶなどの介助をおこないます。飲み込みが悪い方に対しては、流動食を作ることも食事介助の一つです。

入浴介助では、ご利用者がご自宅で入浴するときの見守りや洗髪、洗身をお手伝いします。入浴できないときの手浴や足浴(手や足を丁寧に洗い血行促進等の効果を得る方法)、全身清拭なども入浴介助の一環です。

排泄の介助には、トイレやポータブルトイレ(お部屋のなかにも設置できる簡易トイレ)への誘導、衣服の着脱、排泄後の拭き取り動作等が該当します。排泄を失敗したときの後始末や、ポータブルトイレの掃除も排泄介助に含まれます。オムツ交換や陰部の洗浄なども排泄介助の一つです。

その他には、爪切りや耳掃除(※)、髪の手入れやお化粧などの身だしなみを整える整容の介助、通院・外出介助等も身体介護の対象となります。

※爪そのものに異常がある、爪の周囲の皮膚が化膿している、また耳垢塞栓になっている等、お身体の状態によってはホームヘルパーが対応できない場合があります。

生活援助

生活援助は、生活に必要な家事を自分でおこなえない場合にホームヘルパーが援助するサービスを指します。具体的に、生活援助には次のようなサービスが含まれます。

生活援助 サービス内容
洗濯 衣類を洗うところからたたんで整理まで
掃除 居室や居間の清掃
ゴミ出し ゴミをまとめた収集場所まで持っていく
ベッドメイク シーツの交換や布団の準備
料理 食事の準備や調理から片付けまで
買い物 日用品の買い出しの代行
薬の受け取り 病院や薬局で薬の受け取りの代行

洗濯の介助では、洗濯の一連の作業と収納をホームヘルパーがおこないます。ご利用者の健康状態に応じて、一緒におこなうことも可能です。

掃除の介助では、ご利用者の部屋やトイレの掃除、ゴミ出しなどが提供されます。

料理の場合は、一般的な調理と配膳、下膳をホームヘルパーが代行もしくはご利用者と一緒におこないます。

なお、生活援助は、あくまでご利用者本人の日常生活を援助するものです。そのため、ご利用者以外のご家族に関わる家事や留守番、ペットの世話、草むしりなど日常生活の範囲を超える家事については、訪問介護では受けられません。

通院等乗降介助

ご利用者が通院等を行う際に、ホームヘルパーが車の乗り降りの介助を受けるサービスを「通院等乗降介助」といいます。いわゆる介護タクシーが提供するサービスに該当します。

通院等乗降介助では、乗車と降車の介助や病院と車までの移動、受診や薬の受け取りの介助をおこないます。ただし、病院内の移動や介助は、医療サービスとして病院の看護師などが担当するため、通院等乗降介助の適用外とされています。

3.訪問介護で受けられないサービス

訪問介護のご利用を検討している方は、受けられないサービスについても把握しておきましょう。ここでは、訪問介護で受けられないサービスについて見ていきます。

ご利用者の援助に直接該当しないサービス

訪問介護は、ご利用者の日常生活を支援する介護保険サービスです。そのため、ご利用者以外のご家族に関するサービスは受けられません。

例えば、ご家族分の食事や洗濯、子どものお世話、ご利用者以外が使用している部屋の掃除、来客の対応などはご利用者の援助に直接該当しないため受けられないサービスです。

日常生活の範囲を超えるサービス

ご利用者に関わることであっても、日常生活の範囲を超えるサービスについては、訪問介護の対象外となります。

日常生活の範囲を超えるサービスとは、留守番、庭木の手入れや草むしり、ペットの世話、窓のガラス拭き、家具や家電の修理、郵便物の投函などです。大掃除や正月の準備など、特別な時期に発生する家事も、日常生活の範囲を超えるサービスとなります。

保険適用外サービスを利用したいとき

訪問介護では、介護保険制度の定めによって利用できるサービスの範囲が限られています。しかし、介護保険外サービスを活用すれば、保険適用外のサービスも受けることができます。介護保険外サービスは、介護保険が適用されず、全額自己負担で利用できるサービスを指します。介護認定を受けていない方でも、支援を受けたいときに利用できるサービスです。

具体的には、家具の移動、庭木の剪定、同居する家族分の洗濯、来客対応などの支援を受けることが可能です。介護保険外サービスを利用すれば、かゆいところに手が届くような充実した支援を要介護者、ご家族ともに受けられます。

4.訪問介護を利用するメリット

次に、訪問介護を利用するメリットをお伝えします。

  • 自宅での生活を継続したまま介護サービスを受けられる
  • 介護施設を利用するよりも費用が抑えられる
  • 柔軟にサービスの内容を選択できる
  • ご家族の介護負担を軽減できる

高齢になってもできるだけ自宅で過ごしたいと願う方は、非常に多くいらっしゃいます。訪問介護は自宅でサービスを受けられるため、できるだけ自宅で過ごしたいと考える方に最適なサービスです。

また、施設利用には入居時に必要な初期費用など、ある程度まとまった費用も必要になります。その点訪問介護は、初期費用は不要で、利用した分だけ料金を支払うので費用を抑えられます。一人ひとりの状況に合わせて、柔軟にサービスを選択できるのも魅力です。加齢や持病の進行により一人で生活するのが難しくなれば、ご家族に負担がかかってしまうこともあります。訪問介護を利用することで、ご家族の負担軽減にも繋がるでしょう。

5.訪問介護を利用するデメリット

一方、訪問介護には以下のようなデメリットがあります。

  • 受けられないサービスがある
  • 他人を自宅に入れる必要がある
  • ホームヘルパーと相性が合わない可能性がある

柔軟にサービスが受けられる訪問介護ですが、お伝えしたとおり受けられないサービスもあります。ご利用者からすれば、本当に受けたいサービスが受けられない可能性もあるでしょう。「できる」「できない」はトラブルになりやすい部分なので、契約前にサービスの範囲を理解しておきましょう。

また、他人を自宅に入れることに抵抗のある方は、訪問介護は向かないかもしれません。ホームヘルパーが来ることに備えて、無理して掃除をした結果ストレスを感じる方もおられます。

さらに、ホームヘルパーと一対一の時間が長いため、相性が合わないと感じる場合もあるかもしれません。どうしても相性が合わないと感じる場合はケアマネジャーに相談し、ホームヘルパーや事業所自体の変更を検討しましょう。

6.訪問介護を受けるまでの流れ

訪問介護サービスは、以下の流れに沿って申請や手続きをおこなうことで利用できます。

1.要介護認定の申請

お住まいの市区町村の介護保険関係の窓口で要介護認定の申請をおこないます。

2.介護認定調査と審査・判定

介護認定調査員がご自宅を訪問し、介護調査をおこないます。調査から30日程度で判定結果が郵送で通知されます。

3.認定結果に応じてケアマネジャーがケアプラン作成

介護認定が出たあと、その認定結果に応じてケアマネジャーがケアプランを作成します。
認定結果が要支援1~2の場合は地域包括支援センターが、要介護1~5の場合は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します。ケアマネジャーは、地域包括支援センターやかかりつけ医等に紹介してもらうことも、口コミ等から選ぶこともできます。

4.介護サービスの利用開始

利用したい事業者やサービスが決まり次第、契約して利用開始となります。

訪問介護を受けるまでの流れについて詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

介護保険サービスとは?種類からご利用の流れについて紹介

7.訪問介護以外の訪問サービス一覧

訪問系サービスには、訪問介護以外にもさまざまなサービスがあります。訪問介護と組み合わせることもできるので、それぞれのサービスについて確認しておきましょう。必要と感じるサービスがあれば、ケアマネジャーに相談してみることをおすすめします。

訪問看護

訪問看護は、看護師がご自宅に訪問して必要な看護をおこなうサービスです。ケアプランに基づき、健康状態の管理が必要となった場合に利用できます。

主なサービスとしては、血圧、脈拍、体温などの測定による健康状態の観察や管理、お薬の管理、血糖値測定やインスリン注射などの主治医の指示に基づいた処置などがあります。

訪問看護については以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーションは、ご本人が安心安全に在宅生活を継続できるようにリハビリを実施するサービスです。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の国家資格を有したリハビリ専門職種のスタッフが自宅に訪問します。

具体的なリハビリは、日常生活に必要な身体の基本動作の能力維持や向上を図るための体操、心身機能や脳の活性化を図るための手芸、発声や発音の練習を通したコミュニケーション能力のリハビリなどがあります。なお、訪問リハビリテーションを利用するには主治医の指示書が必要です。

訪問入浴介護

訪問入浴介護は、自宅に移動可能な浴槽を持ち込み、入浴を介助するサービスです。介護スタッフ、看護スタッフを含めた3名で訪問します。特に、寝たきりの状態であるため自力で入浴することが難しい方や、自宅の浴槽が狭くご家族のサポートがあっても入浴できない方が利用することが多いです。

入浴介助は、介助者が慣れていないと滑って転倒事故に繋がる可能性があるので、事故を防ぐためにも専門のスタッフに依頼するのがおすすめです。また、入浴だけでなく準備や衣類の脱着も任せられるので、ご家族の負担を軽減できます。

居宅療養管理指導

居宅療養管理指導は、医師・歯科医師・薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士などの専門職のスタッフがご自宅に訪問し、ご自宅で生活するうえでの注意点などを指導するサービスです。 医師・歯科医師以外の職種は、医師による指示のもとで訪問して指導を実施します。

居宅療養管理指導を利用すれば、身体の状態や悩みに応じてご自宅にいながら専門家に指導を受けられるので、通院の手間やご家族の負担を減らすことができます。なお、訪問の目的はあくまでも指導なので、原則として医療行為はおこなわれません。

8.住み慣れたご自宅での生活を支える訪問介護

今回は、訪問介護のサービス内容や利用するメリット・デメリットなどをお伝えしました。

住み慣れたご自宅で、できるだけ長く過ごしたいと考える方は多くいらっしゃると思います。訪問介護は、その気持ちに応えるためのサービスです。寝たきりであったり、麻痺があったり足腰が弱っている等の理由で、外出することが難しい方でも安心してご利用いただけます。

訪問介護にはさまざまなサービスがあるので、ご利用者のご希望や健康状態に合わせた最適なサービスを選んでください。

SOMPOケアでは訪問介護をはじめとする、さまざまな在宅サービスをご用意しております。
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