要介護3とは?介護保険サービスと介護の必要性について

「要介護3はどのような身体の状態?」
「要介護3ではどんなサービスが利用できるの?」

など、要介護状態に関して疑問を持っている方もいらっしゃると思います。

要介護3は7段階に分かれている要介護度のなかでも、やや重度な状態です。しかし「要介護3」がどのような状態なのか、具体的にイメージできない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、要介護3の状態を詳しくご紹介するとともに、要介護2や要介護4との違いや、要介護3の方が利用できる介護保険サービスについて解説します。

1.要介護3とは?

要介護3は、7段階に分かれている要介護度のなかで上から3番目に介護度が高い段階です。

厚生労働省の「要介護認定等基準時間の分類」によれば、要介護3は「要介護認定等基準時間が70分以上90分未満またはこれに相当する状態」とされています。
要介護1~5のなかでは中間に位置する段階で、要介護2よりも認知機能(理解、判断、論理的思考など)や身体機能が低下している状態です。一人で寝返り、トイレ、歯磨き、着替えなどを行うのが難しく、日常生活では全面的な介助が必要となります。また、自立歩行が難しく、状態によっては杖や歩行器、車いすなどの福祉用具が必要となります。

2.要介護2と要介護4との違い

要介護3は、要介護2や要介護4とどのように違うのでしょうか。具体的に説明します。

要介護2との違い

要介護2は、日常生活上の基本的動作の一部を自力で行えることが多いです。具体的には、入浴が一人で問題なくできる、椅子からの立ち上がり時にサポートが要らないなどが挙げられます。
しかし、要介護3の場合は基本的な動作が一人でできない場合が多く、同居するご家族の介助やサポートが必要になってくることから、介護施設への入居を考え始める方が多くなってきます。

要介護2について、詳しくはこちらをご覧ください。

要介護4との違い

要介護4は、要介護3と同じく日常動作において全面的な介護が必要な状態です。しかし、要介護4の場合はさらに足腰が弱っており、一人で立っていることが難しい方もいます。また、身体機能だけでなく認知機能の低下も進んでおり、要介護3と比べてより介護が必要な状態です。

要介護4について、詳しくはこちらをご覧ください。

3.要介護3で利用できる介護保険サービス

要介護3の方が利用できる介護保険サービスにはどのようなものがあるのでしょうか。サービスの種類ごとに整理して詳しく解説します。

在宅介護サービス

訪問介護

自宅で生活するご利用者のもとへホームヘルパーが訪問して、食事や入浴、排泄などの身体介助のサービスを提供します。また、生活援助として、居宅の掃除やゴミ出しの他に、日用品などの買い出し代行や、洗濯などのサービスを利用することもできます。

訪問介護について、詳しくはこちらをご覧ください。

訪問入浴介護

ご利用者の自宅まで、移動可能な特殊浴槽を持ち込み、入浴介助のサービスを提供します。ホームヘルパーや看護師を含む、訪問入浴のサービス提供事業者が訪問し、あらかじめ準備した特殊浴槽を使って入浴のサポートをします。

訪問看護

看護師がご利用者の自宅を訪問し、医療的ケアや診察の補助を行うサービスです。ご利用者の病気や状況に応じた看護を行います。

訪問看護について、詳しくはこちらをご覧ください。

訪問リハビリテーション

リハビリの専門職である、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がご利用者の自宅を訪問し、診療の補助や心身機能の維持や回復、日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行うサービスです。

通所介護(デイサービス)

通所介護(デイサービス)事業所などに通い、日帰りで食事や入浴といった日常生活の支援や、機能訓練などを受けることができるサービスです。また、原則として、デイサービスへの送迎は事業者が準備した車で行われます。

通所介護(デイサービス)について、詳しくはこちらをご覧ください。

通所リハビリテーション(デイケア)

介護老人保健施設、病院、診療所などに通い、理学療法士、作業療法士などの専門スタッフによる、身体機能の維持や生活機能の向上を目的としたリハビリテーションが受けられるサービスです。通称「デイケアサービス」と呼ばれ、できる限り要介護状態になることを防ぐ、あるいは状態がそれ以上悪化しないようにすることを目的として提供されています。

認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)

認知症のある方が通所介護(デイサービス)事業所などに通い、入浴や食事の支援、生活などに関する相談、健康状態の確認、機能訓練などのサービスを受けることができるサービスです。通常のデイサービスよりも少人数で行われます。

認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)について、詳しくはこちらをご覧ください。

短期入所生活介護(ショートステイ)

数日~最長30日間までの短期間、福祉施設に入居できるサービスです。入居した施設では入浴、排泄、食事などの介助や見守りといったサービスが受けられます。

短期入所生活介護(ショートステイ)について、詳しくはこちらをご覧ください。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護が一体的に、または密接に連携しながら、定期巡回やナースコールによる随時通報の対応を行うサービスです。24時間いつでも専門家に連絡や相談が可能で、定額で利用できる点に特徴があります。

SOMPOケアが提供する在宅サービスはこちらをご覧ください。

SOMPOケア在宅サービス一覧

施設介護サービス

介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)

主に介護を必要としている方が入居し、食事、入浴、排泄の介助や、専門スタッフによる機能訓練などの支援を受けて日常を送ることのできる施設です。

介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)について、詳しくはこちらをご覧ください。

住宅型有料老人ホーム

自立〜軽度の要介護者が入居し、食事の提供や掃除、洗濯、健康管理といった生活上のサポートを受けられる施設です。必要に応じて介護サービスが利用できます。

住宅型有料老人ホームについて、詳しくはこちらをご覧ください。

サービス付き高齢者向け住宅

高齢者住まい法に定められた施設で、高齢者の単身・夫婦世帯が入居できる賃貸住宅です。段差の解消や手すりが設置されていて、そのほかにも一人当たりの床面積は25平方メートル以上が原則となっており、入居する高齢者が安心して暮らせるように設計されています。また、ケアの専門家による生活相談サービスなども受けられます。

サービス付き高齢者向け住宅について、詳しくはこちらをご覧ください。

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

自宅での生活が難しい要介護3以上の方が入居できる施設で、入居者の多くは認知症のある方や重度の要介護状態の方です。受けられるサービスは、食事、入浴、排泄の介助で、そのほかにも更衣や口腔ケア、清拭(身体を拭いて清潔に保つ)などもあります。

介護老人保健施設(老健)

要介護1以上の方が利用でき、自宅復帰のためのリハビリテーションのほかに、食事や入浴、排泄などの介護サービスを受けられます。病院に併設されていることが多く、医療体制が整っているといった特徴があります。

介護療養型医療施設

長期療養と常時の介護が必要な方が入居する施設です。医療的処置、リハビリテーション、日常生活上の介護などが受けられます。特別養護老人ホームや介護老人保健施設に比べると、より医療環境が整っています。

ケアハウス(軽費老人ホーム)

ご家族からの援助が受けられないなどの理由により、自宅において生活することが困難な方が入居する施設です。入浴や栄養面を考慮した食事の提供、アクティビティなどを多く含むレクリエーションが提供されると同時に、掃除や洗濯などの生活援助を含む日常生活上の支援が受けられます。

ケアハウスについて、詳しくはこちらをご覧ください。

グループホーム

要介護3の方も入居できる、小規模で家庭的な雰囲気の施設で、他の入居者や介護職員と関わりを持ちながら共同生活を送ります。ただし、認知症と診断された方、また施設と同じ市区町村に住民票がある方でなければ入居することができません。

福祉用具に関するサービス

福祉用具貸与

ご利用者の日常生活における自立支援や介護者の負担軽減を図るためのサービスです。要介護3の方は、次の福祉用具をレンタルすることができます。

  1. 車いすおよびその付属品
  2. 介護用ベッドおよびその付属品
  3. 床ずれ防止用具
  4. 体位変換器
  5. 手すり
  6. スロープ
  7. 歩行器
  8. 歩行補助つえ
  9. 認知症老人徘徊感知器具
  10. 移動用リフト(つり具の部分を除く)

特定福祉用具販売

福祉用具のうち、その用途が貸与に適していないもの(腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分など)を購入することができます。

福祉用具について、詳しくはこちらをご覧ください。

4.要介護3の介護保険の支給限度額

介護保険では、要介護区分に応じて月ごとに支給限度額が定められています。支給限度額とは、介護保険から給付される1ヵ月あたりの上限額のことです。厚生労働省の示す居宅サービスの支給限度額は次のとおりです。

居宅サービスの支給限度額

要介護区分 支給限度額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

出典:令和4年版 厚生労働白書 ⑩高齢者保健福祉

要介護3の場合は270,480円/月です。要介護度が上がるほどサービス利用の頻度が増えるため、より多くの介護サービスを利用できるように、要介護度が上がるにつれて利用限度額が増える仕組みになっています。
支給限度額の範囲内で介護サービスを利用すれば、利用者負担は1割〜3割で済みますが、限度額を超えてサービスを利用した場合、その超過分は全額自己負担となるため注意が必要です。

5.要介護3の方が自宅にいるときの介護の必要性について

要介護3の方が自宅で生活を続ける場合、状態によっては24時間体制での介護が必要となります。そのため、同居するご家族は身体的にも精神的にも負担が大きくなる恐れがあります。ご本人とご家族の負荷が大きくなるのを防ぐためにも、介護サービスの活用をおすすめします。

ただし、在宅介護サービスは24時間利用できるわけではなく、できたとしても施設へ入居するよりも費用が高くなる可能性があります。ご本人の状態やご家族の状況によっては、施設への入居も選択肢の一つとして検討してみるのも良いかもしれません。

6.要介護3になると24時間サポートが必要な可能性がある

この記事では、要介護3の認定を受けた人の状態、受けられるサービスなどについて解説してきました。 要介護3は、要介護1~5のなかでは真ん中に位置する区分ですが、心身機能の低下が見られることが多く、ある程度認知症が進行している場合もあります。一人でご自宅での生活を続けるのであれば、24時間サポートが必要になることもあるので、ご自宅で利用できる介護サービスを活用すると良いでしょう。

また、ご本人やご家族の状態によっては、施設へ入居することで双方の負担軽減につながり、安心できる生活を送ることができる場合もあります。ご本人、そしてご家族が望む生活に、どんな介護サービスが必要なのか、専門家の力を借りながら検討してみるのも良いでしょう。

SOMPOケアの提供するホーム・サービスには、要介護3の方に対応したものが多数あります。ぜひご検討ください。

要介護3の方が入居できるSOMPOケアの老人ホームはこちら

要介護3の方が利用できるSOMPOケアの在宅サービスはこちら

監修・執筆

林 修造

現役の大学教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や健康保険などの社会保障にも精通している。大学で教鞭を取る傍ら、福祉系専門学校の非常勤講師を務め、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。

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