住宅型有料老人ホームとは?特徴や費用について紹介

高齢者向け住まいを選ぶ際の重要なポイントとして、ご入居される方の健康状態に合った施設であること、日々の生活へのニーズを満たせること、そして将来的にも安心して暮らせることなどが挙げられます。
この記事では、住宅型有料老人ホームの特徴や注意点をご紹介します。

1.住宅型有料老人ホームとは

住宅型有料老人ホームは、有料老人ホームに分類されます。有料老人ホームを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

住宅型有料老人ホームは、原則として介護サービスを提供していませんが、ご利用者が介護を必要とする場合は外部の介護サービスを別途契約して利用できます。そのため、ニーズに合わせて介護サービスを自由に組み合わせることが可能です。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームの設備

住宅型有料老人ホームの設備基準には法令上の規定がある訳ではありませんが、一般的に備えられている設備を紹介します。

居室の設備

1室あたりの床面積は原則として18㎡以上、一人当たりの床面積は13㎡以上と定められています。居室には、浴室・洗面設備・トイレなど、生活に必要な設備が備えられています。またこれらを居室に設置しない場合、すべてのご利用者が十分に利用できるような数を建物内に設けることとされています(※)。

共用空間の設備

事業者のサービスに応じ、食堂、医務室または健康管理室、リハビリ室、カラオケなどのアクティビティルームなどを設けることとされています(※)。

SOMPOケア ラヴィーレレジデンス徳川園の場合、最先端の介護設備が完備されており、ゆったりとした時間を過ごしいただける空間が特徴です。共有空間には、広々としたダイニングのほかに、来訪されたご家族と和やかに過ごすことができる、ファミリーダイニングもご用意しています。 また、Wi-Fi完備でインターネットがご利用可能な居室リビングや、理美容室、通常の浴槽では入浴が困難な方でも座ったまま入浴ができる特殊浴室も常備しています。

住宅型有料老人ホームの人員基準

住宅型有料老人ホームの人員基準は、法令上の定めはないものの、下記のスタッフの配置が事業者に求められています。

  • 入居者の数および提供するサービスの内容に応じ、管理者、生活相談員、栄養士、調理員を配置すること
  • 介護サービスを提供する場合は、提供するサービスの内容に応じ、要介護者等を直接介護する職員については、介護サービスの安定的な提供に支障がない職員体制とすること など

住宅型有料老人ホームでは、運営者がご利用者の人数や施設の規模に応じてスタッフを配置しています。気になる方は入居する際に確認しましょう。

2.住宅型有料老人ホームの入居条件

住宅型有料老人ホームの入居条件は施設によって大きく異なります。以下、一般的な住宅型有料老人ホームが定めている入居条件の例を示します。

項目 内容
年齢 おおむね60歳以上
要介護度 自立~軽度の要介護状態。
認知症対応 軽度であれば可

上記はあくまでも一般的な入居の条件であり、施設によっては介護度の高い方や認知症のある方が入居可能なケースもあります。施設ごとに入居条件が異なるため、入居する際にその条件を確認しましょう。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。

3.住宅型有料老人ホームで受けられるサービス

住宅型有料老人ホームでは、食事の提供、洗濯や掃除などの家事、健康管理といったサービスを提供しています。また、介護サービスについては、外部の介護サービス事業者と別途契約することで利用が可能となります。

また、入居したときは自立していても、加齢にともなって心身の状態が悪化することもあります。そうした場合は、その時々の健康状態や要望にあわせてサービスをうまく組み合わせて使うことで、長く快適に暮らすことができるでしょう。 ここからは、住宅型有料老人ホームで受けられるサービスについて詳しく解説していきます。

生活支援・外出支援

住宅型有料老人ホームでは、ご利用者に対して食事・おやつの提供、洗濯や掃除などの生活支援サービス、見守り、外出支援(※別途費用が必要な場合もあり)などを提供しています。

食事は朝昼晩の3食+おやつが提供され、施設によっては複数のメニューのなかから好きなものを選ぶことができます。また、ご利用者の口腔機能(噛む力、飲み込む力など)に応じて食材や調理方法を工夫してくれる施設もあります。

健康管理・健康相談

住宅型有料老人ホームのスタッフがご利用者の健康相談に応じます。施設で過ごすなかで心身の健康に関して困ったことがあれば、気軽に相談ができます。

ただし、看護師の配置は規定されていないため、医療サービスの程度は施設によって異なります。看護師を置いている施設では、専門的な立場から健康相談に応じるとともに、必要に応じて健康管理を行っている施設もあります。

アクティビティ

住宅型有料老人ホームのご利用者の多くは、健康で自立している方やあまり介護を必要としない方であるため、健康型有料老人ホームなどと同様、アクティビティのプログラムが豊富に組まれている場合が多いです。また、季節に応じたイベント(お正月や節句、お彼岸など)だけでなく、外出イベントを催している施設もあります。

こうしたアクティビティやイベントに参加することで、ご利用者同士が交流でき、日々の生活にメリハリを持たせることができます。また、心身の機能を衰えさせないためにも効果的でしょう。 入居を検討する際に、どのようなアクティビティがあるかを確認しましょう。

緊急時の対応

住宅型有料老人ホームでは、ご利用者の体調が急変するなど万が一のときには救急搬送の要請を行うなど、緊急時の対応をしてくれます。

また、医療機関と提携を結んでいるなど、緊急時の対応を充分に備えている施設もあります。こちらも入居時に確認することをおすすめします。

介護サービス

住宅型有料老人ホームには介護サービスの機能がないため、施設のスタッフによる介護サービスの提供はありません。よって、介護サービスを利用する際は、ご利用者が必要に応じて外部の介護サービス事業者と契約することになります(※ホームによっては在宅介護事業所が併設されている場合があります)。介護サービスをしたい場合には、まずは住宅型有料老人ホームの相談員に相談し、担当のケアマネジャーに繋いでくれるよう依頼しましょう。

ご利用者は、担当のケアマネジャーが立案したケアプランに基づいて介護サービスを利用することができます。なお、ご利用者は介護サービス費用の1割(所得によっては2~3割)を負担します。

4.住宅型有料老人ホームの費用

住宅型有料老人ホームの費用は、入居の際に必要となる初期費用と、家賃や食費などにあたる月額費用との2つに大別できます。これらの費用は、施設の立地や居室などの設備面、食事など、さまざまなサービスによって異なります。

一般的な住宅型有料老人ホームでは、おおむね次の額です。
種類 初期費用 月額費用
住宅型有料老人ホーム 0~数千万円 10~40万円

費用に関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

初期費用

ご利用者は、初期費用として保証金、または入居一時金(入居金や前払金とも呼ばれる)を支払う必要があります。金額は施設によって異なりますが、0~数千万円と幅広くなっています。

費用の支払い方式には次の3種類があります。
方式 内容
全額前払い方式 入居時に初期費用と想定居住期間の家賃相当額を支払う方式。一括で支払うため入居時に発生する費用が高額になるが、入居後の毎月の費用は抑えられる。
一部前払い方式 一部月払い方式 一部前払い方式・一部月払い方式は、費用の一部を入居一時金として前払いし、残りの費用を毎月支払い続ける方式。一時金の全額を用立てることが難しい場合にこの方式で支払うと、入居時のハードルを下げることができる。
月払い方式 入居時に前払いをせず月額で費用を全額支払う方式。初期費用がかからないので入居時のハードルは最も低いが、その分毎月の負担は大きくなる。

月額費用

ご利用者は、月額費用として次の内容を負担します。

  • 月額利用料(家賃・管理費・食事提供サービス費・水道光熱費など)
  • サービス利用料
  • 介護保険サービス費(介護サービスを利用した場合)

月額利用料やサービス利用料は施設によって金額の設定が異なり、費用はおおむね10万円~40万円と幅広くなっています。詳細については施設の担当者に確認してみましょう。

5.住宅型有料老人ホームの特徴

次に、住宅型有料老人ホームの特徴を見てみましょう。

生活の自由度が高い

住宅型有料老人ホームでは、ご利用者のプライバシーを確保するなど、できるだけ入居前の生活に近い自由な暮らしを続けられるよう、配慮や工夫が行われています。

また、ご利用者同士で交流する機会が多く、施設内では適度な交流を通して交友を深めることができます。ご家族との時間を大切にしたい方は、ご家族と一緒に出かけることができる、有料の旅行サービスを提供している施設もあります。 ※感染症などの影響で条件が変更される場合があります。詳しくは各施設にお問い合わせください

必要に応じて外部の介護サービスを利用

ご利用者が介護サービスを利用する場合は、外部の介護サービス事業者と別途契約することになります。提携の事業所が併設されている施設が多いですが、入居前から利用していた別の事業所の介護サービスを引き続き利用することもできます。

選択肢が多い

厚生労働省によると、住宅型有料老人ホームは全国に約1万1,000件あります。

施設数が多いため、現在お住まいの地域内で比較検討がしやすく、また、施設によってご利用者の平均介護度が異なり、居室の広さなどの設備面、さまざまなサービス面に幅があることが特徴です。そのため、ご自身の健康状態やライフスタイル、予算に合わせて希望の施設を探すことができるでしょう。

6.住宅型有料老人ホームの注意点

住宅型有料老人ホームは、自立した方から介護が必要な方まで、さまざまな方が利用できる施設です。では、利用する際にはどのようなことに注意が必要なのでしょうか。

医療的ケアが必要になった場合は退去になる可能性がある

住宅型有料老人ホームは、施設自体に介護を提供する機能がないため、医療的ケアが必要な状態になったり、重度の要介護状態になったりした場合は、退去しなければならない場合があります。

施設によって対応可能な範囲も異なるため、入居を検討している段階で、必ず確認をしておきましょう。

要介護度が上がると費用が高くなることも

要介護度が上がっても入居を継続する場合、どうしても外部の介護サービスに頼らざるをえません。この場合、介護サービスを利用する頻度が多くなってしまい、結果として費用の負担額が大きくなる恐れがあります。

7.住宅型有料老人ホームと他の施設との違い

住宅型有料老人ホームと他の施設にはどのような違いがあるのでしょうか。以下の2つの施設と比較し、その違いを解説します。

サービス付き高齢者向け住宅との違い

サービス付き高齢者向け住宅は高齢者が住みやすいように配慮された住宅であり、ご利用者は賃貸借契約に基づいて入居します。提供されるサービスは主に安否確認や生活相談です。

また、住宅型有料老人ホームの場合は入居の際に入居一時金、保証金の支払いがありますが、サービス付き高齢者向け住宅は賃貸住宅であるため、敷金、礼金が必要となります。 サービス付き高齢者向け住宅に関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)との違い

介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)は、要介護状態にある高齢者が入居し、施設内で生活を送りながら、必要に応じて食事、入浴、排泄などの身体介助、身の回りの支援に関するサービスなどを受けます。

介護付きホームは介護保険法上で特定施設入居者生活介護の指定を受けており、ご利用者が介護を受けながら生活するうえでの環境や設備が整っているうえ、生活相談員や介護スタッフ、看護師などの専門職の人数がご利用者の数によって適切に配置されています。 また、ご利用者の介護サービス費用は要介護度に応じて定額であるため、住宅型有料老人ホームと比べて費用負担のプランが立てやすい特徴もあります。施設によっては認知症のある方の入居も可能で、看取りの介護を提供しているところもあります。 介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)に関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

8.住宅型有料老人ホームへの入居の流れ

住宅型有料老人ホームへの入居はどのような流れをたどるのでしょうか。一般的な住宅型有料老人ホームを例に、入居までの具体的な流れを解説します。

No 項目 内容
1 入居に関する問い合わせ 電話などで住宅型有料老人ホームへ連絡する
2 施設見学 希望によって施設を見学する
3 入居の申し込み 施設の準備した入居申込書に必要事項を記入し提出する
4 担当者との面談と書類の提出 ※施設によって詳細が異なる 入居希望者・ご家族と施設の担当者が面談し、以下の書類を提出して入居条件に合致するか判断される ・ 介護保険証 ・ 負担割合証 ・ 健康保険証(後期高齢者医療保険証) ・ 診療情報提供書 など
5 入居判定 面談の結果や提出書類をもとに施設内で入居判定が行われる
6 入居契約 入居日時の調整 施設入居に関する契約を取り交わすとともに入居日時の調整を行う
7 入居 多くの場合、ご家族の立ち会いが必要

入居後に著しい要介護状態の変化があったり、医療的ケアが必要な状態になったりした場合、退去を求められることがあります。その際は、退去の意向を申し出たあとに費用を精算して退去する流れとなります。

9.入居後の生活をイメージした施設選びを

住宅型有料老人ホームは要介護認定を受ける前から安心して暮らすことができ、サービスを組み合わせることで、より快適に長く暮らしていくことのできる施設です。施設によって入居条件や機能が異なり、幅広い特徴を持つ施設であるともいえます。

気になる施設が地域で見つかったら、まずは見学に行きましょう。将来のことも含め、新しい生活のイメージを思い描きやすくなるはずです。

監修・執筆

林 修造

福祉系専門学校の教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や医療保険などの社会保障にも精通している。専門学校で教鞭を取る傍ら、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。

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