老人ホームの費用はどれくらい?費用相場や初期費用・月額費用の内訳について

「老人ホームの初期費用はいくらかかる?」「入居前に毎月かかる家賃の目安を把握したい」など、老人ホームの費用について疑問を持っている方もいるでしょう。

老人ホームにはいくつかの種類があり、それぞれに持っている機能や役割が違うため、費用や支払い方式も異なります。

この記事では、老人ホームの費用について詳しく解説します。ぜひ最後まで読んで、入居時や月々かかる費用の内訳について理解を深めていきましょう。

1.老人ホームの費用について

老人ホームの費用は、初期費用と月額費用の2つに大別されます。それぞれの費用の項目や詳細は施設によって異なりますが、主に以下のように分類できます。

初期費用 敷金・礼金
保証金
入居一時金
前払金
月額費用 家賃相当額
共用部家賃相当額
管理費
食費
水道光熱費
生活用品購入費

老人ホームによっては、保証金や入居一時金に初期償却を設定しているところがあります。初期償却とは、入居時に支払った入居一時金などの一部を老人ホーム側が売上として計上し、退去時にはその分を差し引いて返還する仕組みです。SOMPOケアの施設では、一部を除いて初期償却はありません。

なお、老人ホームには公的施設と民間施設があります。公的施設とは、地方自治体、社会福祉法人などが設置運営する施設で、要介護度の高い方や低所得者が優先的に入居できます。民間施設に比べて安価な費用で入居することが可能です。

一方、民間施設は、高齢者のさまざまなニーズに対応するために多種多様なサービスを展開している有料老人ホームなどの施設です。費用は公的施設に比べて高い傾向にあり、施設によっては入居一時金を必要とするところもあります。

2.老人ホームの費用相場

老人ホームの費用は具体的にどれくらいかかるのでしょうか。以下、施設ごとの相場を見ていきましょう。

介護保険施設

介護保険施設とは介護保険法に定められた施設で、原則として、要介護認定を受けて介護を必要とする状態と判定された方が入居できます。これらは公的施設に分類され、一般的に初期費用はかかりません。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、自宅での生活が困難となった高齢者で原則として要介護認定で要介護3以上と判定された方が入居し、食事、入浴、排泄などの介助や身の回りのサポートなどを受けられる施設です。

初期費用 不要
月額費用 10万円~15万円

特別養護老人ホームについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

特別養護老人ホームとは?特徴や費用、申し込みの流れをご紹介

介護老人保険施設(老健)

介護老人保健施設は、急性期の治療が終わり回復期でのリハビリテーションを中心とした生活に移行する高齢者が入居する施設です。食事、入浴、排泄などの介助を受けられるだけでなく、医療的ケアやリハビリテーションも受けられます。

初期費用 不要
月額費用 10万円~15万円

介護老人保健施設について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

介護老人保健施設とは?特養との違いや提供サービス・申し込みの流れを解説

介護医療院

重度の介護が必要な方で医療的管理とリハビリテーションを必要とする方が入居する施設です。医師が常駐しているため、手厚い医療ケアが受けられます。

初期費用 不要
月額費用 5万円~25万円

有料老人ホーム

有料老人ホームは民間施設に位置づけられた介護施設で、3種類に分けられます。それぞれに特徴・役割が違い、費用も異なります。以下、特徴と相場を合わせて見ていきましょう。

介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)

主に介護を必要とするご利用者が入居し、食事、入浴、排泄の介助や生活上の支援を受けて日常を送る施設です。

初期費用 0~数千万円
月額費用 10万円~50万円

※費用は、立地や設備、サービス内容によって異なる。また、月額費用は要介護度やその他条件によって異なります。

介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)を詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)とは?費用や入居条件、メリット・デメリットを解説

住宅型有料老人ホーム

自立〜軽度の要介護高齢者が入居し、食事の提供や掃除、洗濯などの生活上のサポートが受けられる施設です。必要に応じて外部の介護サービスを利用します。

初期費用 0~数千万円
月額費用 10万円~30万円

※費用は、立地や設備、サービス内容によって異なる。介護サービスは必要に応じて別途契約し、その費用は利用したサービスの量によって異なります。

住宅型有料老人ホームを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

住宅型有料老人ホームとは?特徴や費用について紹介

健康型有料老人ホーム

自立した生活ができるご利用者が入居し、充実した余暇時間を過ごすための設備やサービス(レクリエーション、趣味のイベント、サークル活動)が充実した施設です。ただし、介護が必要な状態になった場合は転居や退去をしなければならないことがあります。

初期費用 0~数千万円
月額費用 10万円~40万円

※費用は、立地や設備、サービス内容によって異なります。

その他の高齢者向け住まい

上記以外の高齢者向け住まいの費用相場を見ていきましょう。

サービス付き高齢者向け住宅

高齢者住まい法に定められた高齢者向けの住宅で、一般の賃貸マンションに次のような機能を加えた施設です。

  • 一人あたりの床面積が25平方メートル以上
  • 段差解消・手すり設置などのバリアフリー構造
  • ケアの専門家による安否確認サービス、生活相談サービスの提供
  • 食事の提供(※施設によって異なります)

比較的自立した高齢者が入居する一般型サービス付き高齢者向け住宅の費用は次のとおりです。

初期費用 敷金/礼金など
数十万円~数百万円
月額費用 10万円~25万円

※通常の賃貸住宅に近く、初期費用で敷金や礼金など、月額費用で家賃、管理費を負担します。また、介護サービスは必要に応じて別途契約することになります。

軽度の介護を必要とする高齢者が入居する介護型サービス付き高齢者向け住宅の費用は次のとおりです。

初期費用 敷金/礼金など
数十万円~数百万円
月額費用 10万円~40万円

※初期費用で入居一時金、月額費用で家賃や管理費を負担するほか、食事提供や介護もサービスに含まれるためその費用がかかります。

サービス付き高齢者向け住宅を詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

サービス付き高齢者向け住宅とは?費用や入居条件、他の介護施設との違い

グループホーム

グループホームは、認知症の要介護高齢者が入居する小規模の施設です。ご利用者は基本的に個室で生活を送り、食事の時間などは共同スペースで過ごします。家庭的な雰囲気があり、適度に他のご利用者や介護スタッフとの関わりを持つ点に特徴があります。

初期費用 0~数百万円
月額費用 10万円~30万円

グループホームについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

グループホームとは?認知症ケアに特化したサービス内容と他の介護施設との違い

軽費老人ホーム

軽費老人ホームは、自宅での生活が困難な高齢者が無料または低額な料金で入居し、食事の提供やその他日常生活で必要な支援を受けることができる施設です。

初期費用 保証金(数十万円)
月額費用 3万円~17万円

※前年の収入額に応じて負担する金額が異なります。

ケアハウス

ケアハウスは、経済的な事情などによって自宅での生活が困難な高齢者が入居する施設で、自立型(一般型)と介護型の2種類に分けられています。費用の目安は次のとおりです。

自立型(一般型)ケアハウスの費用
初期費用 0~30万円
月額費用 6万円~20万円

※前年の収入額に応じて負担する金額が異なります。

介護型ケアハウスの費用
初期費用 0~数百万円
月額費用 6万円~20万円

※前年の収入額に応じて負担する金額が異なります。

ケアハウスについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ケアハウスとは?特徴や費用について紹介

3.高齢者向け住まい(老人ホームなど)で必要となる費用の内訳

高齢者向け住まい(老人ホームなど)でかかる費用は、施設により大きく異なります。公的施設である特別養護老人ホームなどは、介護保険の制度上、家賃や食費などの負担額が定められています。

一方、民間施設である介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)などには、負担額の定めがないため、立地や設備、サービスの充実度など、施設によって価格設定が大きく変わるので、費用の内訳をよく確認する必要があります。

ここからは、高齢者向け住まい(老人ホームなど)で必要になる初期費用と月額費用の内訳についてお伝えします。

初期費用

まずは、入居時に必要となる初期費用をみていきます。

入居一時金・前払金

特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、初期費用はかかりません。しかし、介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)などでは、入居時に「入居一時金」「前払金」を払う制度がある施設もあります。これは、特に家賃が高くなりがちな都市部において、入居時にまとまった費用を前払いしておくことで、入居後の月額費用が安くなり、経済的な見通しを立てやすくなるというメリットがあるためです。一方で、高額な初期費用がネックとなり入居しにくいといったデメリットもあります。

しかし近年は、初期費用のかからない料金体系を用意している介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)も増えています。例えば、SOMPOケアの運営する施設では、「入居一時金0円」というプランを用意しています。初期費用を抑えたい場合や、入居期間が短い可能性がある場合などは、入居一時金がかからない施設を選ぶことも一つの方法でしょう。

この入居一時金や前払金は、名目としては「家賃などを前払いしておく」というものです。そのため、支払ったお金は契約書であらかじめ決められた期間、決められた割合で少しずつ家賃などの費用となります(償却)。そして、決められた期間よりも早く退去(解約)する場合は、償却されずに残っているお金は返還されることになっています。償却方法は、初期償却があるかないか、その割合などによって異なります。また、いわゆる「クーリングオフ制度」も定められており、契約から90日以内に解約する場合は、入居期間中の居住費用(家賃、食費など)を除いた全額が返還されることになっています。

こうしたご利用者を守るルールは、かつて有料老人ホームの一時金返還でトラブルが多かったことから整備されてきたものです。契約前に、入居一時金・前払金の内訳や償却方法をよく理解しておきましょう。

敷金・礼金・保証金

サービス付き高齢者向け住宅や一部のグループホームなどでは、賃貸借契約をすることになることから、敷金、礼金という名目になっていることがあります。なお、軽費老人ホームやケアハウスは保証金という名目を使っているのが一般的です。

これは契約形態の違いですが、敷金の場合は入居中の担保として施設に預けるものであり、退去時に修繕費などを差し引いた金額が戻ってくる前提となっています。敷金が退去時にどの程度戻ってくるのかは、契約時によく確認しておくべきです。また、礼金は物件のオーナーに謝礼として渡すお金なので、退去しても返却されない費用と考えましょう。

なお、軽費老人ホームやケアハウスで設定されている保証金については、退去する際は家賃の滞納分や清掃・修繕費を除き返却されます。

月額費用

次に、毎月必要となる月額費用についてご説明します。

家賃

特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、居室の形態により家賃の負担額が定められています。介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)などでは、施設の立地や設備などによって家賃の金額が大きく異なります。

管理費

施設により内訳が異なりますが、光熱費や水道代、事務にかかる費用などが管理費に含まれることがあります。

食費

特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、所得に応じて1日あたりの食費の負担額が定められています。介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)などでは、各施設で食材費や人件費などを勘案して食費が決められています。

生活用品購入費(おむつ代など)

生活用品購入費は、おむつやティッシュペーパー、歯ブラシなどの日用品、お菓子などの嗜好品、本などの趣味用品にかかる費用です。

なお、おむつを使用する場合、特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、施設側がおむつ代を負担しますが、民間施設である介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)などではご利用者側が支払うことになります。

医療費

持病やケガ、急病などで施設外の医療機関を受診した場合や、往診医の診療を受けたりした場合、その医療費の自己負担分はご利用者が支払うことになります。

施設介護サービス費

老人ホームへの入居中に介護サービスを受ける場合は介護保険を利用できるため、自己負担額を抑えられます。ただし、介護サービスの利用方法は施設の種別によって異なります。

特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、施設が提供する介護サービスを受けることが可能です。その場合、ご利用者は介護サービス費用として、要介護度に応じた定額を施設に支払うことになります。

例:要介護5の方が特別養護老人ホーム(ユニット型個室)を利用した場合の自己負担の目安
施設サービス費の1割 約27,900円
居住費 約6180円
食費 約43,350円
日常生活費 約10,000円(施設によって異なる)
合計 約141,430円

一方、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、介護サービスを提供していない施設の場合は、別途必要に応じて外部の介護サービス事業者と契約し、居宅介護のサービスを受けることになります。その場合、要介護度に応じた利用限度額が定められており、範囲を超えた分は介護保険適用外となり自己負担する必要があるため注意が必要です。
介護保険サービスを利用した場合のご利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)です。

区分 利用限度額 1割負担 2割負担 3割負担
要支援1 50,320円 5,032円 10,064円 15,096円
要支援2 105,310円 10,531円 21,062円 31,593円
要介護1 167,650円 16,765円 33,530円 50,295円
要介護2 197,050円 19,705円 39,410円 59,115円
要介護3 270,480円 27,048円 54,096円 81,144円
要介護4 309,380円 30,938円 61,876円 92,814円
要介護5 362,170円 36,217円 72,434円 108,651円

※介護報酬の1単位を10円として計算
※2024年9月時点の情報をもとに作成

ただし、所得の低い方や1ヵ月の利用料が高額になった方については、別に負担の軽減措置が設けられています。負担軽減策について知りたい方は以下の記事をご覧ください。

介護保険サービスとは?種類からご利用の流れについて紹介

介護保険外サービス費

介護保険外サービス費とは、既存の介護保険サービスでは賄いきれないニーズに応えるために設けられたサービスで、介護保険には規定されていないサービスを民間事業者が提供してくれるものです。

このサービスには介護保険が適用されないため、かかった費用の全額を負担しなければなりませんが、ご利用者にとっては生活の質を向上させる便利なサービスです。

以下、介護保険外サービスの例と費用相場を記します。

提供元 内容・費用
新居浜市社会福祉協議会 訪問介護サービスのご利用者に対して、介護保険では認められていない範囲の外出の介助、見守りの介助を行う。

・入院時や入院中の必要物品の購入
・入退院時や病院受診時の付き添い
・介護保険では認められていない外出の付き添いなど

利用料は30分800円で、サービス提供時間以外は30分1,000円となる。
秦野市社会福祉協議会 高齢、障がい、疾病などの理由によって日常生活を送るうえで支障のある家庭に、ホームヘルパーが訪問し家事全般の代行や身体介護を行う。

・家事支援:1時間2,000円
・身体介護:30分以内1,500円

サービス加算

施設内で介護サービスを提供している施設では、基本の施設介護サービスに加えて、管理体制の強化を実施していることがあります。例えば、栄養管理や口腔衛生に力を入れたり、認知症のご利用者を積極的に受け入れたりなどです。

こうした認可を受けたサービスを提供している施設では、介護保険で定められたサービス加算が追加で必要になることがあります。

上乗せ介護費

高齢者向け住まい(老人ホームなど)では、それぞれの施設の種別に応じて「ご利用者3人に対して看護師や介護スタッフを1人配置するように」という人員配置基準が介護保険法で定められています。上乗せ介護費とは、介護保険法で定められた基準以上に看護師や介護スタッフを配置している場合に、追加で発生する費用のことです。

また、買い物や通院の付き添いなど、介護保険の対象外となるサービスを利用した場合も、施設の決めたルールに基づいて費用が発生します。

医療費

医療費は、老人ホームに入居する方が公的医療保険制度を使って医療を受けた場合、かかった費用の1~3割を負担します。

なお、医療費にも経済的負担を軽減できる高額療養費制度があります。高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が自己負担の限度額を超えた場合、その超えた分が公的医療保険から払い戻される制度です。

4.高齢者向け住まい(老人ホームなど)の費用の支払い方式

次に、高齢者向け住まい(老人ホームなど)の費用の支払い方式についてお伝えします。

全額前払い方式

全額前払い方式は、入居時に初期費用と「想定居住期間」の家賃相当額を支払う方式です。

想定居住期間とは、ご利用者の入居時の年齢や身体状況から平均余命などを勘案した期間を指します。一括で支払うため入居時に発生する費用が高額になりますが、入居後の毎月の費用はかなり抑えられます。

一部前払い方式・一部月払い方式

一部前払い方式・一部月払い方式は、費用の一部を入居一時金として前払いし、残りの費用を毎月支払い続ける方式です。一時金の全額を用立てることが難しい場合は、この方法で支払うことで入居時のハードルを下げることができます。

月払い方式

月払い方式は、入居時に前払いをせず、月額で費用を支払う方式です。

初期費用がかからないので入居時のハードルは最も低いですが、その分毎月の負担は大きくなります。家賃や管理費、食費などが高額なほど、入居後に支払いを続けるのが困難になる場合があります。

資産状況や入居時の年齢に応じて、ご利用者が支払いやすい方式を選択できるメリットがあります。 上記の支払い方法のいずれかが指定されている場合もあれば、ご利用者が支払い方式を選択できる場合もあります。

5.有料老人ホームの契約方式

続いて、有料老人ホームの3つの契約方式を解説します。

利用権方式

利用権方式とは、建物賃貸借方式や終身建物賃貸借方式(後述)以外の契約の形態です。居住部分と介護や生活支援などのサービス部分の契約が一体となっており、ご利用者の利用権に関する内容を定めた契約になっています。

建物賃貸借方式

建物賃貸借方式とは、賃貸住宅における居住の契約形態で、家賃に相当する額を毎月払うことを約束し、その物件で生活する権利を得る契約です。居住部分と介護などのサービス部分の契約が別々になっています。

終身建物賃貸借方式

建物賃貸借契約の特別な類型で、都道府県知事から高齢者の居住の安定確保に関する法律の規定に基づく終身建物賃貸借事業の認可を受けた業者・法人しかこの方法で契約することができません。

前述の建物賃貸借方式で契約しますが、入居期間が終身であることに特徴があります。つまり、ご利用者の死亡をもって契約を終了する契約であるため、通常の建物賃貸借方式のように相続権は発生しません。

6.高齢者向け住まい(老人ホームなど)の費用シミュレーション

それでは、高齢者向け住まい(老人ホームなど)の費用シミュレーションを見ていきましょう。

※それぞれの費用は、SOMPOケアが運営する施設の費用を例として記載しています。

要支援1でサービス付き高齢者向け住宅に入居するケース

要支援1の方が、サービス付き高齢者向け住宅に入居する例では、以下の費用になります。

初期費用 0円
月額費用 家賃(非課税)9万2,000円
共益費(非課税)1万5,000円
生活支援サービス費(税込)3万3,000円

その他、ご利用状況に応じて、居室電気水道代、食費、医療費(薬剤費)、おむつ代、アクティビティ参加費などがかかります。また、介護保険サービスの利用には介護保険自己負担額が発生します。

要介護3で介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)に入居するケース

要介護3の方が、介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)に入居する場合は、全額前払い方式か月払い方式かによって、費用に大きな差が出てきます。
SOMPOケアの介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)であるラヴィーレ一之江を参考に、全額前払い方式、月払い方式それぞれの費用例を確認していきましょう。

全額前払い方式のケース

初期費用 300万円
月額費用 共用部家賃相当額(非課税)2万8,300円
管理費(税込)12万9,800円
食費(税込)7万602円
介護保険給付自己負担額 2万2,040円

その他の費用として、居室電気水道代(電気代一律4,180円、水道代一律1,100円)、おむつ代、日用品代、新聞・雑誌など購読費、クリーニング代などがかかります。

月払い方式のケース

初期費用 0円
月額費用 家賃相当額(非課税)5万円
共用部家賃相当額(非課税)2万8,300円
管理費(税込)12万9,800円
食費(税込)7万602円
介護保険給付自己負担額 2万2,040円

その他の費用として、居室電気水道代(電気代一律4,180円、水道代一律1,100円)、おむつ代、日用品代、新聞・雑誌など購読費、クリーニング代などがかかります。月額費用においては、全額前払い方式にはない家賃相当額5万円がプラスされます。
※上記金額はいずれも2023年3月時点のものです

7.高齢者向け住まい(老人ホームなど)の費用を抑える助成制度

老人ホームの費用はできるだけ抑えたいものです。ご本人やご家族が少しでも安心して新しい生活をスタートできるよう、費用を助成する制度も用意されています。ここから、5つの制度についてご紹介します。

医療費控除

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間にご本人やご家族が支払った医療費が一定の額を超えた場合に所得控除を受けられ、税金が安くなるという制度です。医療費控除を受けるための条件は、以下のとおりです。

  1. ご本人やご家族が支払った医療費が1年間で10万円以上である場合
  2. ご本人の所得が200万円以下で医療費が所得の5%以上である場合

医療費控除の対象になるのは、医師や歯科医師による治療や治療のための医薬品の購入、あん摩師やはり師による施術、医師などの診察を受けるために要した交通費などです。一方、ビタミン剤など病気予防のために使用するサプリメントの購入、予防接種費用、自家用車で通院した際のガソリン代などは対象外です。

高額介護サービス費支給制度

高額介護サービス費は、月々の介護サービス費用が自己負担上限額を超えた場合に超過分の金額が払い戻される制度です。上限額は、所得に応じて6段階に分かれており、1万5,000円〜14万100円となっています(令和3年8月時点)。

同一世帯にご利用者が複数いる場合は、世帯の合算額が対象になります。あくまで施設・居宅サービスを利用した際の負担額が対象であり、居住費や食費、日常生活費などは対象外です。

高額療養費制度

高額療養費制度は、ひと月のなかで医療機関を受診し、病院窓口や薬局などで支払った合計額が所得や年齢ごとに区分された上限額を超えた場合、超過分が返金される制度です。上限額は年齢や所得によって異なります。70歳以上の人の上限額は以下のとおり計算されます。

適用区分 外来(個人ごと) ひと月の上限額(世帯ごと)
現役並み所得者 年収約1,160万円〜
標報83万円以上/課税所得690万円以上
252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770万円〜約1,160万円
標報53万円以上/課税所得380万円以上
167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370万円〜約770万円
標報28万円以上/課税所得145万円以上
80,100円+(医療費-267,000)×1%
一般所得者 年収約156万円〜約370万円
標報26万円以下
課税所得145万円未満など
18,000円(年14万4千円) 57,600円
低所得者(住民税非課税など) Ⅱ 住民税非課税世帯 8,000円 24,600円
Ⅰ 住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など)
15,000円

※ 一つの医療機関などでの自己負担(院外処方代を含みます。)だけでは上限額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関などでの自己負担を合算することができます。この合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。

例えば、年収が約370万円~約770万円(医療費3割負担)の方の場合、ひと月の自己負担上限額は、8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%で計算されます。

ある月に医療機関を受診し100万円の医療費がかかった場合、医療費は3割負担なので窓口で支払うのは30万円ですが、上記計算式に当てはめれば自己負担上限額は8万7,430円で済みます。

利用者負担軽減措置

利用者負担軽減措置とは、低所得で特に生活が困難と認められる方でも介護保険サービスを利用できるよう、サービス提供元である社会福祉法人などがご利用者の負担額を軽減する措置のことです。社会福祉法人には、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、介護老人福祉施設などの事業者が含まれます。

利用者負担軽減措置の対象となるのは、市町村民税世帯非課税で以下の条件をすべて満たす人のうち、特に生計が困難であるとして市町村が認定した人です。

  1. 単身世帯の年間収入が150万円(ただし、世帯員が2人以上の場合は、1人増えるごとに50万円を加算した額)以下であること。
  2. 単身世帯の預貯金等の額が350万円(ただし、世帯員が2人以上の場合は、1人増えるごとに100万円を加算した額)以下であること。
  3. 日常生活に供する資産を除き、他に活用できる資産がないこと。
  4. 負担能力のある親族等によって、扶養されていないこと。
  5. 介護保険料の滞納がないこと。

その他市区町村・自治体の制度

市町村民税が非課税の人など、低所得者向けの制度としては、「介護保険負担限度額認定制度」があります。

介護保険負担限度額認定制度は、一定の条件を満たす人が市町村に申請することで介護保険施設利用時の食費や居住費を軽減できる制度です。対象者には介護保険負担限度額認定証が交付されます。基本的に介護にかかる費用が対象です。食費や滞在費は対象にならない場合もありますので注意してください。

8.高齢者向け住まい(老人ホームなど)の費用が支払えない時は?

高齢者向け住まい(老人ホームなど)の初期費用が支払えないと、もちろん入居することはできません。そのため、予算内で無理なく初期費用が支払える施設を選ぶことが大切です。
また、入居時は問題がなくても、入居後の月額費用の支払いが困難になることもあります。原因となるのは、介護度が上がったことによる介護費用の増加、ご家族からの金銭援助の減少などさまざまな理由が考えられます。

継続して月額費用が支払えなくなると、より費用の安い施設に転居する、またはご家族が暮らしている自宅に戻るのが一般的な対処法です。しかし、月額費用が支払えなくなっても、すぐに退去させられるというわけではありません。基本的には数ヵ月の猶予期間にご本人、ご家族、施設担当者を交えて今後について話し合います。適切な対処法や転居先をなるべく早く見つけるためにも、費用の支払いに不安を感じたら施設スタッフやケアマネジャーに相談することが大切です。

9.予算に合う高齢者向け住まい(老人ホームなど)を選ぼう

今回は、高齢者向け住まい(老人ホームなど)の費用についてご紹介してきました。

高齢者向け住まい(老人ホームなど)には、さまざまな種類があり、施設ごとに初期費用や月額費用が異なります。まずはご家族で話し合い、予算内で入居できる高齢者向け住まい(老人ホームなど)を探してみましょう。

SOMPOケアでは、さまざまな種類の高齢者向け住まい(老人ホームなど)を運営しています。初期費用0円で比較的安価な費用で入居できる介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)から、高級分譲マンション品質で築いたサービス付き高齢者向け住宅まで、幅広いタイプの施設があるので、ぜひ高齢者向け住まい(老人ホームなど)をお探しの方は各施設情報をご覧ください。気になる施設があれば、お気軽にお問い合わせください。

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監修・執筆

林 修造

福祉系専門学校の教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や医療保険などの社会保障にも精通している。専門学校で教鞭を取る傍ら、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。

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