
「サービス付き高齢者向け住宅ではどんなサービスが受けられる?」
「サービス付き高齢者向け住宅の費用や入居条件を知りたい」
など、サービス付き高齢者向け住宅に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化されている高齢者向けの賃貸住宅です。サ高住、サ付きと呼ばれることもあり、他の介護施設とはさまざまな違いがあります。
今回は、サービス付き高齢者向け住宅の特徴、他の介護施設との違い、選び方のポイントなどを解説します。サービス付き高齢者向け住宅に興味を持っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者単身・夫婦世帯が、安心して居住できる賃貸住宅です。施設全体がバリアフリー化されていること、居室の床面積が25㎡以上あること、ケアの専門家による生活相談サービスが提供されていること、などの特徴があります。
この住宅は、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)の改正により2011年からスタートしたもので、賃貸住宅に住みながら見守りや安否確認などのサービスを受けられます。2024年10月末でサービス付き高齢者向け住宅の登録件数は、総戸数288,647戸、施設数8,318棟となっています。
参照: 一般社団法人 高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2024年10月)」
サービス付き高齢者向け住宅は、自由度の高さや施設のタイプの豊富さから人気があり、入居を希望する方が多くなっています。人気のある施設は待機者がいるほどで、空室が出るのを待たないといけない可能性もありますが、施設数は増加傾向にあります。
実際、2022年10月末時点では278,776戸、8,139棟であったのが、2024年10月時点は288,647戸、8,318棟と、約2年で総戸数が約1万戸、施設数が約180棟、増加しています。
サービス付き高齢者向け住宅の数が増えている分、施設ごとの特徴も幅広くなっているので、今回お伝えする選び方を参考に、自身に合うサービス付き高齢者向け住宅を探してみましょう。
希望に沿った施設が空いているか、すぐに入居できるかは、入居を希望するタイミングにもよります。少しでも気になるサービス付き高齢者向け住宅があれば、早めに手続きを進めていくと良いでしょう。
参照: 一般社団法人 高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2022年10月)」
参照: 一般社団法人 高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2024年10月)」
サービス付き高齢者向け住宅の居室は、原則として台所、トイレ、収納設備、洗面設備、浴室を備えていること、広さは25㎡以上であることとされています。ただし、食堂やキッチンなどが十分な広さを持つ共用スペースとして備えられている場合、専用部分の床面積は18㎡以上で良いとされています。
SOMPOケアの「ラヴィーレレジデンス」や「そんぽの家S」は、25㎡以上の居室内にこれら5つの設備をすべて完備している居室が基本のタイプとなっています。
※一部設備が異なる居室があります。
居室内や建物内はバリアフリー構造であることが原則とされ、段差のない床、手すりの設置、廊下の幅の確保などの基準が設けられ、車椅子の方でも生活しやすい造りとなっています。
SOMPOケアのラヴィーレレジデンスやそんぽの家Sの設備については、以下のページをご覧ください。
サービス紹介:SOMPOケア ラヴィーレレジデンス
サービス紹介:SOMPOケア そんぽの家S
サービス付き高齢者向け住宅の人員配置基準は、一般型と介護型の2つがあります(それぞれの特徴は後述)。
<一般型>
安否確認サービスと生活相談サービスの役割を担うケアの専門家が、日中の時間帯に建物に常駐することが基準として定められています。ここでいうケアの専門家とは次のような専門職を指します。
出典: 「サービス付き高齢者向け住宅について」介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省
上記いずれかの人員が施設に常駐している必要があります。
<介護型>
介護型サービス付き高齢者向け住宅は、種別としては有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)に分類され、人員基準もそれに則って運営されています。具体的には次のとおりです。
職種 | 内容 |
---|---|
管理者 | 1人[兼務可] |
生活相談員 | 要介護者等:生活相談員=100:1 |
看護・介護職員 |
要支援者:看護・介護職員=10:1 要介護者:看護・介護職員=3:1 ※ただし看護職員は要介護者等が30人までは1人、30人を超える場合は、50人ごとに1人 ※夜間帯の職員は1人以上 |
機能訓練指導員 | 1人以上[兼務可] |
計画作成担当者 |
介護支援専門員1人以上[兼務可] ※ただし、要介護者等:計画作成担当者100:1を標準 |
※2024年12月時点
出典: 「特定施設入居者生活介護」社保審-介護給付費分科会 第179回(R2.7.8)厚生労働省
前述のとおり、サービス付き高齢者向け住宅には、一般型と介護型の2種類があります。
一般型は自立~要介護度が軽い方向けで、一人暮らしや老々介護で日々の生活に不安を感じる方向けの施設です。必要に応じて外部の介護サービスを利用できます。
また、介護型は要介護度が重い方向けの施設です。ケアスタッフの24時間常駐が義務付けられており、外部サービスを利用せず施設のスタッフから介護サービスを受けられます。
サービス付き高齢者向け住宅の入居条件は、60歳以上で自立の方、要支援または要介護認定を受けている方(60歳未満も可)とその同居者です。ここでいう同居者とは次のような方を指します。
出典: 「サービス付き高齢者向け住宅」公益財団法人東京都福祉保健財団
ただし、一般型か介護型かによって入居条件が異なるうえ、施設によっては細かく入居に関するルールを設定していることがあります。一般型の場合、個別に介護サービスの契約が必要ですが、入居するサービス付き高齢者向け住宅が介護事業所を併設している場合はこれを利用できるので、ご自身で介護サービス事業者を探す必要はありません。
SOMPOケアが運営するサービス付き高齢者向け住宅のブランドである、ラヴィーレレジデンスやそんぽの家Sでは、併設の事業所がある場合、当該事業所で在宅介護サービスが受けられます。また、ご利用者ご本人が介護サービス事業者を選べるため、提携もしくは隣接していない事業所の介護サービス利用も可能です。加えて、必要であれば医療ケアや訪問看護などの医療サービスを受けられるので、安心して暮らせます。
サービス付き高齢者向け住宅では、次の基本サービスが提供されています。
また、日中は医療や介護に関するケアの専門家が常駐することが原則となっており、夜間帯は緊急呼出装置などで円滑に対応ができるよう環境を整えることも求められています。
サービス付き高齢者向け住宅のサービス内容について詳しくみていきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅のスタッフが必要に応じてご利用者の居室を巡回訪問し、安否確認や見守りを行うサービスです。ご利用者が万が一のときに素早く対応できるため、離れて暮らすご家族も安心ができます。訪問の頻度や時間、安否確認の内容は施設によって異なるため、入居する際に確認しましょう。
生活相談とは、ケアの専門家がご利用者の生活に関する相談に応じ、必要な助言や情報提供を行ってくれるサービスです。病院の受診や介護サービスの利用に繋がることがあります。
安否確認や生活相談のサービスのほかに、ご利用者の希望に応じて食事の提供も行っています(※提供を行っていない施設もあります)。施設によっては、ご利用者の口腔機能に合わせ、ミキサー食やきざみ食などの調理をしてくれることもあります。提供しているサービス内容は施設によって異なり、別途料金となっているため、事前に確認をしておきましょう。
ご利用者の居室の掃除やベッドシーツの交換、衣類の洗濯など、日常生活を支援したり家事を援助したりするサービスも提供しています。日常生活支援も、施設によって提供するサービスの内容が異なるため、入居する際に確認しましょう(※提供サービスによって、別途費用が発生します)。
サービス付き高齢者向け住宅では、ご利用者の生活を活性化することを目的に、季節に合わせたレクリエーションやアクティビティを提供しています。
内容は、脳トレや書道、カラオケ、外出レクリエーションなど、多岐にわたります。このような余暇活動をとおして新たな趣味が見つかり、他のご利用者との交流に繋がることがあります。
ご利用者の体調が急変した場合は、スタッフが初期対応(救急搬送の通報、ご家族への緊急連絡など)を行います。救急車を呼ぶほどではない場合は、連携する医療機関に対して往診を依頼します。いずれにせよ、ご利用者・ご家族にとっては安心できるサービスです。
サービス付き高齢者向け住宅のなかには、介護サービスを提供する事業所を併設しているところがあり、希望するご利用者に対してオプションで介護保険サービス(例:訪問介護、デイサービスなど)を提供する体制を整えています。また、看護師が勤務し医療ケアを提供する施設もあります。
SOMPOケアのラヴィーレレジデンスやそんぽの家Sでは、基本的にケアスタッフが24時間常駐して、安否確認の実施や緊急対応などに備えています。
また、ベッドサイド、トイレ、浴室には緊急呼出装置が設置してあり、万が一の場合、ボタンを押せば24時間いつでもスタッフがすぐに駆けつけられる体制を整えています。
サービス付き高齢者向け住宅に入居する際は、施設とご利用者の間で建物賃貸借契約を結びます。そのため、一般的な賃貸物件同様、入居時には敷金の支払いが必要です。月額費用には家賃や管理費が含まれており、これとは別に介護サービスの利用に応じて費用が加算されていきます。
なお、生活支援だけでなく身体介護やリハビリなどのサービスが含まれている分、介護型のサービス付き高齢者向け住宅の方が月額費用は高くなっています。
サービス付き高齢者向け住宅の主な契約形態は、建物賃貸借方式になります。そのため、入居する際の初期費用は、敷金、または保証金が必要になります。介護型では、契約形態が利用権方式となっているところもあり、その場合、初期費用として入居一時金(入居金や前払金とも呼ばれる)が必要になります。一般的なサービス付き高齢者向け住宅(一般型、介護型いずれも)の初期費用は施設の規模や立地などによって異なり、その幅も数十万円~数百万円と広くなっています。
サービス付き高齢者向け住宅に入居すると、月額費用として家賃や管理費、食費などがかかります。月額費用は一般型と介護型で異なり、次のとおりとなります。
月額費用 | 内訳 | |
---|---|---|
一般型 | 10万円~25万円 | 家賃、管理費、食費、水道光熱費、介護サービス費(利用状況に応じて)など |
介護型 | 15万円~40万円 | 家賃、管理費、食費、水道光熱費、介護サービス費(毎月定額)など |
次に、サービス付き高齢者向け住宅の特徴を見てみましょう。
サービス付き高齢者向け住宅の特徴は、自由な生活を送れることです。マンションで暮らすように、ご自身のペースに合わせた生活を送ることができます。
例えば食事に関しても、居室にキッチンが備えられており、好きなものを好きなときに調理して食べることができます。また、浴室や洗濯機のスペースも居室にあるので、ご自身のペースに合わせて入浴や洗濯を行うことが可能です。
SOMPOケアのラヴィーレレジデンスやそんぽの家Sでは、居室内にIHコンロが備え付けられています。調理したものを自室でゆっくりとくつろぎながら食べられますし、施設で用意した食事を注文することも可能です。
自由に外出をしたり、施設内で行われるアクティビティに参加したり、ダイニングで他のご利用者と過ごすことも可能です(※食事や一部のアクティビティは有料となります)。
サービス付き高齢者向け住宅は、自立~要介護まで幅広いご利用者を受け入れているため、その分、施設によって建物の構造や設備に幅があり、提供するサービスが異なります。
住宅の設備でもご紹介したように、基本的な構造と登録基準としては以下のとおりです。
構造と登録基準 |
---|
・ 各居室は25㎡以上 ※ 共有部分にあたる食堂やリビングのスペースが十分に確保されている場合は、18㎡以上でも可能 ・ 各居室に台所・トイレ(水洗便所)・収納設備・洗面設備・浴室を設備 ※ 共有部分に同等の機能が備わっていれば、各居室に設置されていなくても良い ・ バリアフリー構造 |
要介護度が高い方や認知症のある方も対応可能な施設、プレイルームを完備して室内アクティビティを楽しめる施設、パークゴルフのような屋外アクティビティを楽しめる施設、駅から徒歩5分の立地でお出かけしやすい施設や緑に囲まれた施設など、バリエーションが豊富な点も大きな特徴です。
「まだ足腰は丈夫だから、眺めの良い高層階に住みたい」「にぎやかな場所が好きだから規模の大きい施設が良い」など、ご利用者の希望に沿った施設を選びやすいのもサービス付き高齢者向け住宅の魅力です。
サービス付き高齢者向け住宅は、特別養護老人ホームなどの介護保険施設と比べると入居条件が緩やかで、入居しやすくなっています。また、施設ごとに特徴があるため、自身の心身状況をふまえて入居する施設を選ぶことができます。
施設によっては、基本サービスのほかに自分が必要とするサービスを選んで追加することができます。介護サービスを利用する場合は、外部、もしくは併設する介護サービス事業所と個別に契約し、サービスを利用する流れとなります。希望する場合は担当のケアマネジャーに相談してみましょう。
サービス付き高齢者向け住宅に入居する場合、どのような点に注意が必要なのでしょうか。3つに分けて解説します。
サービス付き高齢者向け住宅は、一般の賃貸住宅よりも家賃が高く設定されている場合があります。バリアフリー構造で高齢者が生活しやすいよう配慮されているうえ、安否確認などのサービスが付帯しているため、どうしてもランニングコストが高くなってしまうためです。
サービス付き高齢者向け住宅のなかには、介護度が上がると入居し続けることが難しくなる施設があります。ただし、すべての住宅がそのような設定をしている訳ではありません。介護度が高くなっても入居し続けられるケースもありますし、看取りまで対応する施設もあるなど、施設により対応内容は異なります。今後のことを見据えて、入居時に必ず確認するようにしましょう。
サービス付き高齢者向け住宅によっては、重度の認知症のある方の入居が難しい場合があります。一方では認知症のある方の入居を受け入れている施設もあり、施設によって対応も変わってきます。施設によって細かなルールが異なりますので、入居の際に確認を取りましょう。
ここでは、サービス付き高齢者向け住宅と他の介護施設の違いをお伝えします。
各介護施設に関する情報を説明する前に、サービス付き高齢者向け住宅の特徴を下表でおさらいしておきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅の特徴としては以下のとおりです。
契約方式 | 建物賃貸借契約、利用権方式 |
---|---|
入居条件 |
次のいずれかの条件を満たす方 ・ 60歳以上の高齢者の方 ・ 要介護認定を受けた60歳未満の方とその同居者 ※同居者とは次のような方を指す ・ 配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にあるものを含む) ・ 60歳以上の親族 ・ 要介護・要支援認定を受けている親族 |
サービス内容 |
安否確認や見守り、生活相談 ※必要に応じて下記サービスが受けられる(別途料金) 食事提供、日常生活支援、レクリエーション・アクティビティ、緊急時対応、医療ケアや介護サービス |
上記を踏まえて、他の施設との違いをみていきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いをお伝えします。
有料老人ホームは、介護付、住宅型、健康型と3つの種類に分けられます。まずは、それぞれの特徴をまとめた表を見ていきましょう。
介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)の特徴
契約方式 | 利用権方式 |
---|---|
入居条件 | 「介護専用タイプ」「混合タイプ」「自立タイプ」の3つの施設形態に応じて、自立~要介護5までの方 |
サービス内容 | 24時間体制で職員が常駐しており、利用者の身の回りの世話から日常介助まで対応 |
住宅型有料老人ホームの特徴
契約方式 | 利用権方式、建物賃貸借契約、終身建物賃貸借契約 |
---|---|
入居条件 | 60歳以上でありかつ自立または軽度の要介護状態の方 |
サービス内容 |
比較的、医療依存度の低い人を対象とした生活援助やレクリエーションなどのサービスを提供 「介護付」よりも費用が割安で済むことが多い |
健康型有料老人ホームの特徴
契約方式 | 利用権方式、建物賃貸借契約、終身建物賃貸借契約 |
---|---|
入居条件 | 60歳以上でありかつ自立または要支援状態の方 |
サービス内容 | 基本的には介護認定されていない自立した人を対象に、家事手伝いなどのサポートを行いつつ、スポーツジムなどの設備が充実した中で日常生活を楽しめる環境を提供 |
サービス付き高齢者向け住宅では入居に際し建物賃貸借契約が結ばれますが、介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)では、生涯施設を利用できる利用権方式が取られる施設が多くなっています。また、住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームは、施設の運営方針によって契約方式が異なってきます。
有料老人ホームは、60歳以上で自立した生活ができる方から介護が必要な方まで、幅広い高齢者が入居対象となっています。介護付や住宅型といったタイプがあり、それぞれ入居対象者が異なる分、サービス付き高齢者向け住宅よりも多くの方が入居対象者に該当します。
介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)は、厚生労働省より特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設です。介護スタッフや看護スタッフが常駐しており、日常生活全般において介護が受けられます。
なお、サービス付き高齢者向け住宅でも、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設があり、その場合は介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)と同等の基準で運営され、そのうえで介護サービスが提供されています。
住宅型有料老人ホームでは外部の訪問介護やデイサービスなどと契約し介護サービスが受けられます。一般型のサービス付き高齢者向け住宅と同様の利用方法です。
有料老人ホームに関して詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。
次に、サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンションの違いをお伝えします。シニア向け分譲マンションの特徴としては、以下のとおりです。
シニア向け分譲マンションの特徴
契約方式 | 所有権方式 |
---|---|
入居条件 | 自立した生活を送れる高齢者の方 |
サービス内容 | 定期的な見守り、食事・掃除・洗濯の支援、緊急時の対応 |
シニア向け分譲マンションの契約方式は、所有権方式となっています。その名のとおり分譲マンションのため、購入して入居する形です。購入後はご利用者の資産となるため、譲渡したり賃貸に出したりすることもでき、自身の希望に合わせてリフォームすることも可能です。建物賃貸借契約を結ぶサービス付き高齢者向け住宅の場合は、あくまでも賃貸住宅なので、ご利用者にとって相続財産としては残りません。
シニア向け分譲マンションは、基本的に自立した生活が送れる高齢者が対象です。認知症や介護度が高くなると入居できない場合があるのはサービス付き高齢者向け住宅と同じです。また、介護度が低い方が対象ということもあり、居室の設備の充実度や自由に外出できるなど、生活の自由度もサービス付き高齢者向け住宅と似たような傾向があります。
基本的にシニア向け分譲マンションは、ケアスタッフの配置義務がありません。しかし、マンションによっては見守りや食事の提供、家事のサポートといったサービスが付いている場合があります。
介護が必要な場合は外部の事業所と契約し、訪問介護やデイサービスなどを利用する点は、サービス付き高齢者向け住宅と同じです。また、サービス付き高齢者向け住宅よりもスポーツジムやレストラン、温泉などの娯楽施設が充実しているケースが多いのも特徴です。
下記に該当する方は、サービス付き高齢者向け住宅の入居がおすすめです。
サービス付き高齢者向け住宅は、名前が示すとおり施設ではなく住宅です。そのため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設のような手厚い介護サービスはありませんが、その分自由に生活できるという特徴があります。
また、介護サービスは必要に応じて外部の介護サービス事業者と契約して利用することになります。自分で利用するサービスを選べるので、自分のペースを守って生活し続けられるでしょう。
万が一のときに備えて、定期的な見守りサービスがあるのも安心できるポイントです。今一人暮らしをしているが、高齢や身体の状態にともない不安を感じている方は、早めに入居先を探し始めてみるのも良いかもしれません。
次に、サービス付き高齢者向け住宅の注意点を見てみましょう。
契約時にかかる初期費用や継続的にかかる家賃は、入居するサービス付き高齢者向け住宅によって異なります。そのため、ご自身やご家族が想定する予算内に収まるかどうかを事前に確認しましょう。
また、多くのサービス付き高齢者向け住宅では、入居時に敷金(家賃の2~3ヵ月程度)が必要になるほか、入居一時金がないために、家賃を高めに設定している場合もあるので確認しておきましょう。なお、サービス付き高齢者向け住宅では更新料や礼金は必要ありません。
外部の介護サービスを利用する予定がある方は、契約しないと費用が見えてこないので、予算から少し余裕があるサービス付き高齢者向け住宅を選ぶことをおすすめします。
費用の内訳などに関しては、下記記事で詳しく説明しているので参考にしてください。
サービス付き高齢者向け住宅の入居後の住みやすさは、立地や周辺環境によって変わります。病院、スーパー、金融機関など、日常生活で利用する施設が周辺にあるかどうかを確認しておきましょう。
また、ご利用者が外出する場合やご家族・知人が会いに来ることも踏まえ、公共交通機関が利用しやすいか、車で来やすい場所かなども含めてサービス付き高齢者向け住宅を選ぶと良いでしょう。ご家族にとっても、様子を見に行くことはもちろん、荷物を運んだり、買い物の付き添いをしたりと、何かとご利用者に会いに行く機会が多い場合もあるので、立地条件は重要なポイントです。
サービス付き高齢者向け住宅では食事の提供義務はありません。しかし、実際には9割以上の施設で食事提供サービスを導入しており、ご利用者が希望すれば食事の提供が受けられる環境が整えられています。
SOMPOケアのサービス付き高齢者向け住宅ラヴィーレレジデンスやそんぽの家Sでは、管理栄養士や調理師などのプロフェッショナルが開発したメニューを提供しています。1日1食から注文することができ、タンパク質やカロリー、塩分などを抑えた治療用食や、噛むことや飲み込むことが困難な方にもおいしく食べていただけるソフト食・ムース食など、ご利用者のお身体の状態に合わせたさまざまな形態のお食事も提供可能です。
SOMPOケアで提供している食事に関しては、こちらも併せてご覧ください。
また、入浴などの介護や家事代行、健康管理サービスも大半のサービス付き高齢者向け住宅で提供しています。標準サービスである安否確認では、最低一日一回、居室の訪問や電話での確認を行っています。安否確認の時間に決まりはなく、事業所ごとに時間や確認方法を設けて実施しています。
さらに、電球の交換やごみ捨て、郵便物の受け渡しなどといった日常生活のちょっとした困りごとの支援、ご家族との連絡などの仲介サービス、その他生活相談などを行っているサービス付き高齢者向け住宅もあります。
ご利用者がどのようなサービスを希望されるのか、施設で提供されているサービスの種類などは、ご入居前に確認しておくことをおすすめします。
サービス付き高齢者向け住宅で介護を受けたい場合は、ホームヘルパー(ケアスタッフ)に訪問してもらう、または施設に併設されたデイサービスなどの事業所に通うといった方法が一般的です。
サービス付き高齢者向け住宅のなかには特定施設入居者生活介護の指定を受けて、施設に常駐するホームヘルパー(ケアスタッフ)が介護サービスを提供するところもあります。しかし、このようなサービス付き高齢者向け住宅は、全体の1割以下です。施設内のスタッフからサービスを受けたい場合、施設の介護サービスの提供状況を確認しておく必要があります。
一般的なサービス付き高齢者向け住宅の入居の流れは、以下のような手続きで進みます。
<例>
退去を希望する場合は事前に申出を行い(※2)、サービス料金や光熱費、敷金の清算を行ったあとに退去となります。
※1 入院中・施設入居中の方
・介護・看護サマリー:過去のご病気や治療などの履歴、現在受けている介護などが要約された書類
・ケアプラン:介護サービスご利用者ご本人の意向やサービス内容がまとめられた計画書 など
※2 事前の申出に関しては施設によって期限(1ヵ月前までなど)が異なる場合があるため、契約時に確認しておきましょう。
今回は、サービス付き高齢者向け住宅の特徴や他の介護施設との違いなどをお伝えしました。
サービス付き高齢者向け住宅は、入居される方のニーズによって自由度の高い暮らしを送ることが可能です。食事や入浴、外出の自由はもちろん、施設内のアクティビティやサークル活動などが行われている施設などもあります。
SOMPOケアのラヴィーレレジデンスやそんぽの家Sには、ご利用者の友人同士でパークゴルフに出かけたり、おしゃべりや囲碁、将棋、カラオケなどを楽しんだり、なかには趣味の絵を描くために長期のスケッチ旅行に出かけたりする方もいます。ご自身のライフスタイルに合わせた自由度の高い暮らしを求める方は、サービス付き高齢者向け住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
SOMPOケアでは、サービス付き高齢者向け住宅をはじめ、さまざまな高齢者向け住まいを運営しています。これまでの経験を踏まえ、最適なご案内をさせていただきますので、介護施設に関してお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
福祉系専門学校の教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や医療保険などの社会保障にも精通している。専門学校で教鞭を取る傍ら、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。
介護保険には有料老人ホームでのリハビリの規定はないものの、実際にリハビリを行っている有料老人ホームはたくさんあります。この記事では、有料老人ホームで受けられるリハビリとその種類を紹介します。
特別養護老人ホームとは、重度の要介護状態にある高齢者が入居して介護サービスが受けられる施設です。この記事では、特別養護老人ホームの特徴を説明するとともに、入居の条件、申し込みの流れなどをご紹介します。
「住宅型有料老人ホーム」の特徴や選び方、入居後の生活などをご紹介します。住宅型有料老人ホームへの入居を検討する際に必ず理解しておきたいポイントを確認しましょう。
特定施設入居者生活介護とは、厚生労働省が定めた基準を満たした有料老人ホームやケアハウスなどの施設で受けられる介護サービスのことです。この記事では、特定施設入居者生活介護のサービス内容や対象者などをわかりやすく解説します。