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デイサービスを利用したいとお考えの方のなかには、「費用がどれくらいかかるのかわからない」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
デイサービスには1回の利用あたり1,000円~2,000円の費用がかかりますが、要介護度や利用時間、サービスの内容によって金額が異なります。
この記事では、デイサービスの概要や種類を解説するとともに、具体的な金額や、費用を軽減する制度などをご紹介します。
目次
デイサービスとは、ご利用者が通所介護(デイサービス)事業所などに通い、日帰りで介護や食事の提供を受けられるサービスです。事業所への送迎、昼食の提供、食事介助などの身体介護、入浴、アクティビティ、健康チェックなどのサービスが提供されます。
デイサービスは、ご利用者の心身機能の維持だけでなく、ご家族の介護負担の軽減を目的として利用することも可能です。
デイサービスについて詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
デイサービスを利用する際の費用は、ご利用者の要介護度や利用する時間数、事業所の規模などによって異なりますが、自己負担額は1回あたり1,000円~2,000円となっています。
これは、介護保険が適用されるサービスの費用と、介護保険適用外の費用(おむつなどの日用品代、食事代など)を合計した金額です。
なお、デイサービスと似たサービスには、デイケアがあります。デイケアは通所リハビリテーションの通称で、運動機能の向上や改善、医療的ケアを受けることを目的としたサービスです。
デイサービスとデイケアの違いを表にまとめました。
デイサービス | デイケア | |
---|---|---|
目的 | 日常生活上の介護、心身機能の維持、他者との交流など | リハビリテーションによる運動機能の向上や改善、医療的ケアなど |
サービス内容 |
・健康チェック ・食事の提供 ・身体介護 ・機能訓練 ・余暇活動 など |
・健康チェック ・リハビリテーション ・食事の提供 ・身体介護 ・余暇活動 ・医療的ケア など |
特徴 | 介護サービスを受けながら、他のご利用者や介護スタッフと交流し、社会性を保つことができる | 専門的なリハビリテーションや医療的ケアを受け、身体機能、認知機能を維持させることが狙い |
費用 | 1,000円~2,000円/回 ※介護保険が適用されるサービス費用、介護保険適用外の費用(おむつなどの日用品代、食事代など)を含む |
1,300円~2,500円/回 ※介護保険が適用されるサービス費用、介護保険適用外の費用(おむつなどの日用品代、食事代など)を含む |
※2025年1月時点
デイケア(通所リハビリテーション)については、下記記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
デイサービスの費用には、介護保険が適用されるサービスの費用と介護保険が適用されない費用が含まれています。内訳は次のとおりです。
適用・適用外 | 内容 | 自己負担額 | 備考 |
---|---|---|---|
適用 | デイサービス利用料 | 350円~1,200円程度 | 自己負担額が1割負担の場合 |
各種加算 | 40円~200円程度 | 自己負担額が1割負担の場合 ※加算の種類によって金額が異なる |
|
不適用 | 食費 | 500円~1,000円程度 | 食事を提供するデイサービスでかかる費用 全額自己負担となる |
日用品などの費用 | 100円~ | おむつ、歯ブラシなど事業所の備品を利用した場合にかかる費用 |
※2025年1月時点
※利用料金は事業所によって異なる
出典: 「どんなサービスがあるの? – 通所介護(デイサービス)」介護事業所・生活関連情報検索システム 厚生労働省
介護保険サービスと介護保険外サービスの違いについては以下の記事もご覧ください。
介護保険を使ってデイサービスを利用すると、ご利用者は、国が定めた単位に基づいてその費用(自己負担分)を支払います。単位は以下の条件によって変動します。
以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
デイサービスの利用料は、要介護区分と利用する時間の組み合わせによって決まります。以下は、後述する通常規模型の1回あたりの費用です。
3時間以上4時間未満 | 4時間以上5時間未満 | 5時間以上6時間未満 | 6時間以上7時間未満 | 7時間以上8時間未満 | 8時間以上9時間未満 | |
---|---|---|---|---|---|---|
要介護1 | 370円 | 388円 | 570円 | 584円 | 658円 | 669円 |
要介護2 | 423円 | 444円 | 673円 | 689円 | 777円 | 791円 |
要介護3 | 479円 | 502円 | 777円 | 796円 | 900円 | 915円 |
要介護4 | 533円 | 560円 | 880円 | 901円 | 1,023円 | 1,041円 |
要介護5 | 588円 | 617円 | 984円 | 1,008円 | 1,148円 | 1,168円 |
※2025年1月時点
※ご利用者の自己負担割合が1割の場合
出典: 「介護報酬の算定構造介護サービス 介護サービス」厚生労働省
デイサービスの利用料は、事業所の大きさや規模によっても違います。以下、事業所ごとの費用をご紹介します。
通常規模型とは、月平均のご利用者数が301人以上750人以内の事業所で、最も多いタイプの事業所です。1回あたりの費用は先ほどご紹介したとおりです。
地域密着型とは、介護保険制度における地域密着型サービスの一つで、デイサービスを利用する人の数は1日あたり18名以下と決められています。
地域住民のニーズに応じた介護や支援が期待できる小規模のデイサービスであり、顔なじみの関係のなかでサービスを利用できる点に特徴があります。1回あたりの費用は以下のとおりです。
3時間以上4時間未満 | 4時間以上5時間未満 | 5時間以上6時間未満 | 6時間以上7時間未満 | 7時間以上8時間未満 | 8時間以上9時間未満 | |
---|---|---|---|---|---|---|
要介護1 | 416円 | 436円 | 657円 | 678円 | 753円 | 783円 |
要介護2 | 478円 | 501円 | 776円 | 801円 | 890円 | 925円 |
要介護3 | 540円 | 566円 | 896円 | 925円 | 1,032円 | 1,072円 |
要介護4 | 600円 | 629円 | 1,013円 | 1,049円 | 1,172円 | 1,220円 |
要介護5 | 663円 | 695円 | 1,134円 | 1,172円 | 1,312円 | 1,365円 |
※2025年1月時点
※ご利用者の自己負担割合が1割の場合
出典: 「介護報酬の算定構造 地域密着型サービス」厚生労働省
大規模型(Ⅰ)とは、月平均のご利用者数が751人~900人以内(1日あたり約35人~45人)のデイサービスです。
ご利用者やスタッフの数が多く、行われるレクリエーションや他のご利用者とのコミュニケーションが活発になります。社交的な方やにぎやかな場所が好きな方に向いているでしょう。費用は以下のとおりです。
3時間以上4時間未満 | 4時間以上5時間未満 | 5時間以上6時間未満 | 6時間以上7時間未満 | 7時間以上8時間未満 | 8時間以上9時間未満 | |
---|---|---|---|---|---|---|
要介護1 | 358円 | 376円 | 544円 | 564円 | 629円 | 647円 |
要介護2 | 409円 | 430円 | 643円 | 667円 | 744円 | 765円 |
要介護3 | 462円 | 486円 | 743円 | 770円 | 861円 | 885円 |
要介護4 | 513円 | 541円 | 840円 | 871円 | 980円 | 1,007円 |
要介護5 | 568円 | 597円 | 940円 | 974円 | 1,097円 | 1,127円 |
※2025年1月時点
※ご利用者の自己負担割合が1割の場合
出典: 「介護報酬の算定構造介護サービス 介護サービス」厚生労働省
大規模型(Ⅱ)とは、月平均のご利用者数が901人以上(1日あたり約45人以上)のデイサービスです。
大規模型(Ⅰ)よりもご利用者やスタッフの数が多く、デイサービスのなかでは最大規模の事業所です。1回あたりの費用は以下のとおりです。
3時間以上4時間未満 | 4時間以上5時間未満 | 5時間以上6時間未満 | 6時間以上7時間未満 | 7時間以上8時間未満 | 8時間以上9時間未満 | |
---|---|---|---|---|---|---|
要介護1 | 345円 | 362円 | 525円 | 543円 | 607円 | 623円 |
要介護2 | 395円 | 414円 | 620円 | 641円 | 716円 | 737円 |
要介護3 | 446円 | 468円 | 715円 | 740円 | 830円 | 852円 |
要介護4 | 495円 | 521円 | 812円 | 839円 | 946円 | 970円 |
要介護5 | 549円 | 575円 | 907円 | 939円 | 1,059円 | 1,086円 |
※2025年1月時点
※ご利用者の自己負担割合が1割の場合
出典: 「介護報酬の算定構造介護サービス 介護サービス」厚生労働省
地域区分とは、地域ごとの人件費の差を調整するために設定された介護報酬上のルールです。地域区分は8区分、人件費割合は3区分に分けられており、これらを組み合わせて1単位あたりの単価を定めています。
項目 | 内容 |
---|---|
地域区分 | 公務員の地域手当に準拠した設定を基本とし、1~7級地+その他の8区分に分けられる ただし、隣接地域とのバランスを考慮した特例があったり、介護報酬改定ごとに級地の見直しが行われたりする |
人件費割合 |
介護サービスの種類ごとに3区分に分けられる ・人件費割合①(70%):訪問介護、訪問入浴介護など ・人件費割合②(55%):通所リハビリテーション、小規模多機能型居宅介護、ショートステイなど ・人件費割合③(45%):通所介護(デイサービス)、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など |
※2025年1月時点
出典: 「地域区分」厚生労働省老健局
デイサービスにおける1単位あたりの単価は、次のとおり定められています。
地域区分(上乗せ割合) | 人件費割合③(45%) |
---|---|
1級地(20%) | 10.90円 |
2級地(16%) | 10.72円 |
3級地(15%) | 10.68円 |
4級地(12%) | 10.54円 |
5級地(10%) | 10.45円 |
6級地(6%) | 10.27円 |
7級地(3%) | 10.14円 |
その他(0%) | 10円 |
※2025年1月時点
出典: 「地域区分」厚生労働省老健局
地域区分ごとの主要な地域を示します。なお、この表に掲げる名称は、令和6年4月1日においてそれらの名称を有する市、町、村または特別区の、同日における区域によって示された地域です。
級地 | 地域 ※一部 |
---|---|
1級地 | 東京都:特別区 |
2級地 |
東京都:調布市、町田市、狛江市など 神奈川県:横浜市、川崎市 大阪府:大阪市 |
3級地 |
埼玉県:さいたま市 千葉県:千葉市、浦安市 東京都:八王子市、武蔵野市、三鷹市など 神奈川県:鎌倉市、厚木市 ほか |
4級地 |
茨城県:牛久市 埼玉県:朝霞市、志木市、和光市 千葉県:船橋市、成田市、習志野市 東京都:立川市、昭島市、東大和市 ほか |
5級地 |
茨城県:水戸市、日立市、龍ケ崎市など 埼玉県:川口市、草加市、戸田市など 千葉県:市川市、松戸市、佐倉市など 東京都:福生市、あきる野市、日の出町など ほか |
6級地 |
栃木県:宇都宮市、下野市、野木町 群馬県:高崎市 埼玉県:川越市、行田市、所沢市など 千葉県:木更津市、野田市、茂原市など 東京都:武蔵村山市、羽村市、瑞穂町など 神奈川県:秦野市、大磯町、二宮町など ほか |
7級地 |
茨城県:結城市、下妻市、常総市など 栃木県:栃木市、鹿沼市、日光市など 群馬県:前橋市、伊勢崎市、太田市など 埼玉県:熊谷市、深谷市、日高市など 千葉県:東金市、君津市、富津市など 神奈川県:山北町、箱根町 ほか |
その他 | 1~7級地に該当しない地域 |
※2025年1月時点
出典: 「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」厚生労働省老健局
サービス加算とは、デイサービスなどの事業所が特定のサービスを提供していたり、人員配置が一定の条件を満たしたりする場合に加算される費用のことです。以下、その一部をご紹介します。
内容 | 加算される単位 | 自己負担額(1割の場合) |
---|---|---|
サービス提供体制強化加算 |
(Ⅰ):1回につき22単位 (Ⅱ):1回につき18単位 (Ⅲ):1回につき6単位 |
(Ⅰ):1回につき22円 (Ⅱ):1回につき18円 (Ⅲ):1回につき6円 |
個別機能訓練加算 |
(Ⅰ)イ:1日につき56単位 (Ⅰ)ロ:1日につき76単位 (Ⅱ):1月につき20単位 |
(Ⅰ)イ:1回につき56円 (Ⅰ)ロ:1回につき76円 (Ⅱ):1月につき20円 |
科学的介護推進体制加算 | 1月につき40単位 | 1月につき40円 |
ADL維持等加算 |
(Ⅰ):1月につき30単位 (Ⅱ):1月につき60単位 |
(Ⅰ):1月につき30円 (Ⅱ):1月につき60円 |
認知症加算 | 1日につき60単位 | 1日につき60円 |
栄養改善加算 | 1回につき200単位(月2回を限度) | 1回につき200円(月2回を限度) |
※2025年1月時点
前述のとおり、食費や日用品には介護保険が適用されないため、全額自己負担となります。該当するものとしては以下になります。
項目 | 内容 |
---|---|
食事 | 事業所が自由に設定するが、およそ500円~1,500円程度 |
日用品 |
デイサービスの準備するおむつ、歯ブラシを利用した場合にかかる費用 数百円〜/都度 |
レクリエーション材料 |
レクリエーションに参加し、材料を使った場合にかかる費用 数百円〜/回 |
デイサービスの費用が高額になってしまった場合、どのように対処したら良いのでしょうか。以下、自己負担を軽減する制度を解説します。
高額介護サービス費とは、1ヵ月に支払ったご利用者負担の合計が負担限度額を超えた場合に超過分が払い戻される制度です。詳細は次のとおりです。
区分 | 負担の上限額(月額) |
---|---|
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | 14万100円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円) ~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 |
9万3,000円(世帯) |
市町村民税課税 ~課税所得380万円(年収約770万円)未満 |
4万4,400円(世帯) |
世帯の全員が市町村民税非課税 | 2万4,600円(世帯) |
世帯の全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方など | 2万4,600円(世帯) 1万5,000円(個人) |
生活保護を受給している方など | 1万5,000円(世帯) |
※2025年1月時点
出典: 「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」厚生労働省
高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険における自己負担の合計額が著しく高額で、自己負担限度額を超えた場合に、その負担額の一部が払い戻される制度です。
病気の治療と介護の両方を受けており、負担費用に悩んでいる方に適切な制度です。対象期間は8月1日~翌年7月で、この期間に支払った医療保険・介護保険の自己負担額が対象となります。
この制度を利用したい方や、自身が対象となるかどうか知りたい方は、担当のケアマネジャーや自治体の窓口、医療保険の保険者などに相談してみてください。
社会福祉法人や市町村が運営する特別養護老人ホームやショートステイを利用した場合、または訪問介護やデイサービスなどの居宅サービスを利用した場合に、ご利用者の自己負担額を軽減する制度です。
軽減の条件は、市町村によって異なる場合がありますので注意してください。
例えば千葉市の場合、対象となるのは、以下の条件にすべてに当てはまる方、または生活保護を受給している方です。
出典: 「社会福祉法人等利用者負担軽減対策事業について」千葉市ホームページ
なお、すべてのサービスや事業者で利用できる制度ではありませんので、軽減の対象となる事業所やサービスを知りたい方は、担当のケアマネジャーや市町村の窓口に確認してください。
ここまで、デイサービスの費用について説明してきましたが、デイサービスを利用する際は、かかる費用がどのくらいになるのか、しっかりと把握しておくことが大事です。介護保険が適用されるサービスや適用されないサービスについても理解したうえで、要介護度や利用時間、事業所規模などによって利用料金が変わってくることを知っておきましょう。
また、利用するサービスによっても金額は変わってきます。高額になった場合も想定し、この記事でご紹介した軽減・制度の利用を検討してみてください。
SOMPOケアでは、デイサービスをはじめ、さまざまな在宅介護サービスを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください
福祉系専門学校の教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や医療保険などの社会保障にも精通している。専門学校で教鞭を取る傍ら、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。
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