デイサービスとデイケアの違いは?それぞれの特徴や選び方、費用について徹底比較!

デイサービスとデイケアはいずれも、自宅に住む高齢者が施設などに通って日帰りで利用する介護保険サービスです。しかし、両者は名称が似ており、それぞれの違いがよくわからないという方も少なくないでしょう。
この記事では、デイサービスとデイケアの違いや、それぞれのサービスにどのような特徴があるのかを詳しく解説します。

1.デイサービスとデイケアの特徴

まず、デイサービスとデイケアはそれぞれどのような目的や特徴をもつのかを知っておきましょう。

デイサービス(通所介護)の目的

デイサービスとは、心身機能の維持や他者との交流を目的として、自宅に住むご利用者が通所介護(デイサービス)事業所などに通って日帰りで介護や機能訓練などを受けるサービスです。健康チェックや食事の提供、入浴、排泄の介助、アクティビティといった日常生活上の介護が受けられます。

デイケア(通所リハビリテーション)の目的

デイケアとは、運動機能の向上や改善、医療的ケアを目的とした、自宅に住むご利用者向けのサービスです。介護老人保健施設、病院、診療所などに併設された通所リハビリテーションの施設へ通い、医師の指示のもと、リハビリ、医療的ケア、日常生活上の介護を受けることができます。

2.デイサービスとデイケアの対象者の違い

デイサービスとデイケアでは利用する対象者が異なります。それぞれどのような方が利用するのか見ていきましょう。

デイサービス(通所介護)の対象者

デイサービスの対象者は、要介護認定において要介護1以上の認定を受け、日常生活上の介護を必要とする方です。要支援1・2の方は、介護保険サービスではなく、市町村の実施する地域支援事業(介護予防・日常支援総合事業)の通所型サービスを利用します。

デイケア(通所リハビリテーション)の対象者

デイケアの対象者は、要介護認定において要支援1・2または要介護1~5の認定を受け、リハビリテーションや医療的ケアを必要とする方です。要支援1・2の方は、介護予防を目的とした介護予防通所リハビリテーションとしてデイケアを利用します。

3.デイサービスとデイケアのサービス内容の違い

続いて、デイサービスとデイケアでは、利用できるサービスにどのような違いがあるのかを詳しく見ていきます。

デイサービス(通所介護)のサービス内容

デイサービスでは、主に次のサービスが提供されています。

種類 内容
健康チェック センター到着後、看護師などが血圧、体温、脈拍などを測定し健康状態をチェックする。
食事の提供 ご利用者に対して昼食やおやつが提供される。 事業所によってはお弁当を購入して提供するケースもある。
身体介護 ご利用者の心身状態に合わせて食事、入浴、排泄などの介助が提供される。
機能訓練 認知機能や身体機能の維持を目的として、嚥下体操、歩行訓練、体操、ストレッチなどのプログラムが行われる。
余暇活動 気分転換やストレス解消を目的に、季節に合わせたアクティビティ、レクリエーションなどが行われる。

デイサービスでは機能訓練が行われ、日常生活動作の改善・維持を図ります。ご利用者は自身のニーズに合わせ、機能訓練指導員(看護師や理学療法士、作業療法士など)と一緒に訓練に臨みます。このプログラムは医師の指示が必要でないため、手軽に訓練が受けられます。

デイケア(通所リハビリテーション)のサービス内容

デイケアでは主に次のサービスが提供されています。

種類 内容
健康チェック 施設に到着後、看護師などが血圧、体温、脈拍を測定し健康状態をチェックする。
リハビリテーション 医師の指示に基づき、理学療法士や作業療法士などが、身体機能の維持・回復を目的とし、個別または集団でのリハビリテーションを行う。
食事の提供 ご利用者に対して昼食やおやつが提供される。 事業所によってはお弁当を購入して提供するケースもある。
身体介護 ご利用者の心身状態に合わせて、食事、入浴、排泄などの介助が提供される。
余暇活動 気分転換やストレス解消を目的に、季節に合わせたアクティビティやレクリエーションなどが行われる。
医療的ケア 医師の指示による痰の吸引や褥瘡のケアなど、医療的ケアの提供が可能。

デイケアでは、ご利用者に対して医師の指示に基づくリハビリテーションや医療的ケアが提供されている点に特徴があります。例えば、脳梗塞の後遺症によって身体の一部に障がいを負った方がデイケアに通い、理学療法士や作業療法士による専門的なリハビリテーションを受け、心身機能の向上を目指すといった場合に利用されます。デイサービスに比べ、より医療的・専門的な機能訓練だといえるでしょう。

このように、機能回復のためのリハビリテーションを必要とする方や、持病があって医療的な処置を必要とする方に向いているサービスです。

4.デイサービスとデイケアの費用の違い

デイサービスとデイケアにかかる費用は、ご利用者の要介護認定区分や、センター・施設の規模、利用した時間によって異なります。以下、通常規模の施設でかかる費用の目安をご紹介します。

デイサービス(通所介護)の費用

デイサービスの1回あたり費用は次のとおりです。

要介護度 1回あたりの費用 ※自己負担割合が1割の場合
要介護1 655円
要介護2 773円
要介護3 896円
要介護4 1,018円
要介護5 1,142円

※日常生活費(食費・おむつ代)は別途負担が必要。

デイケア(通所リハビリテーション)の費用

デイケアの費用は次のとおりです。

要介護度 1ヵ月あたりの費用 ※自己負担割合が1割の場合
要支援1 2,053円
要支援2 3,999円

※日常生活費(食費・おむつ代)は別途負担が必要。 ※選択的サービス(栄養改善、口腔機能向上など)は含まない。

要介護度 1回あたりの費用 ※自己負担割合が1割の場合
要介護1 710円
要介護2 844円
要介護3 974円
要介護4 1,129円
要介護5 1,281円

※日常生活費(食費・おむつ代)は別途負担が必要。

5.デイサービスとデイケアの人員体制・施設基準

デイサービスとデイケアの人員体制や施設基準に違いはあるのでしょうか。それぞれ整理して解説します。

デイサービス(通所介護)の人員体制・施設基準

デイサービス(通所介護)の人員体制、設備に関する基準は次のとおりです。

【人員基準】
職種 基準
生活相談員 事業所ごとにサービス提供時間に応じて、専従で1名以上 (生活相談員の勤務時間数としてサービス担当者会議、地域ケア会議等も含めることが可能)
看護職員 単位ごとに専従で1名以上 (通所介護の提供時間帯を通じて専従する必要はなく、訪問看護ステーション等との連携も可能)
介護職員 ①単位ごとにサービス提供時間に応じて専従で次の数以上 ア 利用者の数が15人まで 1名以上 イ 利用者の数が15人を超す場合 アの数に利用者の数が1人増すごとに0.2名を加えた数以上 ② 単位ごとに常時1名配置されること ③ ①の数及び②の条件を満たす場合は、当該事業所の他の単位における介護職員として従事することができる
機能訓練指導員 1名以上

※生活相談員又は介護職員のうち1名以上は常勤 ※定員10人以下の地域密着型通所介護事業所の場合は看護職員又は介護職員のいずれか1名の配置で可

【設備基準】
設備 基準
食堂 それぞれ必要な面積を有するものとし、その合計した面積が利用定員×3.0㎡以上
機能訓練室
相談室 相談の内容が漏えいしないよう配慮されている

デイサービスは生活相談員が常駐しているため、日常生活上の困り事や介護に関する相談ができます。デイサービスは全国に約4万3,000事業所(通常の通所介護に限れば約2万4,000箇所)があり、その数はデイケア(約8,000箇所)の約5倍です。ご利用者にとっては身近で利用しやすいサービスの一つといえるでしょう。

デイケア(通所リハビリテーション)の人員体制・施設基準

デイケアの人員体制、設備に関する基準は次のとおりです。

【人員基準】
職種 基準
医師 専任の常勤医師1名以上 (病院、診療所と併設されている事業所、介護老人保健施設、介護医療院では、当該病院等の常勤医師との兼務で差し支えない)
従事者 (理学療法士、作業療法士、看護師、准看護師、介護職員) 単位ごとに利用者10人に1名以上
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 上の内数として、単位ごとに利用者100人に1名以上(所要1~2時間の場合、適切な研修を受けた看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ師で可)
【設備基準】
設備 基準
リハビリテーションを行う専用の部屋 指定通所リハビリテーションを行うにふさわしい専用の部屋等であって、3平方メートルに利用定員を乗じた面積以上のもの
施設の規模 通常規模型 前年度1月当たりの平均利用延人員数が750人以内
大規模型(Ⅰ) 前年度1月当たりの平均利用延人員数が751人以上900人以内
大規模型(Ⅱ) 前年度1月当たりの平均利用延人員数が901人以上

デイケアには、医師や看護師、リハビリテーションの専門職が配置されているため、医療的ケアやリハビリテーションを必要とする人に向いているサービスです。また、デイケアは病院や老人保健施設などに併設されているため、万が一のときにも安心して利用できます。

6.デイサービスとデイケアの比較まとめ

ここまでご紹介したデイサービスとデイケアの違いをまとめると、次のとおりとなります。

デイサービス デイケア
目的 心身機能の維持、他者との交流 運動機能の向上や改善、医療的ケア
対象 要介護1以上 ※要支援1・2の方は介護予防・日常生活支援総合事業による通所型サービスを利用 要支援1・2または要介護1~5
サービス内容 ・健康チェック ・食事の提供 ・身体介護 ・機能訓練 ・余暇活動 など ・健康チェック ・リハビリテーション ・食事の提供 ・身体介護 ・余暇活動 ・医療的ケア など
費用 約660円~1,150円 ※1回あたり。日常生活費(食費・おむつ代など)は含まない 要介護1~5の方は、1回あたり約710円~1,300円 要支援1・2の方は、月額2,050円~4,000円 ※日常生活費(食費・おむつ代など)は含まない
特徴 1日を通して介護サービスを受けながら、他者と交流しつつ、日々の生活を活性化させることができる 医療的ケアや専門的なリハビリテーションを受け、心身機能を維持・向上させることができる

7.デイサービスとデイケアのメリットや注意すべき点

デイサービスとデイケアにはそれぞれメリット・デメリットがあります。以下、詳しく見ていきましょう。

デイサービス(通所介護)のメリットや注意点

デイサービスは事業所の数が多く、自宅から通える施設を見つけやすいため、気軽に利用できるサービスです。必要に応じた介護を受けながら他者と交流でき、生活の質的向上を図ることができるメリットがあります。

また、ご利用者がデイサービスを利用している間、ご家族は日常の介護から離れ、休息を取ることができます。ご家族の身体的・精神的負担を軽減(=レスパイトケア)できる点もメリットです。 一方、注意すべき点としては、デイサービスでは医療的ケアや専門的なリハビリテーションを受けられないことが挙げられます。また、他者との交流が苦手な人にとっては、デイサービスの利用がかえってストレスになる恐れがあります。要介護の場合は利用回数ごとに費用が発生するため、利用する回数によっては費用が高くなる場合もあります。

デイケア(通所リハビリテーション)のメリットや注意点

デイケアでは専門的なリハビリテーションが受けられ、心身機能の維持・向上が図れます。専門スタッフやリハビリ専用の器具を使ったリハビリを受けることができるため、ご利用者にあった最適なリハビリが受けられるのです。また、必要に応じて医師や看護師から医療的ケアを受けることができる点もメリットです。

一方、デイサービスと比べて事業所の数が少なく、選択肢が限られる点に注意しましょう。また、デイサービスよりも1回あたりの費用が高く設定されており、利用頻度が多くなれば経済的負担が大きくなります。 リハビリの実施方法や機器も施設によって異なるので確認が必要となります。

8.デイサービスとデイケアどちらを選ぶべき?

デイサービスとデイケアのどちらが良いかを決めるには、ご自身の状況や介護・リハビリが必要な理由などを総合的に判断する必要があります。それぞれのサービスに向いている方は以下のとおりです。

デイサービス(通所介護)の利用が向いている方

デイサービスは次のような方におすすめです。

  • 一人暮らしで十分な食事や入浴が難しい方
  • 現在、身体的に自立しており、この状態を維持したい方
  • 認知症が軽度で、人との交流を楽しみたい方
  • レクリエーションなどで生活を活性化させたい方

以下のページからは、SOMPOケアのデイサービス事業所を探すことができます。お住まいのお近くに事業所があれば、ぜひご利用をご検討ください。 全国から通所介護(デイサービス)を探す

デイケア(通所リハビリテーション)の利用が向いている方

デイケアは次のような方におすすめです。

  • 病気やケガのあとでリハビリテーションが必要な方
  • 医療的ケアを必要とする方
  • リハビリテーションに重点を置いて心身機能を回復させたい方

なお、デイサービスとデイケアは併用が可能です。それぞれのサービスを何度か利用し、ご利用者のニーズに合うのがどちらなのか比較検討するのも一つの手段です。

どちらのサービスに向いているのかわからない場合は、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談してみましょう。ケアマネジャーは、ご利用者やご家族の介護保険や介護サービスに関する相談に対して適切な助言を行うとともに、介護保険のサービス計画(ケアプラン)を作成する役割を担う専門職です。デイサービスやデイケアの利用に関して疑問や不安があれば、担当のケアマネジャーへの相談をおすすめします。 デイサービス・デイケアをもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 デイサービス(通所介護)とは?サービス内容や利用対象者、費用について紹介 デイケア(通所リハビリテーション)とは?主なサービスから利用の流れまでをご紹介

9.それぞれの特徴を理解し、あなたにあった施設選びを

デイサービスとデイケアでは、同じようなサービス名称でも目的や対象、サービス内容は異なります。その違いをふまえ、自身のニーズに照らし合わせたうえで利用する事業所を選択することが大切です。

介護保険制度のサービスは種類がとても多く、どのサービスが自身のニーズに適うのか、どれくらいの費用がかかるのかを把握するのは難しいものです。不安がある場合は、担当のケアマネジャーにぜひ相談してみてください。 SOMPOケアでは、デイサービスなどの在宅サービスを多数提供しております。施設やサービスをお探しの際はぜひご利用をご検討ください。 SOMPOケアの在宅サービスを探す SOMPOケアの「介護なんでも相談室」はこちら お電話から:0120-37-1865(フリーダイヤル)

監修・執筆

林 修造

福祉系専門学校の教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や医療保険などの社会保障にも精通している。専門学校で教鞭を取る傍ら、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。

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