
ご自身やご家族に介護が必要となったとき、利用するのが「介護保険サービス」です。
しかし、介護保険サービスがどのようなもので、どのように利用したらよいのかわからない人が多いのではないでしょうか。ここでは、介護保険サービスについて、種類やご利用の流れについて紹介します。
介護保険制度とは、2000年4月にスタートした社会保障制度の一つです。加速する少子高齢化により、老老介護や介護離職などの問題が深刻化したことを背景に創設されました。
介護保険制度は、介護を必要とする高齢者を社会全体で支える仕組みとなっています。目まぐるしく変わる介護の現状に対応するため、介護保険制度は3年に1回の改正が行われています。2020年には地域共生社会実現のために、介護人材確保や業務効率化の取り組み強化などに関する改正がされ、2021年施行されました。次回2023年改正、2024年施行予定です。
介護保険制度の被保険者は次の第一号被保険者と第二号被保険者に分けられます。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
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対象者 | 65歳以上の方 | 40歳以上65歳未満の健保組合、全国健康保険協会、市町村国保などの医療保険加入者 (40歳になれば自動的に資格を取得し、65歳になるときに自動的に第1号被保険者に切り替わります。) |
受給要件 | ・要支援状態 ・要介護状態 |
・要介護(要支援)状態が、老化に起因する疾病(特定疾病※)による場合に限定。 |
保険料の徴収方法 | ・市町村と特別区が徴収(原則、年金からの天引き) ・65歳になった月から徴収開始 |
・医療保険料と一体的に徴収 ・40歳になった月から徴収開始 |
※特定疾病
末期がん/関節リウマチ/筋委縮性側索硬化症/後縦靭帯骨化症/骨折を伴う骨粗しょう症/初老期における認知症/パーキンソン病関連疾患/脊髄小脳変性症/脊柱管狭窄症/早老症/多系統萎縮症/糖尿病性神経障害・腎症・網膜症/脳血管疾患/閉塞性動脈硬化症/慢性閉塞性肺疾患/両側の膝関節もしくは股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
なお、介護保険制度は自動的に利用できるのものではありません。利用を希望するときには、要介護認定を申請し、要支援もしくは要介護の認定を受ける必要があります。
介護保険制度に基づいて提供されるサービスを「介護保険サービス」といいます。
在宅介護サービス | 自宅で暮らしながら受けられる介護保険サービス。 |
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施設・居住系サービス | 施設に入所して受けられる介護保険サービス。 |
自宅等に住みながら受けられる介護保険サービスは、次の3種類に分けられます。
訪問サービスは、ホームヘルパー(ケアスタッフ)や看護スタッフ、理学療法士などのリハビリ専門職が、自宅に訪問してサービスを提供します。主な訪問サービスは次の通りです。
※居宅療養管理指導とは、通院が困難な人に対し、医師や薬剤師、管理栄養士が訪問して療養生活に必要な指導や栄養管理、アドバイスを行う介護保険サービスのこと。
通所介護サービスは、デイサービスセンターや病院の通所リハビリテーションセンターなどに通って受ける介護保険サービスです。食事の提供や入浴などの日常生活上のお世話や、歩行訓練、筋力トレーニングなどの機能訓練を受けることができます。代表的な通所サービスは以下の通りです。
介護施設や病院などに短期間入所して、日常生活上の世話や機能訓練などを受けるサービスを短期入所といいます。一方、小規模多機能は、通いを中心に泊りや訪問を複合的に利用する地域密着型サービスです。短期入所と小規模多機能は共に2種類あります。
施設で受ける介護サービスには、次の3種類があります。
介護保険では、次の3種類の介護保険施設に入所して、ホームのスタッフから介護を受けることを「施設サービス」といいます。
介護保険施設では食事や排泄、入浴などの日常生活上の世話や機能訓練、療養上のお世話などの介護サービスが提供されます。
施設系サービス以外の介護施設に入居して介護を受けるサービスを「居住系サービス」といいます。居住系サービスを受けられる施設には、主に次のような施設があります。
住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅には、介護サービスが付いていません。もし介護が必要となった時には、外部の介護事業所と契約すれば訪問介護やデイサービスなどの在宅介護サービスを受けることができます。また、ケアハウスは他の介護施設に比べて安価な費用で入居が可能です。
このように、居住系施設はホームによって提供される介護サービスや入居要件、費用などが異なるため、ご自身やご家族のニーズに合わせてホームを選びやすくなっています。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、要支援2以上で認知症の診断を受けており、グループホームのある市区町村に住んでいる高齢者が入所できるホームです。家庭的な雰囲気の中、職員のサポートを受けながら、洗濯や料理など日常生活に必要な行為をご自身のできる範囲で行っています。1ユニットは9名となっており、少人数でゆったりとした雰囲気で過ごせます。
高齢者向け住まい(老人ホーム等)の種類などについて、詳しくはこちらをご覧ください。
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