
高齢者の生活と健康
高齢者向けレクリエーションとは?内容や効果、種類についてご紹介
「ケアハウスはどのような施設なの?」
「ケアハウスと他の施設との違いは?」
など、ケアハウスに関して疑問を持っている方もいるでしょう。
ケアハウスは、高齢者向け施設の一つで、生活支援サービスを受けながら暮らすことができる施設です。
この記事では、ケアハウスの特徴や受けられるサービス、特徴などをご紹介します。
目次
ケアハウスとは、主にご家族からの援助が得られないことや、経済的な理由などで自宅での生活が困難になった60歳以上の方(介護型の場合は原則65歳以上)が入居し、生活支援サービスを受けながら暮らすことのできる施設です。
ケアハウスは自治体の助成を受けて運営されているため、比較的安価に入居できます。施設によっては入居希望者が多く、待機期間が長くなるケースも少なくありません。 日本全国に2,038ヶ所(令和4年10月1日時点、参考:令和4年社会福祉施設等調査の概況 厚生労働省)あり、SOMPOケアでは1ヶ所のケアハウスを運営しています。ケアハウスの設備基準は次のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
居室 | 原則個室 床面積は1人あたり21.6㎡以上とされており、一つの居室に2人が入居する場合は31.9㎡以上となる |
浴室 | 身体の不自由な者が入浴するのに適したもの |
便所 | 居室のある階ごとに設置し、非常用設備を備える |
食堂 機能訓練室 | 機能を十分に発揮し得る適当な広さ |
施設全体 | 利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造 |
※2024年11月時点
出典: 「特定施設入居者生活介護」社保審-介護給付費分科会 第179回(R2.7.8) 厚生労働省
出典: 「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」厚生労働省
ケアハウスは原則個室でプライバシー保護の配慮があり、施設によっては個室内にトイレやミニキッチン、浴室などを備えています。そのため、自宅などと同様にプライベート空間を確保した暮らしを続けることが可能です。
ケアハウスには、自立型と介護型がありますが、人員配置基準は自立型と介護型で異なります。その違いは下の表のとおりです。
自立型 | 介護型 | |
---|---|---|
管理者 | 1人 | 1人 |
生活相談員 | ご利用者120人ごとに1人 | ご利用者100人ごとに1人 |
看護職員 介護職員 | 介護職員は30人につき1人 看護職員の配置規定はない | 看護職員は30人につき1人、介護職員は要支援・要介護高齢者3人につき1人を配置 |
栄養士 | 1人以上 | 配置規定はない |
機能訓練指導員 | 配置規定はない | 1人以上(兼務可) |
計画作成担当者 | 配置規定はない | 介護支援専門員(ケアマネジャー)が1人以上 |
※2024年11月時点
自立型と介護型には、どのような特徴があるのでしょうか。それぞれ解説していきます。
自立型ケアハウスは、家庭環境や住居事情、経済状況などの理由から、自宅での生活が難しい高齢者の方が入居します。ただし、重度の要介護状態にある方は原則として入居できません。
全室個室で、共用部分は適度な広さが確保されています。バリアフリーになっており、高齢者にとっては住みやすい環境です。ご利用者には、食事の提供や掃除・洗濯などの生活支援サービスのほか、生活相談や安否確認などのサービスが提供されます。 自立型ケアハウスで介護保険サービスを利用する場合は、外部事業者(訪問介護やデイサービスの事業所など)と別途契約して介護保険サービスを利用します。入居後に要介護度が著しく高くなった場合(重度の要介護状態、常時の医療的ケアが必要など)には退去・転居しなければならない場合があります(※施設ごとに細かな基準やルールが異なる)。介護型ケアハウスは、家庭環境や住居事情、経済状況などの理由から自宅で生活することが難しい高齢者(65歳以上)で、要介護認定で要介護1以上と判定された方が入居します。
介護型ケアハウスのご利用者には、食事の提供や生活支援サービスの提供だけでなく、ケアハウスのスタッフによる介護サービス(食事・入浴・排泄などの介助)や機能訓練などが提供されます。また、入居後に要介護度が上がったとしても入居を継続できる場合が多くなっています(※施設ごとに細かな基準やルールが異なります)。ケアハウスの入居条件は、自立型と介護型で異なります。以下の表にまとめました。
自立型 | 介護型 | |
---|---|---|
対象 | 家庭環境や住居事情、経済状況などの理由から、自宅での生活が難しい高齢者の方 | 同左 |
年齢 | 60歳以上 | 65歳以上 |
介護度 | 自立〜軽度の要介護状態 | 要介護1以上 |
所得制限 | なし | なし |
認知症対応 | 程度によるが原則不可 | 可能 |
※施設によって細かな入居条件が異なります。
ケアハウスでは、日常生活に不安のある高齢者や、介護が必要になった高齢者でも安心して暮らせるよう、以下のサービスが提供されています。
食事の提供を基本とし、掃除や洗濯などの生活支援サービスや日常生活における相談などのサービスも提供されています。 また、介護型ではケアハウススタッフによる食事、入浴や排泄の介助や機能訓練も受けられます。
施設にはスタッフが24時間常駐しており、ご利用者が安心して生活できるようサポートしています。また、居室内に緊急呼出装置やセンサーを設置するなどして、緊急時に備えている施設もあります。夜間も含めてスタッフが待機しているので、万が一のときには医療機関への救急搬送を依頼したり、保証人に連絡したりといった対応もしてもらえます。
ケアハウスのなかには、レクリエーションやアクティビティが盛んな施設があります。お正月や節句など、季節に合わせたイベントを行ったり、体操の時間などを定期的に設けたりして、心身の活性化に繋げている施設もあります。
そのほかにも、施設内で茶道や華道、囲碁、将棋などの趣味の会が行われたり、日帰り旅行などが企画されたりすることもあります。こうしたレクリエーションやアクティビティに参加すれば、生活にメリハリをつけることができるだけでなく、新たな交友関係を広げることもできるかもしれません。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
ケアハウスで受けられるサービスには、医療ケアと介護サービスもあり、それぞれ以下のような違いがあります。
ただし、提供されるサービスの内容や利用方法は施設によっても異なりますので、入居前に確認をしましょう。
ケアハウスの費用は初期費用と月額費用に大別できます。一般的なケアハウスではおおむね以下の額です。
種類 | 初期費用 | 月額費用 |
---|---|---|
自立型 | 0円~30万円 | 6万円~20万円 |
介護型 | 0円~数百万円 | 6万円~20万円 |
ご利用者は、初期費用として保証金または入居一時金(入居金や前払金とも呼ばれる)を支払う必要があります。金額は施設によって異なりますが、0円~数百万円と幅広くなっています。
ご利用者は月額費用として次の費用を負担します。
なお、生活費・居住に要する費用は、ケアハウスが所在する地域や生活スペースの広さによって異なります。
では、ケアハウスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下、詳しく見ていきましょう。
ケアハウスには国からの補助金が投入されていることもあり、民間の有料老人ホームなどと比べて初期費用や月額費用が安くなっています。また、ご利用者の所得によって負担軽減が図られている点もメリットの一つです。
ケアハウスでは、充実した生活の実現のためレクリエーションのプログラムが要されています。季節に応じたイベント、趣味の会などのアクティビティへの参加は、日頃の運動不足の解消や認知症の進行予防に繋がります。
前述のとおりケアハウスは原則個室となっているため、プライバシーが確保できます。また、バリアフリーであるなど高齢者にとって住みやすい住環境が確保されている点もメリットです。
介護型ケアハウスでは、入居後に介護度が上がったとしても住み続けることが可能です。ただし、常時医療的なケアを必要とする状態(たんの吸引、経管栄養など)になった場合は、介護型ケアハウスを退去しなければならないことがあります。施設ごとに受け入れ体制や細かなルールは異なるため、入居時に必ず確認をしましょう。
食事やお風呂、起床・就寝の時間は決まっていることが多いものの、施設での日中の過ごし方は基本的には自由です。また、外出や外泊なども事前の申請をすればできるので、ご家族やご友人と出かけたり、旅行したりすることも可能です。
続いて、ケアハウスと他の施設との違いについて解説します。
決定的に違うのは費用の安さです。ケアハウスは老人福祉法に基づく施設で、国の補助金が投入されていることから、ご利用者の負担は少なくて済みます。
一方、有料老人ホームは、高齢者の方が心身ともに健康で安心して暮らせるよう、ご利用者が必要とするサービスを提供する施設です。介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームの3つがあり、施設によっては費用が高くなる場合があります。
有料老人ホームに関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
大きな違いの一つが施設の規模です。グループホームは認知症によって家庭での生活が難しくなった方(介護が必要な方)が入居し、家庭的な雰囲気のなか、少人数で共同生活を送る施設です。
一方、ケアハウスは(施設によりますが)、グループホームほど小規模ではなく、他のご利用者との交流も盛んです。また、認知症があるかどうかは問われません。
グループホームについてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
サービス付き高齢者向け住宅とケアハウスは、対象者が異なります。
サービス付き高齢者向け住宅は、一般型と介護型の2種類があり、一般型は自立から要介護度が軽い方向けで、自立ができているが、日々の生活に不安を感じる方向けの施設となっています。介護型は、要介護度が重い方向けの施設です
一方、ケアハウスの場合は、自立型と介護型の2種類がありますが、どちらもさまざまな理由から自宅での生活が難しい高齢者の方が対象となっています。
サービス付き高齢者向け住宅についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
次に、ケアハウスの注意点を見てみましょう。
ケアハウスは有料老人ホームなどに比べると比較的安く入居できることが特徴です。しかし、その反面、人気が高いため入居したくても施設に空きがないことが多いです。どうしても入居までに時間がかかるため、少なくとも数ヵ月は見込んでおき、早めに探し始める必要があります。
自立型のケアハウスの場合、要介護度が高くなると退去しなければならない場合があります。また、医療的ケアを必要とする状態になった場合も同様です。自立型のケアハウスに入居する場合、ケガや急な心身の変化を想定しておく必要があるでしょう。
ケアハウスへ入居する際の手続きはどのような流れとなるのでしょうか。以下、一般的なケアハウスを例に、入居までの具体的な流れを解説します。
No | 項目 | 内容 |
---|---|---|
1 | 入居に関する問い合わせ | 電話などでケアハウスへ連絡する |
2 | 施設見学 | 希望によって施設を見学する |
3 | 入居申し込み | 施設の準備した入居申込書に必要事項を記入し提出する |
4 | 担当者との面談と書類の提出 ※施設によって詳細が異なる | 入居予定者と施設の担当者が面談し、以下の書類を提出して入居条件に合致するかどうか判断される ・ 健康診断書 ・ 所得証明書(自治体にて発行) ・ 年金証書の写し ・ 介護保険証 ・ 収入認定申告書 など |
5 | 入居判定 | 面談の結果や提出書類をもとに施設内で入居判定が行われる |
6 | 入居契約 入居日時の調整 | 施設入居に関する契約を取り交わすとともに入居日時の調整を行う |
7 | 入居 | ご家族などの立ち会いが必要な場合がある |
ケアハウスは、自宅での日常生活が困難な高齢者が入居し、食事の提供や生活支援サービスが受けられる施設です。自立型と介護型に分かれており、それぞれに入居条件が異なるだけでなく、入居までに時間がかかるケースがあります。
ケアハウスのご利用を検討される際は、自立型と介護型の入居条件の違いを整理し理解するとともに、申し込みから入居までの期間を見込み、数ヵ月前から施設探しを始めることをおすすめします。お電話から:0120-37-1865(フリーダイヤル)
福祉系専門学校の教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や医療保険などの社会保障にも精通している。専門学校で教鞭を取る傍ら、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。
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