高齢者向けレクリエーションとは?内容や効果、種類についてご紹介

「高齢者に向けたレクリエーションはどのような種類があるのだろう?」
「レクリエーションで得られる効果や注意点を知りたい」
などとお考えではありませんか?

高齢者に向けたレクリエーションにはさまざまな目的があります。この記事では、介護施設や事業所で行われているレクリエーションをもとに、高齢者向けのレクリエーションの効果や注意点、具体的なレクリエーションの方法などを解説します。

1.高齢者向けのレクリエーションとは

高齢者に向けたレクリエーションは、老人ホームやデイサービスなどの介護サービス事業所や、高齢者に向けた自治体主催の取組みなどで参加ができます。
一方、自宅でご家族と一緒に取り組めるレクリエーションもたくさんあります。もしご自宅でのレクリエーションに興味がある場合、この記事で後述するレクリエーションの種類を参照に、ご本人に合ったものを選んで挑戦してみるのも良いでしょう。

レクリエーションと並んでアクティビティという言葉もよく使われますが、両者には明確な違いがあります。ここでは、高齢者が行うレクリエーションの具体的な目的やアクティビティとの違いを見ていきましょう。

レクリエーションの目的

高齢者が行うレクリエーションには、以下のような目的があります。

  • 運動不足の解消
  • 認知能力への刺激
  • 他者とのコミュニケーション
  • 気分転換
  • 身体機能の維持・向上

高齢者は、加齢とともに筋力や認知能力が低下してしまいます。レクリエーションは、その変化を和らげたり、残存能力を活かし維持向上につなげたりする目的で行われます。また、他者交流や気分転換など、社会的な活動やメンタルヘルスに繋がる効果も期待できます。

アクティビティとの違い

レクリエーションとアクティビティの違いは以下のとおりです。

  • レクリエーション:娯楽・楽しみのために行う余暇活動
  • アクティビティ:積極的に身体を動かす活動

両者の違いは目的です。レクリエーションは楽しみや遊びのために行いますが、アクティビティは活動自体が目的とされています。例えば、映画鑑賞やゲームなどはレクリエーション、トレッキングや体操はアクティビティに含まれます。

2.高齢者向けレクリエーションの効果

レクリエーションを取り入れると、以下のような効果が期待できます。

  • 運動不足の解消に繋がる
  • 他者とコミュニケーションを図る機会になる
  • 気分転換になる

一つずつ見ていきましょう。

運動不足の解消に繋がる

レクリエーションでは、リハビリとは異なる形で身体を動かします。遊びの要素が強く、楽しみながら身体を動かせるのが特徴です。例えば、お花見をしながらゆっくり歩いたり、風船を利用したバレーボールなどで腕を動かしたりして、遊びや余暇活動のなかで自然に運動の機会を増やします。

他者とコミュニケーションを図る機会になる

高齢になると活動量が減り、部屋にこもりがちになるケースがあります。認知機能低下予防のためにも、日々脳に刺激を与え、頭や身体を使う機会を作ることが大切です。

レクリエーションを行うと、他者交流の機会が増え、会話や遊びを通じて脳への刺激が強まり、認知機能低下予防の効果が期待できるでしょう。

気分転換になる

レクリエーションには気分をリフレッシュさせる効果もあります。

高齢者向けのレクリエーションは遊びを通して活動量や人との関わりを増やすのが目的ですが、身体機能や認知機能だけでなく精神的にも良い影響を与えてくれます。気持ち良く身体を動かしたり、周りの方と会話を楽しんだりすると、気持ちにハリが生まれ、ストレス発散にも繋がります。

ストレスは健康の大敵です。適度なレクリエーションでストレスを発散できれば、高齢者の健康維持効果が期待できるでしょう。

3.レクリエーションの種類をご紹介

高齢者向けのレクリエーションは、「全身を動かすレクリエーション」「身体の一部を使うレクリエーション」「頭を使うレクリエーション」「チームを組んで楽しめるレクリエーション」の4つに分類されます。

全身を動かすレクリエーション

体操や散歩など、全身を動かすレクリエーションは運動不足解消に効果的です。継続的に取り組むことで体力をつける効果も期待できます。

ただし、高齢者の身体機能は個人差が大きいため、個々の状態によっては全身運動が難しいケースもあります。そういった場合は無理をせず、動かせる部分だけ動かしてもらったり、身体の一部を使うレクリエーションを取り入れたりすることもあります。

身体の一部を使うレクリエーション

手先を使った折り紙や歌を歌うなど、身体の一部を使うレクリエーションは脳にも刺激を与えてくれます。車椅子の方でも机に向かってできるレクリエーションはたくさんありますので、趣味嗜好に沿ったものを提供すると取り組みやすいでしょう。

頭を使うレクリエーション

クイズや連想ゲームなど、脳トレ要素の強いレクリエーションは認知機能低下予防に効果的です。高齢者には、長い人生で積み上げた経験があります。その経験や知識のなかから答えを見つけたり、想像力を膨らませたりしながら問題に取り組むレクリエーションは、認知機能に良い刺激を与えてくれます。

脳トレについて、詳しくは下記の記事も参考にしてみてください。

チームを組んで楽しめるレクリエーション

何人かでチームを作って取り組むレクリエーションもあります。身体への影響はもちろん、心理的にも大変良い影響を与えてくれます。みんなで協力することで自然に交流の機会が生まれるため、普段引きこもりがちな方も周りと話したり笑顔が増えたりします。

チームを作るレクリエーションの場合、それぞれの身体機能や認知機能を考慮し、企画者が適切にチーム分けをしたりサポートしたりといった配慮が必要です。

4.レクリエーションの例

では、介護施設や事業所ではどんなレクリエーションを実施しているのでしょうか。
ここからは、具体的なレクリエーションの例をご紹介します。ルールや必要な道具、参加者の役割に関しても解説します。

体操

簡単な体操では、身体のこわばりを防ぐ効果が期待できます。ラジオ体操や棒を使った体操、椅子に座った状態で行うタオル体操など、上半身や下半身を動かせる体操もたくさんあります。簡単な体操を行っているところもあれば、専門の講師を介護施設や事業所に呼び、身体機能維持に期待ができる専門的な体操を行っている場合もあります。

なお、SOMPOケアでは「SOMPOケア スマイル体操」を公開しています。 例えば、転倒を予防するための「SOMPOケア スマイル体操 転倒予防編」です。こちらは、一つの動作を丁寧に行い、じっくり身体を動かせる体操です。興味がある方は、日頃からこうした体操に取り組み、転倒予防につなげることをおすすめします。ハードな体操は必要ありません。高齢者の体力や残存能力を活かし、無理のないペースで行ってください。

SOMPOケア スマイル体操_転倒予防編

また、SOMPOケアが公開しているスマイル体操は、転倒予防以外にもさまざまなものをご用意しています。以下の記事でも紹介していますので、ぜひ活用してみてください。

折り紙や塗り絵、カラオケ(歌)

折り紙や塗り絵は手を使い、カラオケは発声を促します。どちらも座ったままで活動性を高められるため、足の不自由な方でも楽しめます。

折り紙は手先の動きが多いので、認知機能への刺激も期待できます。一人で上手に折ることだけが目的ではありません。紙の手触りを楽しんだり、他の方と教え合ったり、一緒に折ったりすることでコミュニケーションにもつながります。

塗り絵は、全体のバランスを見て色を選んだり、線からはみ出さないように塗ったりするなど、判断力や注意力にアプローチします。

カラオケは「人前で歌うのは嫌」という方もいるので、無理に誘わず他の方が歌うのを聴くだけ、という場合もあります。昔の曲を聴くと、当時の記憶がよみがえったり脳への刺激になったりして、認知機能の低下予防・悪化防止が期待できます。

漢字・計算ドリル

漢字ドリルや計算ドリルは、脳トレ要素が高く、座ったまま行えるので、車椅子の方も取り組みやすいレクリエーションです。出題する問題は市販のドリルを活用することもあれば、手作りすることもあります。インターネット上で問題を配布しているサイトもあります。

漢字ドリルには単純な書き取り問題もありますが、以下のようなことわざや四字熟語の穴埋めなど、ちょっと変わった問題もあります。高齢者のなかには博識な方も多いので、複雑な問題も楽しく解いたり、ときには他の方と協力し合って解いたりする場合もあります。

例)

同じ漢字を入れてください

□期□会→一期一会

ことわざを完成させてください

七転び□起き→七転び八起き

計算ドリルは、その方の能力に応じた問題を用意します。まずは簡単な計算問題からスタートするのが良いでしょう。レベルアップするなら次のような穴埋め問題もおすすめです。

例)

□のなかに+・-・×・÷を入れて計算を完成させましょう

10□3=13→答え:10+3=13

□のなかに数字を入れて計算を完成させましょう

20-□=15→答え:20-5=15

伝言ゲーム・ボウリング

伝言ゲームやボウリングは、数人でチームを組むと盛り上がります。

伝言ゲームは座ったままできるので、車椅子の方も参加しやすいゲームです。脳トレの要素もあるので、認知機能へのアプローチが期待できます。

    やり方)

  1. 出題者が一人目にお題を伝える
  2. 一人目が次の人にお題を伝える
  3. 二人目、三人目と続けて、最後の人まで伝えたらストップ
  4. 各チームの最後の人が伝えられたお題を発表し、答え合わせする

チームの人数が多いほど盛り上がりやすいゲームですが、少人数でも意外な答えが飛び出すことがあります。発語を促したり、記憶力を鍛えたりするゲームとしておすすめのレクリエーションです。

ボウリングは一人ずつでも行えますが、チームを組んで全員が交代でボールを転がす方法もあります。

    やり方)

  1. ピンを多めに並べる
  2. 一人ずつ順番にボールを転がしてもらう
  3. 倒れたピンの合計を競う

ボウリングは過去に大流行したスポーツですので、高齢者の方のなかでも馴染みのある方が多く、取り組みやすいレクリエーションです。

5.レクリエーションを行う際に施設や事業所で気をつけていること

介護施設や事業所では、お一人おひとりにレクリエーションを楽しんでもらえるよう、以下の点に配慮しています。

  • 無理に参加を促さない
  • ケガや事故に気を付ける
  • レクリエーションを企画した本人も楽しむ

無理に参加を促さない

レクリエーションには大勢で行うほうが楽しいものも多くありますが、無理に参加を促すのは避けるようにしています。他の方と関わるのが得意ではない方や、一人でのんびり過ごすのが好きな人もいます。そうした方たちに「一緒にゲームをしましょう!」と何度も誘うと、レクリエーションの時間自体を嫌うようになる可能性があります。

レクリエーションは、ただ様子を見るだけでも意味があります。見学だけでもレクリエーションの雰囲気を楽しむことができますし、他の方たちが楽しんでいると「次はやってみようかな」という気持ちに繋がる場合もあります。
もしご家族から「レクリエーションに参加させて欲しい」と希望があった場合も、まずはご本人の意思を尊重することが多いです。

身体機能や認知機能に合わせたレクリエーションを行う

レクリエーションは選び方も重要です。介護施設・事業所では、その方の身体機能・認知機能に合ったものを選ぶようにしています。

  • 腕や足がどこまで動かせるのか
  • 立位は可能か
  • こちらの声かけがどの程度理解できるのか
  • 付き添い・介助は必要か

安全かつご本人の機能に合ったレクリエーションを選択できれば、身体機能や認知機能へのポジティブな影響が期待できるでしょう。

ケガや事故に気をつける

どのようなレクリエーションでも、安全面にはしっかりとした配慮が必要です。使用する道具や会場の設営方法など、ケガや事故が起きないよう細心の注意を払わなければなりません。介護施設や事業所では、参加者の人数や日常生活動作(ADL)を考慮しながら、以下の点に気を付けて準備を進めています。

  • 車椅子でもスムーズに移動できるスペースが確保できているか
  • 使用する道具は安全なものか(材質や形状)
  • 介助者の人数は適切か

レクリエーションの内容によっては、一人ずつ所定の場所まで移動が必要なケースがあります。杖や歩行器、車椅子など、常に誰かの付き添いや介助が必要な参加者もいます。スペースは十分か、介助者の人数が足りているかを確認しながら準備をしています。

さらに、もし道具が必要なレクリエーションの場合は必ず材質や形状を検討し、手に持ってもケガをしないものを選定しています。高齢者はほんの少しぶつかっただけでも内出血を起こしたり、傷ができたりする場合があるので、柔らかい素材や丸みのある形状の道具を用いるようにしています。

レクリエーションを企画した本人も楽しむ

レクリエーションを楽しんでもらうためには、まずは企画者が心から楽しんで取り組むことが重要です。レクリエーションはたしかに業務の一つですが、事務的に行うものではありません。安全に配慮しつつ、一緒に遊ぶようなつもりで実施しています。

企画者の表情や動きが事務的だと、それは必ず高齢者に伝わります。せっかく企画したレクリエーションが十分に楽しんでもらえないかもしれません。安全に配慮しつつ、企画者自身が高齢者と同じ目線で楽しめるレクリエーションが理想的です。

6.高齢者向けレクリエーションは生活を充実させるもの

高齢者のレクリエーションには、認知機能への刺激や、運動不足解消や身体機能を維持・向上させる、気分をリフレッシュさせてくれるといった効果があります。
レクリエーションを通じて認知機能の維持・回復を図ることはもちろん、まずは参加者が楽しめるような工夫が大切です。介護施設や事業所では、企画者自身が楽しみながらレクリエーションの説明をしたり、盛り上がるような声かけをしたりするなど、高齢者への関わり方に気を配っています。

また、体操や塗り絵、折り紙など、高齢者向けに行われているレクリエーションの中には、ご自宅でも実施しやすいものもあります。気になったものがあれば、ご自宅で行ってみるのもいいかもしれません。

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監修・執筆

佐藤恵美

販売や事務を経験後、30代終盤で介護の世界へ転身。回復期病棟の介護スタッフとして7年勤務し、介護福祉士、社会福祉士を取得。デイサービスに異動し、介護との兼務で相談業務に従事。現在は老人保健施設の支援相談員として働きながら介護福祉系Webライターとして活動中。

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