
要介護3とは?介護保険サービスと介護の必要性について
要介護3は7段階に分かれている要介護度のなかでも、やや重度な状態です。 この記事では、要介護3の状態を詳しくご紹介するとともに、要介護2や要介護4との違いや、要介護3の方が利用できる介護保険サービスについて解説します。
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介護保険外サービスは、介護が必要な方とそのご家族のライフスタイルの変化によって多様化・複雑化する福祉ニーズに応えるために誕生したサービスです。
この記事では、介護保険外サービスの概要を説明するとともに、介護保険サービスとの違いや具体的なサービス内容の例、費用などをご紹介します。
目次
介護保険外サービスとは、介護保険制度によるサービスでは対応できないニーズ(例:訪問介護におけるご家族の居室の掃除、趣味を目的とした外出時のサポートなど)を充足するために設けられたサービスです。介護保険法のルールが適用されないため、利用料が全額自己負担になるものの、ご利用者は要介護認定の有無に関係なく、希望に合わせて自由にサービス内容を選択・利用することができます。
2024年3月、経済産業省と民間企業10社は、介護保険の補完的役割としての介護保険外サービスの産業振興に取り組むため、介護関連サービス事業協会を設立しました。介護保険外サービスは、介護保険制度の動向と合わせて注目すべきサービスの一つになるかもしれません。
出典: 経済産業省「介護関連サービス事業協会が設立されます」
なお、介護保険外サービスの名称は事業者によって異なる場合があり、SOMPOケアでは「プライベートサービス」という名称でサービスを提供しています。加えて、短時間に特化した「ちょこっとプラス」というサービスも提供しています。
SOMPOケアのプライベートサービスについて詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
プライベートサービス|SOMPOケア
介護保険外サービスは、介護保険制度によるサービスでは対応できないニーズを補うためのサービスと説明しましたが、そもそも介護保険サービスとはどういったものなのでしょうか。
介護保険サービスとは、介護保険法に則って提供される介護サービスを指し、要介護認定において要支援1・2、要介護1~5と判定された方を対象としています。サービスは原則、介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成したケアプランに基づいて提供されます。
介護保険サービスには、通所介護、訪問介護、短期入所生活介護などのサービスをはじめ、ご利用者が介護を受けながら自分らしい生活を目指すためのさまざまなサービスがあります。かかった費用の一部(1~3割)を負担すれば利用できますが、サービスの種類・範囲は限られており、かつ細かなルールが定められているため、ご利用者の細かなニーズまで対応できないのが現状です。
介護保険サービスを詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
介護保険サービスとは?種類からご利用の流れについて紹介
介護保険外サービスは介護保険法の適用を受けないことから、要介護認定の判定の有無に関わらず、原則どなたでもサービスの利用が可能で、ご利用者はサービスの種類や範囲を自由に選択できます。生活上の困りごとがあった場合に利用することで解決できたり、ご利用者のやりたいこと・したいことのサポートなどもしてくれるため、その人らしく生活できるといったメリットがあります。
以下、それぞれのサービスの違いを表にまとめました。
介護保険サービス | 介護保険外サービス | |
---|---|---|
目的 | 高齢者の社会全体での支援 ご利用者の自立支援 |
介護保険サービスの補完 ご利用者のQOLの向上 |
対象 | 介護保険の被保険者で、要介護認定において要支援1・2、要介護1~5と判定された方 | 日常生活上のサポートを必要とする高齢者など(要介護認定を受けていない方も利用可) |
主な運営主体 | 介護サービス提供事業所 | 市町村、社会福祉協議会、介護サービス提供事業所、民間企業など |
内容例 |
デイサービス(通所介護)や訪問介護における ・身体介護(食事、入浴、排泄の介助や、更衣、口腔ケアなど) ・家事援助(ご利用者の衣類の洗濯、ご利用者の居室の掃除など) |
・おむつ配送 ・訪問理美容 ・配食サービス ・家事支援サービス ・送迎サービス など |
対応できないこと |
ご利用者以外の方へのサービス提供や、日常生活支援の範囲を超えたサービスの提供 ・同居人の衣類の洗濯 ・同居人の部屋の掃除 ・同居人の食事の調理 ・ふすまの修繕、障子の張替え ・庭の手入れ、草むしり ・ペットの散歩 ・お酒やタバコなどの嗜好品の買い物代行 ・上記のほか、日常生活を営むのに関係のない特別なことなど |
医療行為、特定の資格を要する行為(鍼灸、マッサージなどの施術)など |
費用 | 原則1割負担だが所得によって2~3割負担 | 全額自己負担だが、一部サービスは自治体の補助がある |
メリット | 介護保険が適用されるため経済的負担が少ない。ケアマネジャーがケアプランを立てくれる | ご利用者がサービスの内容を自由に選択して利用できる |
介護保険外サービスにはどのような機関提供、種類があり、どれくらい費用がかかるのでしょうか。その具体例をご紹介します。
市区町村のなかには、地域住民のニーズに即して介護保険外サービス(介護保険制度以外の上乗せ・横出しサービス)を設定しているところがあります。提供されるサービスは自治体によって異なります。
自治体 | サービス例 |
---|---|
神奈川県横浜市 | 緊急通報の設置、紙おむつ給付、配食サービスなど |
東京都足立区 | 救急医療情報キットの配布、補聴器購入費用の助成、寝具乾燥消毒、公衆浴場の入浴証の支給など |
山梨県山梨市 | 家族への介護慰労金の支給、火災報知器、電磁調理器の給付など |
千葉県茂原市 | 緊急時のショートステイ、高齢者見守りシールの交付など |
千葉県白井市 | 送迎サービス、ゴミ出し代行、電球交換、ペットの世話など |
出典: 各自治体のホームページ。上記リンク先を参照
介護保険外サービスの費用は、サービスの種類や内容、住んでいる自治体によって大きく異なります。そのため、一概にいくらかかるとはいえませんが、自治体によっては次のように設定しているところがあります。
民間企業が提供する介護保険外サービスには次のようなものがあります。
種類 | 内容 |
---|---|
家事代行 | 掃除、洗濯など家事全般の代行 |
外出の準備 | 外出のための着替えや靴、杖、貴重品などの準備 |
外出の付き添い | 通院、散歩、買い物、墓参りなどの外出の付き添い |
安否確認 | 一人暮らしの高齢者の自宅への訪問、声かけ、安否確認 |
見守り | 定期的な訪問によるご利用者の家事などの見守り |
話し相手 | 趣味の相手、テレビを見ながらのお話し相手 |
送迎サービス | 自宅から外出先へ、外出先から自宅への送迎 |
各サービスの費用は提供する企業や内容・時間によって異なるため、一概にいくらとはいえませんが、外出の付き添いを利用した場合、45分以上60分未満で3,000~6,000円が相場です。
送迎サービスで利用する介護タクシーをより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
介護タクシーの利用方法とは?料金や利用条件、福祉タクシーとの違いについて
介護サービス事業者が提供する介護保険外サービスにはさまざまな種類があります。介護保険サービスの利用時にオプションとして組み合わせると便利です。
利用場面 | 内容 |
---|---|
デイサービスの利用時 |
・デイサービス利用後にセンターに宿泊する ・朝食を提供してもらう ・デイサービスで理美容を利用する など |
訪問介護の利用時 |
・食材や弁当の配食サービスを届けてもらう ・紙おむつや日常生活用品を支給してもらう ・スマートフォンの操作・設定をしてもらう ・ご家族分の食事も作ってもらう など |
利用料はサービスの種類、時間などによって異なります。詳しくは介護サービス事業者や担当のケアマネジャーに問い合わせてみましょう。
デイサービス、訪問介護をより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
デイサービス(通所介護)とは?サービス内容や利用対象者、費用について紹介
訪問介護とは?特徴や利用条件、受けられるサービス内容を解説
社会福祉協議会とは、地域における社会福祉活動を推進することを目的とした非営利の民間組織で、自宅に住む高齢者の相談に応じるとともに彼らの生活を支援する専門機関の一つです。
社会福祉協議会のなかには、会員を対象に介護保険外サービスを提供するところがあります。これらのサービスは民間企業と比べて安価に設定されているため、経済的な負担を軽減しながらで利用することができます。
以下、社会福祉協議会が提供する介護保険外サービスの一例です。
提供元 | 内容・費用 |
---|---|
新居浜市社会福祉協議会 |
訪問介護サービスのご利用者に対して、介護保険では認められていない範囲の外出介助、見守り介助を行う。 ・入院時や入院中の必要物品の購入 ・入退院時や病院受診時の付き添い ・介護保険では認められていない外出の付き添い など 利用料は800円/30分で、サービス提供時間以外は1,000円/30分となる。 |
秦野市社会福祉協議会 |
高齢・障がい・疾病などの理由によって日常生活に支障のある家庭にホームヘルパーが訪問し、家事全般の代行や身体介護を行う。
・家事支援:2,000円/1時間 ・身体介護:1,500円/30分以内 |
福山市社会福祉協議会 |
介護保険に該当しない業務でヘルパーの専門性やご利用者との関係を考慮する必要があるサービスを提供する。 ・入退院、散歩、墓参りの付き添い ・入院中の洗濯、買い物の手伝い ・引っ越しなどの特別な掃除(短期的なもの) ・おせち料理などの手間のかかる調理 ・話し相手、ご家族不在時の見守り など 利用料は2,100円/1時間未満、2,835円/1時間~1時間半 |
出典: 各市社会福祉協議会、上記リンク先
シルバー人材センターとは、地域のシルバー人材を活用する公益社団法人です。この機関が提供するサービスのなかには、一人暮らしの高齢者を支えるものがあります。これも一つの介護保険外サービスといえるでしょう。
以下、一例をご紹介します。
なお、利用料金はシルバー人材センターによって、また、仕事内容や時間などによって異なります。
介護保険外サービスを利用するメリットはどのようなところにあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
介護保険外サービスでは介護保険では対応できないサービスが提供されるため、ご利用者にとっては選択の幅が広がります。
例えば、介護保険サービスで訪問介護を利用する際、本来なら同居人の部屋の掃除は介護保険の対象外ですが、介護保険外サービスを利用すれば希望に合わせてきめ細かく対応してくれます。
このように選択できるサービスが増えることは、ご利用者の主体的な選択を促すことができるだけでなく、細かなニーズの解決に繋がります。
介護保険外サービスを利用すると、ご家族の負担を軽減できます。
例えば、ご利用者が趣味の映画鑑賞をするために外出をする場合、介護保険サービスでは対応できませんが、介護保険外サービスによる外出支援サービスなら対応ができます。ご家族が外出に付き添う必要はなく、ご家族の身体的負担を軽減できるだけでなく、時間の有効活用もできます。
介護保険外サービスを利用すれば、生活の質的向上に繋がります。
例えば、介護保険では、手間や時間のかかる調理や掃除、庭の剪定・草むしりなどはサービスの対象ではありません。しかし、介護保険外サービスを利用することでこれらのニーズを解決することができます。
SOMPOケアでは、介護保険外サービスである「プライベートサービス」を提供しています。ご利用者が充実した毎日を過ごし、生きがいを持った人生を歩んでいただくことができるサービスとなっています。
SOMPOケアのプライベートサービスについて詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
プライベートサービス|SOMPOケア
介護保険外サービスには、メリットばかりではなく、以下のような注意点もあります。
介護保険外サービスは介護保険の適用を受けないため、ご利用者はかかった費用の全額を負担しなければなりません(※一部のサービスは自治体による助成があります)。長期的かつ頻繁にこのサービスを利用する場合は、経済的な負担が大きくなる恐れがあります。
介護保険外サービスは介護保険法による定めがないため、介護サービス事業者がその内容や利用条件を設定します。よって、ご利用者がいざ利用したいと思っても、利用条件や対象が限定されていたり、サービスの内容や範囲に限りがあったりして、結果として利用できない、ニーズに合わないというケースが考えられます。
介護保険制度では、提供されたサービスの品質に問題があった場合、ご利用者が苦情を申し立てることができる仕組みが設けられています。しかし、介護保険外サービスは事業所とご利用者の間で結んだ契約に基づいてサービスが提供されるため、トラブルが起こったときの対処・解決は両者に委ねられます。
ご利用者は、契約内容をよく読み、理解するとともに、トラブル発生時の対応や責任の範囲を事業所に事前確認しておくことが大切です。
介護保険サービスと介護保険外のサービスを同時に利用すること(以下、混合介護)は、原則できません。しかし、介護保険サービスの提供を受けたあとに追加で介護保険外サービスの提供を受けるといったように、一方のサービスの前後にもう一方のサービスを利用するといった形であれば可能です。
混合介護に関しては、ご利用者のニーズの多様化・複雑化を背景に、自治体によって試験的にルールを整えているところがあります。
例えば東京都豊島区では、ご利用者の保護に配慮し介護保険サービスと保険外サービスを適切に組み合わせて提供すること(同区では選択的介護という)を認めています。
高齢者とご家族のさまざまなニーズに応えるために、今後は各地でこのような動きが広がっていくかもしれません。
介護保険外サービスには介護保険法のルールが適用されないため、ご利用者が自由にサービス内容を選択・利用できます。しかし、経済的な負担が大きくなる場合もあります。また、万が一のトラブルに備え、サービスを利用する前に契約内容やトラブル発生時の対応をしっかり確認しておく必要もあります。
SOMPOケアでは、「プライベートサービス」の名称で介護保険外サービスを提供しています。このサービスを詳しく知りたい場合はこちらをご覧ください。
保険外サービス(プライベートサービス)とは
いきガイド-オトナの生きがいと活力をサポートする介護保険外サービス
また、SOMPOケアでは、「ちょこっとプラス」といったプライベートサービスも提供しています。介護保険サービスでは手が届かないサービスを提供する短時間特化のサービスで、ご利用者さまを立体的(総合的)に支え、生きがい、活力に繋げます。
サービスのにご興味をお持ちの際は、お気軽にSOMPOケアへお問い合わせください。
SOMPOケアの「介護なんでも相談室」はこちら
お電話から:0120-37-1865(フリーダイヤル)
福祉系専門学校の教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や医療保険などの社会保障にも精通している。専門学校で教鞭を取る傍ら、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。
要介護3は7段階に分かれている要介護度のなかでも、やや重度な状態です。 この記事では、要介護3の状態を詳しくご紹介するとともに、要介護2や要介護4との違いや、要介護3の方が利用できる介護保険サービスについて解説します。
要介護1は、7段階に分かれている要介護度のなかで3番目に低い区分です。この記事では、要介護1の状態を詳しく紹介するとともに、要支援1・2との違い、要介護1の方が利用できる介護保険サービスについて解説します。
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