脳梗塞、骨折…高齢者がかかりやすい病気・けがについて解説

高齢になると身体にさまざまな変化が起こります。若い頃には何の問題もなかった動作や行動ができなくなったり、気持ちに身体が付いていかないが増えてきます。しかしこの現象は、誰にでも必ず起きることであり事前に知っておくことで対策が可能です。

1.高齢者の身体に起きる変化とは

高齢による身体の変化は大きく分けて3つあります。

  1. 調整能力の低下
  2. 感覚器官の機能低下
  3. 筋力の低下

詳しくみていきましょう。

高齢者の身体に起きる変化とは

調節能力の低下

本来、人間の身体は暑さを感じると2つの働きを起こします。

  • 皮膚の温度センサーが脳に指令し、発汗や皮膚の血液量を調整する
  • 脳が指令し冷房をつけるなどの行動をさせ、体温が上がりすぎないよう調整する

高齢になると、この皮膚の温度センサーの感度が低下します。その結果、体温調整機能による対処が遅くなり身体に熱が溜まることで熱中症リスクが高まります。

また高くなった血糖値を下げ、一定に保つ能力の低下にも注意が必要です。インスリンや経口糖尿病薬治療を受けている糖尿病患者の方は、低血糖のリスクが上がります。血圧が上昇しやすくなる、水や電解バランスが崩れ下痢や嘔吐、発熱による脱水症状が起こりやすくなることもあります。

感覚器官の機能低下

感覚器官の機能低下は、聴覚、視覚、感覚神経に影響を及ぼします。高音が聞き取りにくい、視力低下、視野狭窄、温度や痛みに鈍感になるなどの症状が代表的です。こういった症状は、難聴や白内障、外傷などの疾患につながります。

筋力の低下

高齢者の筋力低下は、主に2種類あります。

サルコペニア

サルコペニアと呼ばれる、老化により筋肉量が減少する現象です。身体が重力に負けないよう支えている抗重力筋(背中やお腹、太ももの筋肉)に現れることが多く、年を取るに連れ徐々に歩行や立ち上がりが難しくなります。

この状態を放置していると歩行困難になるリスクが高まります。気を付けたい身体のサインは、つまずく回数が増えたり、手をついて立ち上がる回数が多くなることです。筋力を向上させる運動で、サルコペニアの症状は抑えられます。積極的なトレーニングを心がけましょう。

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生活不活発病

生活不活発病は、動かない状態が続く → 動けなくなる → 生活が不活発 という悪循環により「動けない」状態が続いてしまう病気です。運動習慣がないことや定年退職で社会参加の機会が減ったこと、季節の影響など誰にでも起こりえる理由で発症する可能性が高いようです。日頃から体操などの簡単な運動や散歩などで動く頻度を増やすことが大切です。できることから少しずつはじめてみましょう。

2.高齢者がかかりやすい病気

とくに気を付けたい病気は脳・心臓・呼吸器系の病気です。
高齢になると脳は神経系機能低下が起こりやすくなります。循環器系は動脈弁の肥厚、心筋の酸素供給の低下、呼吸器系は胸壁の可動域や呼吸運動の低下などが起こります。具体的にみていきましょう。

脳の病気

脳の病気として代表的なものを紹介します。

脳血管障害(脳卒中)

脳血管障害(脳卒中)とは、脳の血管が詰まる(脳梗塞)、破れる(脳出血)、脳動脈瘤が破裂する(くも膜下出血)などの病気の総称です。日本人の死因上位に入ります。1960年代半ばまでは、高血圧による脳出血が多く見られましたが、降圧剤で血圧コントロールができるようになり脳出血で亡くなる方は減少。1970年代半ばから脳梗塞の死者数が脳出血を上回るようになりました。脳の病気は後遺症が残りやすいため、脳の動脈硬化が進まないように、早めに対策をしておきましょう。
くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂が原因のケースが多いです。多量の飲酒や喫煙などを繰り返すとリスクが高まるため、生活習慣に気を付けましょう。身内にくも膜下出血になった方がいる場合も要注意です。くも膜下出血は死亡率が高い病気のため、定期的にMRI検査をして未然に防ぎましょう。

認知症

認知症は、脳の認知機能障害による記憶障害、判断力低下、見当識障害などが日常生活に影響を与えるようになった状態のことです。代表的なのは、アルツハイマー病やレビー小体病、脳血管性認知症、前側頭型認知症などです。飲酒・たばこ・食生活(塩分過多)などが理由で認知症になることもあります。

パーキンソン病

高齢者がなるパーキンソン病は、下半身への障害につながることが多く、転倒、骨折、寝たきりになりやすい病気です。それ以外に、自律神経障害や認知機能障害の症状も見られます。50~65歳頃に発症しやすく、発症率は高齢になるにつれ増加します。パーキンソン病は、治療法が確立されていないため、症状によって手術または薬物療法で対処します。

心臓・肺の病気

心臓・呼吸器系として代表的なものを紹介します。

心筋梗塞

動脈硬化によって、心臓の血管に血液の塊ができ、血流を止めてしまうことで心筋細胞が破壊される疾患です。胸の発作にともない、呼吸困難、冷や汗、顔面蒼白、吐き気、脈の乱れなどの症状が起こります。

血管が詰まりやすいと、突然死に至ることもあり危険です。心筋梗塞のような虚血性心疾患は、喫煙、メタボリックシンドローム、高血圧などにより動脈硬化が進むことで起こりやすくなります。運動をしたり塩分やお酒を摂取し過ぎないようにしたりするなど、生活習慣を見直しましょう。

肺炎(細菌性 マイコプラズマ 誤嚥性肺炎)

肺がウイルス感染や細菌などの影響で炎症を起こしている状態が肺炎です。細菌やマイコプラズマ(微生物)などが原因ですが、高齢者が気を付けるべきは誤嚥(ごえん)による肺炎です(誤嚥性肺炎)。誤嚥性肺炎は、飲み込む力が低下し、胃液や食べかすなどが誤って気管に入ることで起こります。

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