認知症の診断方法とは?早期発見の重要性や診断の流れ・費用を解説

「最近、物忘れが気になる」「家族が認知症になったかもしれない」などと不安を感じ、認知症の検査を受けるべきか否か悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、認知症の診断方法やその流れ、費用などを説明するとともに、早期発見の重要性について解説します。この記事を読み、認知症の検査・診断に関する知識を深めることで、いざというときに対応できるように備えましょう。

1.認知症は早期発見が大切

認知症は早期発見・早期治療が重要です。なぜなら、適切な検査・治療をせずに放置しておくと症状が進行してしまい、治療効果が期待できないばかりか、要介護状態になるリスクが高まるからです。以下、早期に発見するメリットを解説します。

今後の治療方針をじっくり決められる

認知症を早期に発見し診断を受ければ、症状が軽いうちにご本人・ご家族が認知症について理解を深められ、病気とどう向き合うか、どう治療していくか、生活にどう備えるかを話し合う時間ができます。

認知症の進行軽減に繋がる可能性も

認知症は医学的に解明されていない部分が多く、治療法は確立していませんが、アルツハイマー型認知症など、一部の認知症は早い段階から治療を受け、服薬することによって、(効果には個人差はあるものの)その進行を軽減できる可能性があります。
中には慢性硬膜下血腫など、認知症ではないものの、認知症と似た症状が出る病気の場合もあります。そのような病気の場合、治療することで症状を大きく改善できることもあるので、早期発見が重要になります。

認知症の種類に合った適切なケア方法を学べる

上記に関連しますが、医師からの診断を受けることで、ご本人・ご家族が認知症の種類を知り、理解することで、特徴に合わせた適切なケアを実践できます。また、認知症の特徴をよく理解し、適切な介護保険サービスを利用することで、日常生活上への支障を最低限に留め、自宅での生活環境を整えることも可能です。

認知症の種類を詳しく知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。

2.認知症は何科を受診するの?

認知症になった場合、または認知症の疑いが出た場合に、私たちはどのような病院・診療科を選べば良いのでしょうか。いくつかあるので、以下、整理して解説します。

セルフチェック

「認知症かな?」と気になったら、まず、ご本人・ご家族でできるセルフチェックをしてみましょう。東京都保健福祉局の「とうきょう認知症ナビ」では、「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」を設けており、簡易的にチェックできます。

「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」とうきょう認知症ナビ

かかりつけ医

気になる症状がある場合、かかりつけ医に相談することもできます。その際、次の情報をかかりつけ医に伝えると良いでしょう。

  • いつ頃から、どのような症状が出たのか
  • 現在どのような症状があり、どのように困っているのか
  • 既往歴(これまでにかかった病気等)、服用している薬
  • 現在、治療を受けている病気
  • その他、気になる点やご本人の生活に関する情報など

あらかじめこれらの内容を記録しておき、かかりつけ医に相談したうえで適切な病院を指示・紹介してもらうと良いでしょう。特に病院の指定がなければ、地域包括支援センターへ相談に行き、認知症の診断を行っている病院を紹介してもらうこともできます。

もの忘れ外来、認知症外来

お住まいの地域にある「もの忘れ外来」を受診する、という方法もあります。公益社団法人「認知症の人と家族会」のホームページには、全国にあるもの忘れ外来(認知症外来なども含む)の一覧を見ることができます。

もし、ご本人が認知症を認めたがらず、受診を拒否する恐れがある場合には、無理に最初から専門の診療科には行かずに、まずはかかりつけ医に相談したり、「年齢相応で多くの方が受診している」などの話をしたりして、気軽に受診できるような工夫をしてみましょう。

認知症疾患医療センター

認知症疾患医療センターとは、都道府県や政令指定都市が指定し設置する認知症専門の医療機関で、認知症に関する医療相談や診断・診察、地域の医療機関の紹介などを行っています。

認知症疾患医療センターを受診するには、原則としてかかりつけ医の紹介状が必要です。また、事前予約も必要となるため、かかりつけ医に相談するか、地域包括支援センターへ相談し受診できるか確認しましょう。

なお、お住まいの地域にある認知症疾患医療センターを探すには、都道府県のホームページをチェックするか、地域包括支援センターに紹介してもらいましょう。

3.認知症の診断方法とは?

次に、認知症の診断方法をご紹介します。

神経心理検査

神経心理検査とは、ご本人に簡単な質問をして返答内容を確認するほか、簡単な作業をやってもらうなどして認知機能の低下の程度を確認する検査です。代表的な検査方法は次表のとおりです。

種類 概要
長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R) 面接と質問方式で行う検査。今日の日付、現在地、簡単な算数、キーワードの短期記憶を確認するなど、所要時間が10分程度で簡易検査ができる。
ミニメンタルステート検査(MMSE) 短時間で簡単に実施できる知能検査。長谷川式簡易知能評価スケールと同じような質問で、認知機能の低下度合いを客観的に確認できる。
時計描画テスト(CDT) 時計のない部屋で紙とペンを準備し、具体的な時刻だけをご本人に伝え、時計と針の絵が正確に書けるかどうかを確認する検査。
高齢者うつスケール(GDS) 高齢者用のうつ状態を測る検査で、「毎日の生活に満足していますか」「生活が空虚だと思いますか」などの質問が書かれた紙に、「はい」「いいえ」で自筆にて回答する。
ABC認知症スケール(ABC-DS) 医師などの評価者がご本人と面談を行い、13の質問に答えてもらうことで、日常生活動作、行動心理症状、認知機能を測る簡易的な知能検査。
DASC-21 高齢者の認知機能障害と生活障害を把握し、認知症を評価・検出するアセスメントツール。一定の研修を受けた介護スタッフやコメディカル(医師を除く医療従事者)でも実施できる検査で、21の質問から構成される。
Mini-Cog 3つのキーワードを伝え即時再生(即座に繰り返す)や遅延再生(少し時間が経ってから再度繰り返す)を検査するとともに、時計描画テストを組み合わせたスクリーニング検査。
MoCA MCI(軽度認知障害)を評価する検査として使用される。質問内容は長谷川式、MMSEと重複するものもあるが、より広い質問内容で認知機能を評価できる。

画像検査

画像検査とは、CTやMRIで脳の画像を撮影し、脳の形や機能を調べる検査です。画像検査には次の種類があります。

名称 内容
CT 放射線を使って脳の断面図を撮影。脳の萎縮形態、認知症のタイプ・病状の程度などを確認するために必要な検査。
MRI 磁気と電波を使って脳の内部を撮影。脳梗塞や脳動脈瘤などの発見に役立つ。
VSRAD MRI画像を用い、アルツハイマー型認知症に特徴的に見られる海馬傍回付近の萎縮の程度を調べる検査。
SPECT 微量の放射線を出す検査薬を投与し、その検査薬が集積した部位から出る放射線を検知し画像化する検査。

その他の検査

その他、ご本人の状態に合わせ医師の判断で心電図や血液検査などの検査を行うことがあります。

4.認知症診断の流れ

認知症の診断はどのような順序で行われるのでしょうか。以下、シーンごとに整理して解説します。

診断当日に持っていくもの

認知症診断の当日にご本人・ご家族が持っていくものは次のとおりです。

アイテム 内容
紹介状 かかりつけ医から交付を受けた紹介状。基本的には紹介状がないと認知症疾患医療センターなどの専門機関で受診することはできない。
お薬手帳 これまで処方された、または現在服薬している薬が記載されている手帳。医師が認知症の診断を行ううえで判断する材料の一つとなる。手帳がない場合は、処方内容が書いてある用紙や薬の包装ごと持参する。
症状のメモ 次の情報をまとめておく。
・いつ頃から、どのような症状が出たのか
・現在どのような症状があり困っているのか
・これまでにかかったことのある病気
・現在治療を受けている病気
・現在処方されている薬

診断にかかる費用の目安

認知症の診断で行われる多くの検査は公的医療保険が適用されますが、検査の自己負担額は数千円~2万円程度とされています。

ただし、ご本人の自己負担の割合、検査の種類や数、診断を受けた医療機関によって検査費用は異なります。費用が気になる方は、あらかじめ医療機関へ問い合わせておくと安心です。

診断の流れ

認知症診断の流れは次のとおりです。所要時間は一般的に1~2時間ですが、認知症疾患医療センターや大学病院などで詳しい検査が行われる場合には、それよりも長くなる可能性もあります。

1.医師による問診

医師がご本人またはご家族からこれまでの経過をヒアリングし、いつ頃から症状が出たのか、どのようなことで困っているのか、生活環境の変化の有無、既往歴、飲んでいる薬などの情報を得ます。

2.身体検査

身体の状況を把握します(血圧の測定、聴診、発語、聴力、麻痺の有無など)。認知症の原因となる病気や認知症に似た症状を起こす病気の有無を確認するために、内科的診察や血液検査などを行います。

3.画像検査

CTやMRIを使って脳の画像を撮影し、脳の萎縮の有無や血流の低下具合などを検査し、診断を行います。

4.神経心理検査

長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMMSE(Mini Mental State Examination)などに基づいて、簡単な質問(現在の日時、今いる場所など)に対する答え、単純な作業(字を読む、図形を描くなど)の正確さやスピードをチェックします。

5.診断結果を聞く

診断結果が出るまでに1週間程度かかるのが一般的ですが、検査の種類・範囲によっては当日に結果を知らせてくれる医療機関もあります。

5.認知症の診断を受ける際の注意点

認知症の診断を受ける際の注意点を4つご紹介します。

日常の様子や症状を普段からメモしておく

認知症の診断には、さまざまな検査の結果だけでなく、ご本人の日常の様子や症状などの情報も必要です。それらを普段からメモしておき、ご本人の日頃の様子をしっかりと医師に伝えましょう。

診断結果を聞くときはご家族も同行する

診断結果が出たら、ご本人だけで行くのではなく、ご家族も同行して一緒に結果を聞くようにしましょう。なぜなら、診断結果によってはご本人がショックを受けてふさぎ込んでしまうことも考えられますし、一人だけでは診断結果の詳細を聞き漏らす恐れがあるからです。できるだけご本人一人ではなく、誰かと一緒に結果を聞くように工夫しましょう。

状況に応じてセカンドオピニオンを検討する

セカンドオピニオンとは、主治医以外の専門家に相談したり、別の医療機関を受診したりして、その診断や治療、経過、予後などについて判断や意見を求めることです。別の医師の意見も参考にしたい、複数の情報を集めて治療方針を検討したいなどの希望があれば、セカンドオピニオンも検討してみましょう。

誰も責めないこと

診断の結果、認知症だということが判明した場合、ご本人が「自分のせいだ」と自身を責めたり、ご家族が「私がもっと早くに気づけば良かった」と責任を感じたりすることがあります。認知症は誰にでも起こり得るものであるため、自分や周囲を責めることはしないようにしましょう。

6.認知症は早期発見・適切なケア方法を知ることが大切

ここまで解説してきたとおり、認知症は早期に発見し、治療することが重要です。認知症の種類・特徴を理解したうえで、適切なケア方法を知ることに努めましょう。

認知症に罹患したご本人はどのような気持ちなのか知りたい方はこちらをご覧ください。

また、もし認知症の可能性がある場合には、早めにかかりつけ医に相談して専門の医療機関を受診しましょう。

SOMPOケアでは、「認知症お役立ちコンテンツ」で、認知症の理解に役立つ情報を発信しています。興味のある方はぜひご覧ください。
また、認知症に関するご相談を受け付ける認知症サポートダイヤルもあります。認知症に関して不安や疑問がある方は、お気軽にご連絡ください。

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監修・執筆

林 修造

現役の大学教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。福祉人材の教育は約20年のキャリアがあり、医療・介護・福祉だけでなく、年金や健康保険などの社会保障にも精通している。大学で教鞭を取る傍ら、福祉系専門学校の非常勤講師を務め、福祉系の国家試験応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。

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