SOMPOケアのプロフェッショナル|話し手:増岡雅博(SOMPOケア)介護と医療。そのちがいと上手な連携

医療

暴言や暴力など「問題行動」の解決法は?

介護の現場では、暴力や暴言など、介護が困難な事態もよく起こります。
実にさまざまな事例がありますが、なかでも多いのが、「介護拒否」「暴言・暴力」「頻繁なナースコール」「徘徊」の4つです。SOMPOケアでは、こうした問題を解決するための専門チームが組まれ、私もメンバーの一員として活動しています。
なぜ、問題行動が起こるのでしょう。
周りから見ると脈絡がないように見えても、本人にとっては必ず原因があり、おおよそ次のいずれかに当てはまります。私たちのチームでは、①から順に検討していきます。そして検証をもとに対応を考え、本人にとっての困りごとが少しでも減るよう働きかけます。

①薬の点検(服用している薬の副作用、服薬状況・薬の変更や中止と症状の変化)
②身体的疾患の有無(痛み、視力や聴力の低下などの不調)
③精神的疾患の有無(認知症やその他の精神的疾患)
④環境要因(自宅と異なる部屋の導線や家具の配置、習慣、人間関係など)
⑤心理的要因(さみしさや不安、性格など)
エピソード:介護拒否・暴力は薬が原因だった
入居当初から少しイライラしたご様子で、ときには手や杖を振り上げることもあった入居者のEさま。ご家族は「もともとは穏やかな人だったのに。認知症が進行しているのかも」と悩み、ケアスタッフも解決の糸口がつかめない状況が続きました。そこで、専門チームが問題解決に乗り出しました。検証の結果、「入居前から服用していた薬の影響かもしれない」という推測が立ち、担当医と相談のうえ、薬の服用を止めました。すると、Eさまは落ち着いて生活を送れるようになりました。
正しい対応で、ご本人の行動や生活が変わるのですね。
はい。ただ、検討の前提として、ご本人の「思い」をくみとることが何より大切です。
まず、ご入居者さまに直接お会いしてお話をうかがいますが、その前に、それまでの生活や介護サービスを受けるまでの経緯、病気や薬の履歴など、その方を理解するうえで必要な情報を集め、整理します。これは、ご本人が何に困ってそのような状況になっているのかを理解するうえで、とても大切な作業なんです。
ご本人が「何らかの困りごとを抱えている」という視点が大切なのですね。
そうです。介護拒否や暴力は、「~して欲しくない」という思いの表れです。その気持ちを助長している原因が薬の影響であれば、処方を見直せば解決します。また、痛みが原因であれば疼痛緩和の方法を医療と連携して検討します。どんな場面においても、まずご本人の想いを聴き取ることが大切であり、ご本人が「どのような生活・人生を送りたいか」を第一に考えることが重要なんです。

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