八潮寿司物語～のれんの向こう側～
2025年5月16日
時は初夏、八潮のラヴィーレにて──
朝もやが晴れぬうちから、静かなる宴の支度が始まる。
本日限りの寿司屋台。
のれんに描かれし「寿」の字が、凛とした空気に揺れる。
「いよいよだねえ」
祭り半被を身にまとった職員たちが、肩を並べて会場を整える。
厨房より漂う出汁の香り、ダイニングに響く談笑の声。
ふだんの顔とは少し違う、職員たちの引き締まった横顔もまた、祭りの朝の名物である。
「寿司は“握り”が命よ」
気合を込めるのは、寿司職人。
カウンター越しに、シャリとネタに魂を注ぎ込む。
準備に余念がないのは、皆を迎える心意気ゆえ。
「今日のご入居者様は、楽しみに待っていてくださっているから──」
打ち合わせを重ねる職員たちのまなざしも、どこか誇らしげだ。
その傍ら、会場の設営も着々と進む。
座席を整え、メニュー表を配し、
ダイニングはすっかり江戸前寿司屋の趣へと姿を変えてゆく。
「味見も大事な仕事さ」
ひとくち頬張り、グッと親指を立てる職員の笑顔に、
今日一日の安泰が約束されたかのよう。
さあ、のれんは整い、粋な舞台の準備は万端。
次回「寿司キャラバン開幕編」にて、
皆様の笑顔が咲く宴の始まりを、お届けいたします。
ここまで読んで下さりありがとうございました!
次回の更新もお楽しみに!
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