第二十一回 朗読の会
2023年6月27日
今回取り上げた題材は、前回に引き続き夢野久作の作品から「蚕と蚊」と
6月、紫陽花にちなんで三好達治「乳母車」でした。
皆さまの朗読風景のお写真とともに、「乳母車」を転記させて頂きます。
『乳母車』
母よ
淡くかなしきもののふるなり 紫陽花いろのもののふるなり
はてしなき並樹のかげを そうそうと風のふくなり
-つづき-
時はたそがれ
母よ
私の乳母車を押せ 泣きぬれる夕陽にむかつて
りんりんと私の乳母車を押せ
-つづき-
赤い総(ふさ)ある天鵞絨(びろおど)の帽子を
つめたき額(ひたい)にかむらせよ
旅いそぐ鳥の列にも 季節は空を渡るなり
-つづき-
淡くかなしきもののふる 紫陽花いろのもののふる道
母よ
私は知つている この道は遠く遠くはてしない道
※1926(大正15)年に発表された作品だそうです。
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