新しい夢と生きる
2023年7月21日
今回はご入居者のIK様が、久しぶりに執筆して下さいましたエッセイをお届けします。特別寄稿、小田原だより外伝『新しい夢と生きる』を、どうぞお楽しみくださいませ。
昭和十六年十一月十五日が私の誕生日です。太平洋戦争の中、田舎に疎開していました。そんな中、おばあちゃんがお団子を作ってくれたり、焼き芋を食べさせてくれたりしていました。数少ないことでしたが、おむすびをもって甲府の映画館に行ったことがあります。真っ白なご飯に海苔は巻いてなかったけれど、とてもおいしかったのを覚えています。
疎開から帰って忘れられないのは、すきやきです。私は五人兄弟の長女で、毎日賑やかな食卓でした。月に一度くらい、すきやきが一番のごちそうで、その日は丸くて小さな卓袱台を囲んで、すきやきが煮えるのを待っています。ぐつぐつと音がしだすと、みんなお箸をお鍋に入れようとします。父は大きな手を拡げて「まてまて」とみんなを制して止めます。それからやっとみんなで「いただきます」と言って、すきやきパーティが始まります。お肉は牛肉だったのか、豚肉だったのか覚えていませんが。真っ白なごはん、いつもは麦の入ったものでしたから、これもまた楽しみでした。
すきやきでもうひとつ想い出すのは、高校を卒業して、第一回目の同窓会が行われた時のことです。甲府でも有名な大きなすきやき店で行われ、お酒も出たりして、大人になった気持ちで、楽しいひと時を過ごしたものでした。
その後も外食をすると、世の中も変わってきてドリアとかスパゲッティなど、洋食の食事も多くなりましたが、すきやきもまたよく食べました。すきやきを食べているときは、周りの人達の笑顔がみんな素敵に見えてくるから不思議です。食べると元気が出るような気もしてきます。
今はもう中二になった双子の孫も大好きで、ふたりともいくらでも食べるので、親は嬉しい反面、嘆いてもいます。おかげで女の子は中二にして167㎝にもなり、バレー部のキャプテンとして活躍していますが、まだまだ大きくなりそうです。すきやきに想いを馳せると、坂本九さんの「上を向いて歩こう」の歌のように、家族みんなが楽しく元気で過ごせますようにと、祈りたい気持ちでいっぱいになります。
私はいま、ラヴィーレ小田原という老人ホームで暮らしています。ホームでも時々すきやきが出ますが、そのたびにいつも昔のすきやきを懐かしく思い出します。すきやきは、みんなの笑顔と幸せな時間を想い出させてくれる、私にとっては忘れられないごちそうなのです。
古い夢は時代とともに懐かしい想い出に変わっていきますが、ここラヴィーレ小田原で新しい夢を見ながら、夢が覚めるまで上を向いて歩いていきます。
ご家族さま、近隣地域とも協力し、ご本人の心身の状態に応じた適切なケアを提供します。またケアスタッフやケアマネジャー、看護スタッフなど、多職種が連携し、尊厳を大切にしたケアに努めます。
その他のサービスについて閉じる全室個室なのでご面会は24時間いつでもお気軽にお越しいただけます。居室にトイレや洗面台もあり、ご自宅と同様のプライベート空間を確保。また、緊急呼出装置が各所に設置されており安心です。
※一部ホームでは居室にトイレが無い場合もあります
住み慣れたお部屋で最期を迎えたいというご入居者さまのご要望により、看取りに対応しています。事前に看護処置の準備、医療機関との連携の確認、ご家族さまとの連絡体制の確保などを行い、心を込めて、身体的、精神的苦痛、苦悩の緩和に努めます。
その他のサービスについて閉じる咀嚼力、嚥下力に合わせたやわらか食など、お身体の状態に合わせた形態食をご用意。高血圧や心臓病などの病態別食や、減塩食などにも対応いたします。食べる楽しみを感じ続けていただけるよう、日々メニューの開発に努めています。
その他のサービスについて閉じる1~30日間(29泊)まで、要介護1から要介護5の認定を受けている方がご利用いただけます。車椅子をご利用の方や歩行が困難な方でも、安心してお過ごしいただけます。ご家族の外出等で、ご自宅で過ごすのが困難になる間など、お気軽にご活用ください。
その他のサービスについて閉じる末期がん・難病などの方で、医療依存度が高くご自宅等でのご生活や療養が困難になられた方に向けた、特別な料金プランをご用意しています。また、介護スタッフと看護スタッフが24時間常駐しているので、安心してお過ごしいただけます。
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