6か月ぶりのお風呂
2022年10月25日
今回のホームだよりは、嬉しい成功事例についてご紹介させていただきます。
9月に入居されたY様は、以前の施設では6ヶ月間一度も入浴ができずに、ラヴィーレ小田原にご入居されました。その情報を知ったスタッフは、なんとしてもY様にご入浴していただきたいと願い、Y様がご入浴を拒否する理由が何かを考え、想像しながら入浴日に備えました。
そして最初のご入浴の機会がやってきました。
やはりご入浴は拒否されましたが、スタッフ三人がかりで、なんとか清拭をすることができました。その際のやりとりは次のようなものでした。
「 午前中からお風呂や清拭のお誘いをするも、拒否される。声掛けのスタッフを代えてお誘いするも拒否が強くなり、清拭もできず。時間を空けて、スタッフ二人で介入する。介助で洋服をお脱ぎいただこうとすると「自分でできるわよ!」とご自身でお脱ぎくださる。上半身は端坐位で清拭し、顔や手の届くところはご自身で行う。下半身は立つことに不安があるため、臥床していただき行う。髪の毛はドライシャンプーを行う。髪をとかそうとすると最初は拒否あるも、綺麗に整えると嬉しそうにされる。一対一より、人数がいたほうが嬉しそうにされていた。「わたしをお風呂にいれたければ、5人くらいひとを連れてきなさい!」とのこと。
このやり取りから、スタッフはたくさんのヒントを得ました。
ご本人様の不安な気持ちを軽減し、安心していただくにはどうしたらいいだろう。。。
数日後、2回目の入浴日。
その日の入浴の最後の順番にお声掛けしました。
ケアマネージャーが参入し、長年ラヴィーレ小田原の入浴介助を担ってきた、自称「フロマイスター」とケアリーダー、訪問入浴の経験者でもあるベテラン職員の4人がご入浴にお誘いし、ちょうどお部屋の前を通りかかったホームで一番背の高い男性職員も加わり、「Y様、大丈夫です。この人はすごい力持ちだから、絶対に倒れるようなことはありませんよ。わたしたちもみんなついていますから」。
ここからは実録、入浴介助。
「車椅子への移乗は不安があるようでのけぞろうとしてしまうため、ひとりでは不安だが前から抱え、後ろから支える。膝が伸び切らず浮いてしまうが、しっかり支えると暴れるようなことはなし。お風呂場に来てからも「先生の許可がないと、入りません」と拒否があったが、ちょうど往診医が訪問診療でいたため、ご協力していただく。シャワーチェアーへの移乗は同様に不安な様子だったが、3人で行う。洗い場に来てからは、寒いなどは言われるが拒否はなく、足湯をしながら何度かシャンプーや洗身を行う。リフト浴でお湯に浸かる時のお腹のバンドと足を上げる時に膝が伸び切らないので痛いと仰られるが、お湯に浸かると「気持ちいい」との声が聞かれる。終始表情は強張っていたが、お部屋に戻ると表情が和らぎ「ありがとう。涙が出ちゃう」と涙目になり、スタッフとの会話にも笑顔が見られる。「最初は何されるかわからなくて怖かったけど、こんなに綺麗にしてくれて…」「あなたは髪の毛をやってくれて…」など、終始涙目でにこやかにお礼を言われる」。
Y様が入浴されたことを知ったスタッフに、歓喜の輪が広がりました。そして、Y様の入浴はご家族様の願いでもありました。いつもは冷静なケアマネージャーも、少し興奮した様子でこの日の入浴についてお伝えし、感動を共有していました。
Y様はご自身では立ち上がることができず、恐怖心があったこと。
何をされるのか分からず、とても不安だったこと。
ご入居したばかりで、スタッフとの信頼関係も十分とは言えなかったこと。
それらに対して、スタッフ5人が協働して少しでも不安を取り除けるよう声掛けをして、移乗の際には、大丈夫であることを少しでも感じていただけるよう演出して、運よく医師の協力も得ることができて、さらには、スタッフ5名でもまったく問題にしない大浴場の利点を生かした援助ができたことなどが、6か月ぶりのご入浴につながりました。
Y様が涙目で謝意を示して下さったことと同じくらい、スタッフの笑顔がキラキラしていて、「ほんとうに良かった」と心底思いました。
援助拒否には必ず理由があります。
今回はご利用者の立場で困りごとを聞き取り想像し、その不安を取り除くよう、できる限りの工夫をチーム協働で行った、成功事例となりました。
そして本日は…ご入浴いただけました!!
Y様との信頼関係は日に日に深まっています!
Y様はわたしたちに、介護プライドを実践する機会と、感動を共有する時間を与えてくださいました。心より感謝申し上げます!!
これからもご入居者様お一人おひとりとより良い関係をつくり、その方らしい生活、喜びのある生活の実現を目指してまいります。
引き続きラヴィーレ小田原を、どうぞよろしくお願いいたします。
ご家族さま、近隣地域とも協力し、ご本人の心身の状態に応じた適切なケアを提供します。またケアスタッフやケアマネジャー、看護スタッフなど、多職種が連携し、尊厳を大切にしたケアに努めます。
その他のサービスについて閉じる全室個室なのでご面会は24時間いつでもお気軽にお越しいただけます。居室にトイレや洗面台もあり、ご自宅と同様のプライベート空間を確保。また、緊急呼出装置が各所に設置されており安心です。
※一部ホームでは居室にトイレが無い場合もあります
住み慣れたお部屋で最期を迎えたいというご入居者さまのご要望により、看取りに対応しています。事前に看護処置の準備、医療機関との連携の確認、ご家族さまとの連絡体制の確保などを行い、心を込めて、身体的、精神的苦痛、苦悩の緩和に努めます。
その他のサービスについて閉じる咀嚼力、嚥下力に合わせたやわらか食など、お身体の状態に合わせた形態食をご用意。高血圧や心臓病などの病態別食や、減塩食などにも対応いたします。食べる楽しみを感じ続けていただけるよう、日々メニューの開発に努めています。
その他のサービスについて閉じる1~30日間(29泊)まで、要介護1から要介護5の認定を受けている方がご利用いただけます。車椅子をご利用の方や歩行が困難な方でも、安心してお過ごしいただけます。ご家族の外出等で、ご自宅で過ごすのが困難になる間など、お気軽にご活用ください。
その他のサービスについて閉じる末期がん・難病などの方で、医療依存度が高くご自宅等でのご生活や療養が困難になられた方に向けた、特別な料金プランをご用意しています。また、介護スタッフと看護スタッフが24時間常駐しているので、安心してお過ごしいただけます。
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