地域包括システムとは...
2024年1月19日
ホームだよりをご覧いただきまして、ありがとうございます。
ある日のこと。
Web上に興味深い記事が...
●異様にひとり暮らし高齢者が多い謎県・鹿児島…若い世代は家族同居も60代以上の
独居率右上がりの歴史的背景「PRESIDENT Online」
https://president.jp/articles/-/77568
「鹿児島県は、高齢者の子どもとの別居率が他県と比較して目立って高い。
江戸時代の17世紀後半以降、日本全国で分割相続から単独相続への移行が起こり成立した「家制度」が鹿児島地方だけは未成立であったことに由来すると考えられる。」
「戦後、それまでの家督相続(単独相続)を廃止し、女性を含めた均分相続(分割相続)が制度化されたことで、単独相続に移行せず分割相続の風習が残っていた鹿児島地方に、図らずも日本の多くの地域が近づくこと(実態的には元に戻ること)になった。」
このことから、「ひとり暮らし高齢者の歴史が長い鹿児島地方には、高齢者の福祉、介護、医療、防災などにかかわる社会慣習として他県が学ぶ点がある可能性が高い」と、記事では結ばれています。
そこで思い出されるのは、厚労省が推進する、2025年を目途に構築される「地域包括ケアシステム」のこと。どうにも腑に落ちない点があるこのシステムの内容について、上記記事が学びの扉を開けてくれそうな気がします。
●高齢者住宅居住者のつながりと居住継続に関する研究「馬場康徳(2021)」
https://rissho.repo.nii.ac.jp/records/10212
「本研究の目的は、見守り機能や生活相談機能が付帯した公営住宅であるシルバーハウジング、および、近年注目を集めている民間資本を活用したサービス付き高齢者向け住宅居住者の居住意識について分析し、居住継続意向に寄与する項目を明らかにすることである。(7P)」
上記論文の「高齢者の居住継続意向の調査」と云う部分が、地域包括ケアシステムの、「可能な限り住み慣れた地域で」自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう(後略)、と云う箇所から受ける私自身の違和感の解消に役立つのではと思いました。
続けます。
「65歳以上の者がいる世帯のなかに占める一人世帯あるいは夫婦のみ世帯の合計は1975年の21.6%から2019年の61.1%と大幅に増加した。(26P)」
上記鹿児島県の記事、「(もともとそうで在った)鹿児島地方の世帯の高齢化と核家族化に日本の他地域が近づくこと」と、論文内の日本全体の調査結果とが合致します。
更に。
「2015年に内閣府が発表した「平成26年度一人暮らし高齢者に関する意識調査」によれば、「誰かと一緒に暮らしたいか」という質問に対しては、一人暮らしの高齢者の76.3%が「今のまま一人暮らしでよい」と回答している。「一人暮らし」=「孤独」=「不幸」というように短絡的に「一人暮らし」が「不幸」であるということではないということである。(35P)」
「近年は、配偶者や子どもの有無に関わらず、老後の生活を自身で選択し、設計するという価値観の高齢者が増えてきているものと考えられる。その結果、血縁や地縁に拘らない新たなコミュニティを求め、老後をアクティブに生き抜くライフスタイルの増加に繋がっているといえる(195P)」
「施設生活は家族の生活を尊重することであり、施設は自分が世話になるという心の負担から開放される場所であるとしている。さらに、施設生活が家族と対等な関係の維持につながることも明らかにしている。(195P、196P)」
「公営住宅であるシルバーハウジングについては、当該市区町村の居住者であるという入居資格が課せられており、「住み慣れた地域」がある程度成り立っている。しかしながら民間の経営母体が提供するサービス付き高齢者向け住宅においては、このような制約がないために、当該市区町村以外からの住み替えが多かった。住み替えの理由において「住宅に共感したから」が最も多く、必ずしも「住み慣れた地域」という場所・立地を住み替え理由にしていなかった。
つまり、住み替えた住宅に共感の持てるものがあり、ニーズが満たされれば、「住み慣れた地域」への住み替えが必ずしも求められる訳ではないといえよう。(247P)」
●厚生労働省 地域包括ケアシステム
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
●横浜型地域包括ケアシステムの構築に向けた神奈川区アクションプラン
https://www.city.yokohama.lg.jp/kanagawa/kurashi/fukushi_kaigo/koreisha_kaigo/care-plan/kg_houkatu.html
地域包括ケアシステムへの少しの疑問から始まった、知識が乏しい者としての学びの時間でした。糧にできるかどうかは、全ては捉え方次第。
精進いたします。
本日もご覧いただきまして、ありがとうございました。
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