SOMPOケアのプロフェッショナル|話し手:伊藤百子(SOMPOケア)「住まい」とは、その人らしく生きられる場所のこと

「できないこと」より「できること」を見つける

住み替えを検討する際、気をつけるべきことは?
介護が必要になっても、「自宅で過ごしたい」「自宅で最期を迎えたい」と思う方はたくさんいます。けれど経験上、多くの方が、「家族に迷惑をかけたくない」という理由から、ご自身の希望を抑えて高齢者向け住宅への転居を検討しているように感じます。
また、ご本人の意思で転居された場合でも、生活環境の急激な変化がストレスとなり、「リロケーションダメージ」と呼ばれるような、心身の健康を害することもあります。リロケーションダメージは年齢を問わず起こり得ることですが、高齢者や認知症の方はとくに起こりやすいと言われています。
リロケーションダメージを防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。
自宅で住み続けるにしても、高齢者向け住宅へ住み替えるにしても、まずは周囲と本人が、しっかり話し合うことが大切です。お子さんの立場だと、年老いた親への心配が先に立って「とにかく施設で安全に暮らして!」となりがちですが、まずは本人に寄り添って、気持ちをじっくりうかがってみてください。
「住まい」は、安全面も大切ですが、「その人らしさ」を維持できる場所であることも重要。その妥協点を探るプロセスをしっかり踏むことで、ご本人もご家族も安心でき、かつ、本人の望みをかなえる暮らし方をご提案できるんです。
私たちケアマネジャーは、認知症の方に対しても「ご自宅で一人暮らしは無理」とすぐに決めつけることはしません。その方が「何ができないのか」よりも「何ができるか」に目を向け、各種専門家とチームを組んで、その方の強みが活かされるサポートのあり方を探ります。
また、高齢者向け住宅への入居を決められた方には、使い慣れた家具や道具を持参することをおすすめします。さらに、なじみの方たちとできるだけ自由に会える環境を整えるなど、人とのつながりを継続できることも大切です。
エピソード:施設に入るよう医師からすすめられたが…
一人暮らしのAさまは、認知症を患っていました。鍋焦がしのボヤ騒ぎを起こしたのがきっかけで、医師から「施設に入るように」との話が。しかし、ケアマネジャーが実際にAさまに対面すると、「ご自分でできることは、まだたくさんある」という印象を持ちました。そこで、ご家族や周囲の方々に、何が不安なのかを徹底的にヒアリングし、解決策を模索。その結果、訪問看護の導入や24時間緊急連絡ボタンの設置、地域の八百屋さんとの買い物の連携、デイサービスの利用など、地域で利用できるサービスを導入することに。以降、Aさまは2年以上、一人暮らしを続けています。

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