SOMPOケアのプロフェッショナル|話し手:大関容子(SOMPOケア)「身だしなみ」から心も体も一歩元気に

「だれかのため」なら頑張れる、が外出のコツ。

なかなか気持ちが外出に向かない方には、どのように働きかけたらよいのでしょう?
「体が弱ってしまうから、外に出ましょう」と言われても、「そんなことはわかっているけど、動きたくない(動けない)」と、感じる方は多いでしょうね。それよりも、より暮らしに密着した具体的な目標を設定したほうが良いと思います。たとえば、春になったら、孫と花見に行こう」や「スーパーに買い物に行こう」などです。
ご本人が「何がしたいか」を探って、「じゃあ、そのために歩く練習をしようね」と働きかけてみてください。
「だれかのため」と言われれば、「がんばって外に出てみよう」と思える人は多いんです。たとえば、お孫さんから、「結婚式にぜひ参列してほしい」と言われれば、「そのために、歩けるようにがんばろう」と意欲もわいてきますよね。ご高齢になるほど、「だれかのため」がモチベーションになりやすいようです。
エピソード:トイレの困りごとを解消したい!
ホームに入居しているDさまは、自力で歩くのが困難で車いすを使用しています。週末など、ご家族と共に自宅で過ごすこともよくあるのですが、自宅のトイレが狭くて「用足しが大変」と困っている様子。そこで、「自宅のトイレに自分で行けるように」という目標を立て、リハビリをスタート。トイレの手すりに見立てたポールを使って、実際の場面に近い状態で練習を行いました。具体的な目標があるのでDさまも意欲的に取り組むことができ、とうとう、つかまれば自分で立てるまでになり、ご家族の方もトイレの介助が楽になりました。

お出かけ前のお悩みは、こうして解決!

よくある悩みと、解決のヒントをご紹介します。

Q1 体がぐらついて、洗顔がつらい…。
A 洗面台の前にイスを用意して、座って洗顔できるようにしましょう。洗顔しやすいように、イスの高さを調節することも忘れずに。
Q2 手指がうまく動かず、歯磨きがしづらく感じる
A 電動歯ブラシを試してみましょう。介護用のホルダー付き歯ブラシなどもありますが、電動だと通常の歯ブラシよりもきれいに磨けるというメリットもあります。
Q3 背中に手が回せず、ブラジャーがつけられない
A ホックを体の正面で止めてから、背中に回すと装着できます。また、手の動きが少しでもよくなるように、肩甲骨を動かすことを意識しましょう。
Q4 ボタンをはめるなど、細かい動作が難しい
A 自助具を利用してみましょう。動作を助ける介護用の自助具にはいろいろな種類があります。体の状態に合った道具を選ぶことが大切なので、ケアマネジャーや作業療法士、理学療法士に相談しながら選びましょう。
Q5 靴下やズボンの着脱が難しい
A 片足立ちで着脱しようとすると、ふらついて転倒する可能性があるので、イスに座って安定した姿勢で着脱することが大切です。腰や足が曲がりにくく、靴下を履くのが難しい場合は、靴下をはくための自助具もあるので、試してみましょう。
Q6 リハビリではできたのに、家に帰ったら自分で着替えられない
A 理学療法士やケアマネジャーに伝え、自宅で着たい服で練習しましょう。着替えにかぎらず、本番に近い状態で練習することが大切です。遠慮はご無用。リハビリでは、実際の生活の悩みを率直に伝えてみてください。
Q7 認知症が進行し、季節に合った服選びが難しい
A まず、外に出て温度を感じることが大切です。認知症には「今がいつなのか」「今どこなのか」などがわからなくなる「見当識障害」という症状もあります。窓を開けたり、外に連れ出して外気に触れたりするなどして、気温を実感できるようにしましょう。
Q8 車いすへの乗り移りが大変で外出の負担が大きい
A 福祉用具を利用しましょう。要介護の方を持ち上げなくても移乗できる「スライディングボード(シート)」や「ターンテーブル」といった福祉用具があります。レンタルもできますので、ケアマネジャーに相談してみてください。
Q9 失禁が心配。でもリハビリパンツに抵抗がある
A いつ、どのくらいの頻度で尿が出るか、排尿のタイミングを把握することで、不安は軽減します。たとえば、いつも2時間おきくらいに排尿するのであれば、「今トイレをすませたから、あと2時間は大丈夫だね」と周囲が声をかけることで、本人も安心して外出できるようになります。

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