福祉と哲学
2023年9月20日
「哲学って、なんだか難しい…」。
そのように思う方も多いのではないでしょうか。
まず、それは必然であると言わざるをえません。
というのも、変化していく世界のなかで、不変を求めようとするのですから。
しかし、難しいという理由で敬遠してしまうのも、道理に反しているように思われます。
なぜなら、私たちにとって身近なテーマを扱う学問だからです。
例えば、「福祉」も哲学と深い関わりがあります。
「福祉」とは、「幸せ」や「豊かさ」を意味する言葉です。
介護が必要になっても、ご利用者さまが「幸せ」や「豊かさ」を享受できるように、私たちは働いています。
もちろん、「幸せ」や「豊かさ」のかたちは人それぞれです。
そのご利用者さまにとっての「福祉」、すなわち「幸せ」や「豊かさ」とは何でしょうか。
仕事のなかでは、決められた業務を行うだけでなく、そのような一歩踏み込んだ思考が求められます。
ご利用者さまの状態は変化していきますが、その方にとっての「福祉」を考えていく。
限られた時間のなかで、必要最低限のケアしかできないこともあります。
しかし、少なくとも「幸せ」や「豊かさ」といった方向性だけは見失ってはならない。
「福祉」もそうですが、憲法に定められた「誰もが当たり前にもっている権利」を思考するのも、哲学の営みにほかなりません。
ちなみに、写真の本は学生時代によく使っていたテキストで、約2600年前から現代に至るまでの、哲学のエッセンスがまとめられています。
岡崎文明『西洋哲学史ー理性の運命と可能性ー』昭和堂、1994年。