あるご利用者様 「今」の幸せ
2025年8月13日
今年は終戦から80年の節目なのだそうです。
そのため、テレビで連日のように、戦争のことが報道されています。
息子さんと二人暮らしのあるご利用者様が、ふと、おっしゃいました。
「私がいた田舎でも空襲があってね。私は生き残ってしまったのよね」と。
生き残ってしまった…
この言葉に、哀しみが潜んでいました。
詳しくはお聞きしませんでしたが、血筋の近い方が、空襲の後、亡くなられたようです。
普段は、ほがらかに暮らしていらっしゃる方なのですが、
連日の放送で、戦争のことを思い出されたようで、悲しそうにされていました。
「大変でしたね。でも、やさしい息子さんとお暮らしなんて、
うらやましい方も多いと思いますよ」とお話しすると、
「そうね。息子も元気に育ったし、孫もいる。今は幸せよ」と笑顔を取り戻され、
「今、生きてるだけで、幸せなのよね」とおっしゃっていました。
戦争を体験した方の、その言葉には、計り知れない重みがあります。
過去の悲しみや苦しみを乗り越え、今を大切に生きている姿勢に、
私の方が励まされました。
ご利用者様だけでなく、私たちスタッフにとっても
「今日のお味噌汁、美味しかった」
「ドラマが楽しみ」
「孫が写真を送ってくれたの」
そんなささやかな出来事が、「今」の幸せにつながっているのではないでしょうか。
私たちスタッフは、ご利用者様の「今」を一緒に守るお手伝いができたらと考えています。