生き続けた場所で
2023年5月31日
副ホーム長の相原です。
今回は忘れられない経験をホームだよりでお伝えしたく思います。
「警報が鳴るとみんな防空壕に隠れるんだ。
爆音が鳴りやんで外に出るとおまちの方が真っ赤に焼けていたよ」
ある日、静岡駅前の古い写真を眺めながら
90代男性のご入居者・Y様がこう語りました。
静岡駅前の中心街のことを静岡県民は”おまち”と呼びます。
彼は生粋の静岡市民で当施設のある葵区長沼で
全ての人生を過ごされてきました。
大きな持病を抱えた方で、生活の多くをご自身で行える方でしたが、
ご病気の面を支えさせていただきながら共に過ごしてきました。
「防空壕から出ると近所の友達が爆弾に打たれて死んだ。
防空壕に向かって歩いている最中だったと思う。
爆弾が防空壕に直接落ちて死んだ友達もいたよ」
淡々と語ってくださいましたが、
このように伝えてくださるには
多くの年月が必要だったことでしょう。
焼け野原から立ち上がってきた日本。
高度経済成長期を経験し強い国となりました。
その中で、静岡の長沼を復活させたのは彼でした。
建築会社を立ち上げ、社員と共に
ここ長沼に多くの民家を建てられました。
「子供の頃は、この地域には数十世帯しかなくて
家を出ると畑だらけで富士山も良く見えたんだよ」
今の長沼はおまちにも近く過ごしやすい住宅地です。
施設の近くでは東海道新幹線が走り抜け、
近くの草薙球場ではプロ野球も行われます。
Y様と共に過ごしながら私が感じたのは
「人生の最期を自分で作り上げてきたこの街で迎えてほしい」
という想いでした。
その会話をしてからだいぶ時間が経ち、
氏の体調も次第に悪化していきました。
臨時往診に来られた往診の先生から
「あと2~3日でしょう」と報告を受けたときは愕然としました。
ある日、ベッドで休まれている氏にケアマネージャーが尋ねました。
「娘さんに伝えたいことはありますか?」
Y様はこう答えました。
「子供がわかっているので安心。承知していると思う」
先日、看護師が居室に尋ねた際には
「居室で家族に電話をしてらっしゃったのですが
『俺、もういくから』と言っていました」
との報告も受けました。
人生で起こる多くの困難を乗り越えてきた人間の強さなのでしょうか。
Y様の言葉は私の魂を揺さぶりました。
そしてその時、
救急搬送も視野にご家族様は悩まれましたが
当施設で見守ることになりました。
そして旅立っていかれました。
私達の仕事は人生の大先輩の生活のお手伝いをさせていただくこと。
けれども、私達の仕事は支えながら『人生』を学ばせていただける
とても尊い仕事です。
世の中からは「3K」と呼ばれる辛い仕事に分類されていますが、
他の業界では簡単には経験のできない素晴らしい仕事なのです。
これから先も、ここ長沼で私達「そんぽの家東静岡」は
多くのご入居者様を支え続けていきます。
Y様の作り上げたこの街で。
ご家族さま、近隣地域とも協力し、ご本人の心身の状態に応じた適切なケアを提供します。またケアスタッフやケアマネジャー、看護スタッフなど、多職種が連携し、尊厳を大切にしたケアに努めます。
その他のサービスについて閉じる全室個室なのでご面会は24時間いつでもお気軽にお越しいただけます。居室にトイレや洗面台もあり、ご自宅と同様のプライベート空間を確保。また、緊急呼出装置が各所に設置されており安心です。
※一部ホームでは居室にトイレが無い場合もあります
住み慣れたお部屋で最期を迎えたいというご入居者さまのご要望により、看取りに対応しています。事前に看護処置の準備、医療機関との連携の確認、ご家族さまとの連絡体制の確保などを行い、心を込めて、身体的、精神的苦痛、苦悩の緩和に努めます。
その他のサービスについて閉じる咀嚼力、嚥下力に合わせたやわらか食など、お身体の状態に合わせた形態食をご用意。高血圧や心臓病などの病態別食や、減塩食などにも対応いたします。食べる楽しみを感じ続けていただけるよう、日々メニューの開発に努めています。
その他のサービスについて閉じる1~30日間(29泊)まで、要介護1から要介護5の認定を受けている方がご利用いただけます。車椅子をご利用の方や歩行が困難な方でも、安心してお過ごしいただけます。ご家族の外出等で、ご自宅で過ごすのが困難になる間など、お気軽にご活用ください。
その他のサービスについて閉じる末期がん・難病などの方で、医療依存度が高くご自宅等でのご生活や療養が困難になられた方に向けた、特別な料金プランをご用意しています。また、介護スタッフと看護スタッフが24時間常駐しているので、安心してお過ごしいただけます。
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