ホーム長の経歴書⑬高津編~根競べ
2021年9月26日
I様という女性のご入居者は病院からの退院、そのままご入居になりました。バルーンカテーテルなるものを装着したままです。膀胱にから直接、管を通して尿を排出する仕組みに正直驚きました。幸いというか、今まで大病することなく入院ということも経験せずに過ごしてきた私にとっては、高齢になり身体の機能が衰えるとこういう形で排尿をすることもあるのだということを知りました。居酒屋の店長のままであったら、巡り合わなかったことかもしれません。
I様自体も全介助の重介護者です。更衣介助、食事介助、移動も車いすでの介助、排泄もオムツで、排尿に関しては決められた時刻にバルーンカテーテルを通して畜尿バッグにたまった尿を破棄することになっていました。表情もいかめしく険しい顔されていて、気の毒な方だな・・・と最初の印象でした。まもなく、印象は変わりますが。
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どこからか「おしっこ!」と響き渡る大声がきこえてきます。この大声はどこから聞こえてくるのか?最初はわかりませんでした。しかし辿っていくと臥床しているI様が叫んでいました。正直言うと煩いぐらいの大声です。訪室した私はI様に「トイレ行きたいのですか?」と尋ねるとうなずきます。しかし、バルーンカテーテルをつけている方への対応方法がわかりません。「ちょっと待ってください」とその場を離れて、先輩の女性スタッフのところに行って、I様がトイレに行きたいと言っているがどうすればいいかを尋ねます。その間も「おしっこ!」と叫ばれています。先輩スタッフもまさかのI様の大声に驚いています。一緒に訪室します。「おしっこ!」と叫んでいます。先輩スタッフは「Iさん、そのままおしっこしていいのよ」と耳元で声を掛けます。すると
「あ゛ぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!」
耳をふさぎたくなるような大声でした(∩ ゚д゚)
結局、バルーンがついているから仕方がないよね・・・ということで、その時は本人が落ち着くまで、そのまま臥床したままにするしかないような感じで終わってしまいました。
しかし、あんな大声で叫ばれていると、こちらも落ち着きません。
排尿は畜尿バッグに溜まるようになっていますが、トイレに行きたいのなら、便座に座ってもらい排尿した感覚を味合わせれば、本人が落ち着くのではと思い、勝手ながら、起床させて車椅子でトイレに移動して便座にすわってもらいました。そうしたらやはり大声を出さず大人しく座っていました。頃合いを見て「Iさん、終わりました?」と訊くとうなずいたのでまたベッドに戻って臥床していただきました。
尿意があるのに、なぜこういうものをつけるのだろう・・・当時の私にはどうしても理解ができませんでした。つけなければならない身体状態もあるかもしれないが、究極のところ多くの患者、あるいは要介護者を限られたスタッフで見なければならないことも理由になっていないか、と考えてしまい、切なくなりました。
その後、しばらくの間、I様の尿意を訴える大声はホーム内の問題になりました。しかも、結構頻尿で、尿意の度に大声が聞かれます。スタッフの中には、そのまま臥床したままにする人もいました。
私はIke君と話します。
・・・「そのままおしっこしていいですよ」って言ったてさあ、できるわけないよな~
・・・やっぱりトイレに行かなきゃおしっこした気にはならないよな~
そんな会話を交わしながら、I様の尿意を訴える大声に対応して、必ず便座に座っていただこう、と決めました。
「俺たちの魂を見せたる、I様と根競べだ!」
私とIke君が同じラインで入っているときは代わる代わるI様の大声に対応しました。
「よし、次俺が行く」・・・そんなふうに声を掛け合いながら。
そりゃ、臥床したまま排尿していただけたら、こちらは楽です。臥床しているところを起こして、車椅子に移乗し、トイレに移動して便座に座っていただき、排泄が終わったら、また便座から車いす、車いすからベッドへ~と結構な作業です。尿意を大声で訴えるたびに行うわけですから。
でも、そのほうが良いと思ったから。
私とIkeくんと同じようにしてくれる仲間もいたことも支えでした。
実はこの一連の排泄介助はご本人の機能訓練になったようで、I様が自力で歩行していた、という事象が増えていき、最終的にはバルーンカテーテルが外されるようになるのです。臥床したまま、だったらそうはならなかったわけです。
つづく・・・・まだまだ高津編 次回~喜びの共有
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