介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)SOMPOケア ラヴィーレ仙川ホームだより

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ホーム長の経歴書㉚大宮編~インディカ米疑惑

2022年1月23日

 食事中のS様(エピソード⑱の異物混入事件の方)より突然呼び出されました。皿の端に置かれた数粒のご飯粒を指しながら長粒種が紛れ込んでいると・・・。最初、長粒種と言われて、何のことかと思いました。いわゆるインディカ米のことでした。私は、外食産業のW社が世間にアピールしている自社農場や契約農家で栽培したお米なので、そんなはずはないとはっきり答えました。しかし、その後も度々、S様に呼ばれ、また長粒種が混入していたと、その米粒を見せられます。こちらも異物混入事件での負い目もありますので、あまり強硬には否定しませんでしたが、さすがに「変ないちゃもんつけないでくれよ」と心中穏やかではありませんでした。

 ただ、あまりにも何回も言われるので、S様が『証拠に!』と冷凍保存していた長粒種だという米粒をお預かりして、それをもって、エリアマネージャーや本社の厨房担当に相談します。エリアマネージャーや厨房担当はそれぞれS様と面談して、私が説明したように自社農場で栽培したお米であることや、炊飯したあとの炊き上がりの粒が細長くなる場合があることを説明します。しかし、S様はエピソード⑱で記したように特異な体質ゆえ、食事には非常に気を使っている方です。生協で消費者モニターみたいなことをされていたこともあったようです。そのため食に関する知識は深く、その知見をもって、これはインディカ米だと決めつけます。

 正直、気分はよくありません。異物混入事件からW社とホームに不信感があることはわかっていましたが、「そこまでケチをつけますかね」と。

 そこまで言うなら、ちゃんと調べてやろうじゃないか!と私もだいぶムキになっていました。
 農林水産庁に電話して、老人ホームの入居者が使用しているお米の品種を調べろというので、農林水産庁が様々な理由で関っている研究機関を教えて欲しいと問い合わせしました。電話で対応された担当者から、一つの機関だけでは癒着を疑われるのでと、複数の機関を教えてくださいました。その中から、ホームから地理的に一番近いのは茨城県つくば市にある研究機関でした。その研究機関にS様が冷凍保存していた長粒種と決めつけていたお米を25粒お預かりし、クール宅急便で送って、調べていいただきました。

 25粒で59,850円(税抜)の調査費がかかります・・・・・高いなあ・・・(汗)

 W社が自社で用意したお米、【あきたこまち】であると揺るがない信頼があった私は、絶対にインディカ米が混入していると思っていませんし、【あきたこまち】に決まっていると思っていましたので、分析結果を突き付けて、今までの『負い目』をやり返してやろうとさえ、ささやかに思っていました。

ところが・・・

(検査結果 実物です)

検査結果は

~あきたこまちではない品種が25粒中2粒混入されています~

 まじか!

 そんなばかな・・・・・正直目が飛び出るのではないかと思うほどびっくりしました。自社農場か契約農家で栽培した【あきたこまち】のお米を使っていると信じていたのに!
炊飯してしまったお米なので、インディカ米かどうかまでは判明しませんでしたが、鑑定可能な97品種以外の品種のコメが混ざっているなんて・・・・。

 
 この件を会社に報告すると、ちょっとした騒動になりました。


 しかし、良く調べると・・・・実は厨房スタッフが度々発注ミスをして、お米が足らない時にホームの近所のスーパーマーケットでお米を購入していたことが判明しました。W社の発注ルートで納品されるお米は【あきたこまち】であることはわかっていたので、スーパーマーケットで購入するときも【あきたこまち】を選んでいたましたが、自社で用意した自社農場や契約農家で栽培したお米ではないことははっきりしました。

 けれども・・・・それでは市販されている【あきたこまち】は【あきたこまち】100%米ではなく、農林水産庁が利用する研究機関が鑑定できる97サンプル以外の品種不明な、どこぞのお米が混ぜられて販売されている、ということ?
 そんなことがあるのかな・・・と不思議に思いました。

 ・・・と、ちょうどその時に、・・・

 三笠フーズの偽装米事件がニュースになりました。(憶えていますか?)

 米を扱う業界では事故米という食用にできないお米や古米などをブレンドして、産地や品種を偽装して販売していることが結構な割合で行われていたことが明るみになった事件でした。

 S様が長粒種が混ざっている・・・という主張はあながち間違いではなかった・・・
 W社のお米ではなかったですが、違う種類のお米が混ざっているなんて夢にも思っていなかった私たちからしたら、お米の違いによく気づいたよな~という感じでした。

 今回、インディカ米かどうかはわかりませんでしたが、もしかしたら輸入したタイ米などが食用に向かないほど劣化したものを工業用にと卸したはずが、他の米とブレンドされて販売されていた可能性も無きにしも非ず、ということ考えられたわけです。

 S様に結果を報告した時に、インディカ米かどうかはわからなかったが、【あきたこまち】ではないお米が混ざっていた結果に、「おかしいと思ったのよね」とちょっと満足げに笑っていました。

・・・・なんか悔しい(-_-;)


 高齢者の主張に「そんなことあるわけない」と決めてつけて臨んでいましたが、結局、人生経験のある高齢者のいうことを軽んじてはいけないな・・・そう反省した次第でした。

つづく・・・・大宮編はまだまだ続きます


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