ホーム長の経歴書㉘大宮編~認知症の方への対応(教訓その1)
2022年1月9日
(レストヴィラ大宮同窓会2013年12月)
IK様はこうして転居されましたが(第㉕㉖㉗話)、様々な教訓をいただきました。特に【認知症】について考えさせられました。それは私を含め大宮のスタッフたちにも、様々な経験になったと思っています。後年かつての大宮のスタッフたちと同窓会を行った時、「IK様から【認知症】というものを学んだ」と話題になりました。
笑顔はとても素敵な方でした。しかし、意思疎通が難しく、なかなか会話が成立しない。なぜ、放尿してしまうのか、弄便してしまうのか。なぜ、暴れだすのか・・・。
弄便して体じゅうが汚れているので、何とか入浴させたくても、なかなか浴室に誘導できない。やっとのことで、浴室に入っても脱衣しようとしない・・・。男性ケアスタッフのMiが自らのズボンを脱いで、下半身下着1枚になって、「これから一緒に風呂に入るよ!」みたいな雰囲気でIK様をお風呂に入る気分にさせていた光景に、胸が熱くなったことを憶えています。
多動な時は尿意や便意を疑って、トイレに誘導しても排泄せずにトイレから出てきてしまい、結局、ホーム内の端っこの方で放尿してしまいます。ある時の事務所出入り口側の受付窓口のカウンターにめがけて、放尿してしまったことがありました。
(イメージ図※実際のホームの画像ではありません)
IK様との関りを避けていた女性スタッフらが、「ありえないんですけど~」と騒いでいる傍で、私はカウンターの高さが小便器の高さに近いな、と思いました。
そもそも、IK様が現役であった時代に洋式便所は世の中では一般的ではなかったはずだ。しかし、ホームには洋式便所しかない・・・。洋式便所を目の前にしても、便所だと認識できないのでは?~そう思い、トイレに誘導した際に、IK様を洋式便所の前に立たせて、自分が隣に並んで排尿する仕草、いわば『連れ小便』する雰囲気を作り出すと、ちゃんと排尿されました。この方法で関わると、トイレに誘導した際に排尿せずに便所から出てきてしまうことは、ほぼありませんでした。
してやったり・・・一部のスタッフには共有できましたが、この方法は男性スタッフにしかできない介助であったことは問題でした。
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昼食後に外に出ようとして、自動扉の前で暴れる行動が時々ありました。「開けろ!」と怒鳴り、自動扉をこじ開けようとするときの暴力的な感じは鬼気迫るものがありました。なぜ暴れるのか?
観察していると、がっついて食事していた後は玄関で暴れる傾向があることに気づきました。息子様から聞いた話を思い出しました。(第㉕話)
~認知症状が出会始めたころに、すでに引退している身であるのに「何処どこの営業所に行ってくる」と自宅から出たあとに迷子になり、警察にお世話になることが増えた~
もしかしたら、営業本部長かなにかの時の気分になっていて、『急いで昼飯食べて、次の営業所を回らなければ!』という感じになっているのではないか?・・・そう思いました。
ある時また玄関で暴れ始めました。私は男性ケアスタッフのOに、営業所回りしている感じでホーム周辺を何周か回ってドライブしてきて、と指示を出し、玄関先にホーム車が横付けにされたところで、玄関の扉を開けました。すると、IK様は小走りにホーム車に向かい、自分で助手席の扉を開け、車に乗り込みました。今までそのようなアクティブなところを見たことが無かったので、正直驚きました。
しばらくして、ドライブから帰ってきました。表情は穏やかです。助手席から降車して、玄関に戻ってくると出迎えた私たちにIK様は、「あのドライバーはダメだな。何度も道を間違えて、同じ道ばかり通りやがる」と笑みを浮かべ、ご機嫌に言います。出迎えた私たちは大爆笑でした。
してやったり・・・・IK様が不穏になっているときのモード、あえていうなら『営業本部長モード』になっているとき、その後の対応に自信が持てました。しかし、どういったタイミングでそのモードに切り替わるかはわかりません。そのモードのタイミングをつかむ術を共有することが困難でした。
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当時IK様に関わった大宮のスタッフたちは大なり小なり対応に苦慮したこと、対応がうまくいったことの事例を、今私があげた例のように持っているはずです。それが私を含めスタッフたちの大きな教訓であると思っています。それは、新たな【認知症】の方と接した時、いつも「IK様の時はこうすればうまくいったよな」「IK様に比べたら、この点は難しくないな」と比較対象しながら、冷静に対応できるからです。
つづく・・・・次回も大宮編(まだまだあります)
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