ホーム長の経歴書㉗大宮編~変心
2022年1月2日
IK様の転居する日が決まった。私が失意の状態であったからか、それとも直訴により社長面談による決定であったからか・・・IK様の転居についてはエリアマネージャーの主導で話が進んでいった。みつわ台所属のケアマネージャーが受入れ準備のため様子確認に来た日程も、荷物を運び出した日程も(ほとんど荷物はなかったが)、そして転居する日と介護タクシーの手配まで、私を介せずに決まっていった。もしIK様が車内で不穏になったらいけないと、タクシーには、その年度の新卒の男性社員Kiも同乗することも決まっていた。
いちいちイラつきます。自分がないがしろにされていると感じました。さらに、「認知症があるからって、IK様は車内で不穏にならない、わかってないな」と今までIK様に関わってきた自負がある為、そのような配慮さえもイラつきました。
悶々とする日が続きました。
***************************************************************************************************
12月某日、IK様は昼食をホームで摂ったあと、みつわ台のホームに出発となりました。IK様はご機嫌にタクシーに乗り込みます。
このホームに住んでいたという認識がどれだけあったかわかりません。
ただ私はご機嫌なIK様を見ながら「もう、このホームには戻ってこないのにな」と思いました。
心あるスタッフが数人、玄関に見送りに来ました。
「IKさん、さよならね!元気でね!」 涙ぐんでいるスタッフもいました。
介助に入るのにはとても大変な方であったけど、この人を避けるスタッフやご入居者もいたけど、愛されているじゃないか・・・。
虚しくなりました。
IK様は車中ほとんど寝ていました。わたしもぼーっとしていて、同乗したKiと何を話したのか覚えていません。あと10分ぐらいでみつわ台に到着するというところで渋滞にはまりのろのろ運転になったころにIK様は目を覚まし、「おう、運転手さん、ここらで止めてくれ」と言い出したので、遠回りになってもいいから、車がスピード出せる道で進んでもらいました。
みつわ台に着くと、当然いるかと思ったホーム長はお休み。担当のケアマネージャーもお休み。休みが悪いわけではありませんが、またイラついてしましました。
「俺が大変な思いして関わってきたIK様が来たというのに、どちらもいねえのかよ。こいつらに任せて大丈夫なんか?」と。
するともう一方の自分が「お前が看きれなかったんだから仕方がないだろ」「お前がホームを治められないから仕方がないだろ」とイラつく自分に畳みかけます・・・こんなやり取りを頭の中でわちゃわちゃとやっているので、非常に不機嫌であったと思います。
IK様はみつわ台のホームの円居の第一号のご入居者でした。そのフロアにはIK様しかいません。これはこれでスタッフの人員配置などのオペレーション的には難しいことであったと思います。当時のみつわ台のスタッフの皆さんは本当に大変であったと思います。
IK様が真新しいホームの中を歩き回っており、ケアスタッフが遠目でその様子を看ていました。IK様がどんな心境であったかはわかりませんが、私には今までとは違う環境に戸惑っているように見えて、辛くなりました。
本来もっと感謝の言葉を述べなければならないのに、挨拶もそこそこにして、みつわ台のホームを立ち去りました。
一緒に来たKiともどこで別れたのかはっきり覚えていません(モノレールの終始発駅の千葉駅までは一緒であったと思います)。私は大宮へ帰るため秋葉原で乗り換えるよう総武線に乗っていました。その電車の中で、『下総中山』の駅名をみて、はっ、と思いました。自分がW社に入社して、初めて店長をやったお店の最寄り駅。そこから紐づいて、この日の2か月ぐらい前に『外食』の時の上司であったHさんに、会社でたまたまばったり会った時のことを思い出しました。
「いつまで『介護』にいるんだよ? 早くこっち(『外食』)に戻って来いよ。井上さんに店長やってほしい店あるんだからさあ。」
その時はかつての上司にそう言われて嬉しい気持ちもありましたが、ホーム長の就任してから起きた様々な出来事と振り返ると、複雑な心境でした。
それらのことを思いながら、IK様をみつわ台のホームに『置き去り』にしてきたばかりでもあったので、より複雑な心境になりました。
~『外食』には戻れないな~
なんとなく、そう思いました。
***************************************************************************************************
翌日、私は遅刻してしまいました。目が覚めたのは10時30分でした。
11時ごろに出社して、事務スタッフのYさんとケアマネージャーのTさんに「9時に出社していなかったら、電話してくれていいのに」と話すと、二人してこう言います。
「ホーム長、お疲れかと思って。」
「何かあったら電話すればいいかな~それまでもう少し寝かせておこう、って。」
続いて、ケア副主任のMさんのところに行って、「すみません、寝坊してしまいました」と謝ります。するとMさんはこう言って、笑い飛ばします。
「ホーム長、お疲れ、お疲れ!」
他のスタッフのところにも謝りにいくと、だいたいみんな同じような対応されました。
・・・IK様の一連のことで、みんなにいろんな心配かけていたんだな~そう感じてしまい、なんだか情けなくなりました。同時に、上長である私の遅刻を笑い飛ばしてくれたスタッフたちに対して、有難い気持ちになりました。
***************************************************************************************************
もう『外食』に戻る、というのは止めよう
このまま『介護』でやっていこう
この遅刻をしてしまった日に、そう決めました。
二度とIK様のような退居がおきないように。
つづく・・・・次回も大宮編(まだまだあります)
~~♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬~~
世田谷区隣接、調布市京王線仙川駅より徒歩4分
JR中央線の「吉祥寺駅」「三鷹駅」より小田急バス「仙川」下車
甲州街道「仙川駅入口」交差点すぐそば
お気軽に見学にお立ち寄りくださいませ。
連絡先:SOMPOケア ラヴィーレ仙川
TEL 03-3305-1165 FAX 03-3305-1168
ご家族さま、近隣地域とも協力し、ご本人の心身の状態に応じた適切なケアを提供します。またケアスタッフやケアマネジャー、看護スタッフなど、多職種が連携し、尊厳を大切にしたケアに努めます。
その他のサービスについて閉じる全室個室なのでご面会は24時間いつでもお気軽にお越しいただけます。居室にトイレや洗面台もあり、ご自宅と同様のプライベート空間を確保。また、緊急呼出装置が各所に設置されており安心です。
※一部ホームでは居室にトイレが無い場合もあります
住み慣れたお部屋で最期を迎えたいというご入居者さまのご要望により、看取りに対応しています。事前に看護処置の準備、医療機関との連携の確認、ご家族さまとの連絡体制の確保などを行い、心を込めて、身体的、精神的苦痛、苦悩の緩和に努めます。
その他のサービスについて閉じる咀嚼力、嚥下力に合わせたやわらか食など、お身体の状態に合わせた形態食をご用意。高血圧や心臓病などの病態別食や、減塩食などにも対応いたします。食べる楽しみを感じ続けていただけるよう、日々メニューの開発に努めています。
その他のサービスについて閉じる1~30日間(29泊)まで、要介護1から要介護5の認定を受けている方がご利用いただけます。車椅子をご利用の方や歩行が困難な方でも、安心してお過ごしいただけます。ご家族の外出等で、ご自宅で過ごすのが困難になる間など、お気軽にご活用ください。
その他のサービスについて閉じる末期がん・難病などの方で、医療依存度が高くご自宅等でのご生活や療養が困難になられた方に向けた、特別な料金プランをご用意しています。また、介護スタッフと看護スタッフが24時間常駐しているので、安心してお過ごしいただけます。
その他のサービスについて閉じる