ホーム長の経歴書㉔大宮編~弟妹の想い
2021年12月12日
KE様という胃瘻で一日の大半を居室で寝たきりになっている女性のご入居者がいました。言葉を発せず、私も含め多くのスタッフはこの方は喋れない方なのかと思っていました。私がホーム長になってすぐに退職されたTケアマネが在籍時に時折、KE様を車いすで事務所の前まで連れてきて、『大人の塗り絵』をやってもらっていました。その際に「KEさん、おはようございます」と、少しふざけて目の前で合掌していました。最初のころは全くの無表情でしたが、繰り返し挨拶をしていたら、ある時期からにニヤリと微笑むようになりました。ある時、私に向かって口をパクパクしています。何かを喋っていたのでしょうが、声が聞こえません。この時私はKE様は喋れないのではなくて、喋れなくなったのかな?そう感じました。
ホーム長になって約一ケ月経過した時にKE様の一年契約から終身契約への切り替えの依頼がご家族からありました。切替契約の場に弟4名と妹2名の計6名が現れました。KE様は9人兄妹の長女ですが、独身であっため、お子さんもおらず、弟妹が身元引受人になっていました。9人のうち2名がすでに他界しているとのことです。弟妹が勢ぞろいする中で今まで知らなかったKE様の話をいろいろ聞くことができました。
・「姉さん(KE様)は俺たちへの面倒見が良すぎて、『一番下の妹が結婚するまでは・・・』なんて言っているから、自分の婚期を逃してしまったのです。だから(切替に必要な)入居契約金は、俺たちみんなで、出し合って作りました」
~母親が亡くなった後、KE様は一家の母親代わりであったようです。
・「俺たちは姉さんには頭が上がらないです。『世界で一番怖い人は?』って聞かれたら、みんな、『姉さん!』って答えます。」(一同爆笑)
~弟妹たちから愛され、慕われていたのがわかりました。
・胃瘻となってしまった脳梗塞での入院のいきさつについて
「毎年姉さんは年始回りで、必ずどこかの弟妹の家に泊まるのだけれど、脳梗塞を起こした年だけは、誰のところにも泊まらなかったのです。だから、発見が遅れてしまった。あの時にウチに泊めていれば・・・」と後悔する弟を別の弟妹が「いや、自分のところに泊まっていれば・・・」お互いを庇いあっていました。
・胃瘻になった後、入院先にお見舞いに行った時のこと
「俺たち、胃瘻になったからって言ったって、アイスクリームぐらい食べれるんじゃないかと、お見舞いに行ったときにアイスを食べさせていたんですよ。それを看護婦に見つかって、すごい勢いで怒られちゃって・・・・あんなに怒らなくてもなあ~」(一同爆笑)
私は弟妹たちのKE様への想いや、胃瘻のKE様に無断でアイスを食べさせナースに怒られた・・・ともすれば切ない話を明るく話してくれる雰囲気にのまれ、「アイスぐらい食べれそうですよね」と同調してしまいました。その瞬間、一番末の妹さんが、笑顔で「姉はアイスが大好物なんです!」と。
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・・・なんだろう・・・この清々しさ、というか、「何とかならないかな」と思う責任感が入り混じった気持ちは・・・。
もしかしたら、もしかしたらですよ・・・
・・・もし、弟妹さんたちが辛気臭い雰囲気でこの切ない話をされていたら、自分の行動は違ったかもしれない・・・。きざな言い方して申し訳ないですが、「心が震える」というのはこういうことなんだなと思います。私は切ない話を明るく話してくれる弟妹さんたちに、すっかり気持ちが乗っかってしまいました。
KE様の弟妹さんたちと話したエピソードをみんなに伝えたい、伝えずにいられない衝動にかられました。後日私は自らの主催でケア会議を三回に分けて開催。KE様がご入居される前がどんな方であったのか、そして弟妹さんたち想いを知って欲しかった。「だからKEさんにアイス食べてもらいたいね」って、みんなに伝えました。
私のこの無責任な発言を、大宮のスタッフたちは受け止めてくれました。居室担当であったKケアスタッフを中心にKE様を経口摂取に戻していく取り組みになっていきました。ケアもナースもケアマネも厨房も、そして往診医も、会社の顧問であった言語聴覚士も巻き込んで。
最終的にはKEさまは常食を食べれるまで口腔機能が復活しました。当然、アイスクリームが食べれるようになるまでに。その後約1年半の間、再び脳梗塞が原因でご逝去される直前まで、自分の口で食事を召し上がっていました。
私はKE様とその弟妹さんたちから大切なことを学ばせてもらったと思っています。
さらにKE様の口腔機能が復活していく過程で感じたのは、 食べる=話す なのだと気づかされました。食べる機能を訓練していくうちに、声が出るようになっていきました。胃瘻になって口腔機能を使わなくなったことで声が出なくなっていたこと知りました。
つづく・・・・次回もまだまだ大宮編
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