介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)SOMPOケア ラヴィーレ仙川ホームだより

24H看護
スタッフ
認知症ケア 寝たきり 全室個室 お看取り 病態食
対応
短期利用可 夜間たん吸引 リハビリ
強化ホーム
日中看護
スタッフ
ホスピス
プラン
ミニキッチン
付き
バス付き
ホームの日常

ホーム長の経歴書㉓大宮編~仕事の重さ

2021年12月5日

 YH様という男性の方がご入居されました。年齢は59歳という若さで、若年性アルツハイマー型認知症の診断とされていました。第2号被保険者という、40~64歳で加齢に伴う疾病が原因で要介護状態になった方です。私もスタッフも皆、このような若さで要介護状態である方を見たのは初めてであったので、正直戸惑いました。59歳、といったら、まだ現役で働いている方も大勢いますし、なんならホームに従事するスタッフの中にもそれに近い年齢の者も結構在籍しています。髪の毛にも白髪は無く、肌の状態や筋肉の状態も到底まだ「おじいちゃん」と言われるような感じではないです。
 某テレビ局でディレクターの仕事をされていたとのことでしたが、ある時期から急激に認知症状が現れ、やむを得ず退職されたとのことでした。

 YH様はとにかく多動です。じっとしているのは食事を摂っているときと、睡眠時の臥床しているときだけ。それ以外はずっと歩き続けます。大宮のホームは回廊式の建物なのでずっとぐるぐると歩き続けていました。夜間の人手が少ない時間帯は身体拘束するしかないと、そのつもりで準備をしましたが、眠剤を服用して臥床すると、朝の起床時までは大人しく寝ていましたので、実際は身体拘束をしませんでした。しかし、日中はずっと歩き続けます。しかも歩くスピードも速い。歩く速度が速い為、とても危なっかしく、常時スタッフが傍につくしかなかったです。付き添っているスタッフの方がばててしまうほどです。ずっと歩き続けるYH様にどうしたいのかを話しかけても、意思の疎通は難しく、こちらの問いかけにきちんと返答されたことはほとんどありませんでした。

 多動なため、病院では一日中ベット上で拘束されていたとのことです。奥様はその状態から解放させてあげたいと入居の相談に来られたようです。その思いを受けてご入居になりましたが、受け入れたホーム側にはそれなりの大変さもありました。
 それは先に記したように危なっかしくて、常時付きそっていなければならなかったこともそうですが、他のご入居者からの冷たい視線がありました。「ああいう方はこのホームに入るべき人ではなかったはずだ」とはっきり苦言を申されたご入居者も数名いました。「かわいそうではあるが、見ていて、こちらも胸が苦しくなる」と付け加えていました。
老後の安心した生活を望んでホームに入居された方が、ホームで一日中歩き回っているYH様の姿を見かけて、心の平穏さが崩れることは理解でき、『冷たい人』だなとは思えません。

 自分が小学生だった時に同じ学級に多動が抑えられない、意思疎通がうまくいかない、いわゆる『知恵遅れ』と言われた発達障害の児童がいましたが、いくら教師が皆で仲よくと言っても、実際はその児童に対して嫌悪感や差別があり、常に蔑まれていました。学級委員長であった自分がその児童の面倒を見ることが多かった故、蔑む側を単に『冷たい人』とすることは一方的な考えであると客観的に見ていました。自分と同レベルのコミュニケーションが取れる人に囲まれている方が、ある種の心の平穏が保たれるのは当然だと思います。ご入居の皆様は人生を積んだ大人ですし、あからさまに子供のような蔑む言動はしませんが冷たい視線になってしまう気持ちはわかりました。

 どうするべきか・・・

・・・と悩み続けて、YH様が入居されて3週間後のことです。夜勤のスタッフからYH様を4時に巡視した時に心肺停止しているところを発見し、救急搬送したと連絡が来ました。急ぎ病院へ行き、駆け付けた奥様と共に死亡を確認しました。死因は心不全とされましたが、前日の日中もいつもどおり歩き続けていましたし・・・なんてあっけないのだろうと思いました。
 入居されて、わずか3週間でご逝去されてしまうなんて・・・・奥様がどういう反応するかが怖かったです。しかし、奥様は「ここ(ホーム)に入って、大好きなうな重も食べれて、コーヒーも飲めて、花火は見れたし・・・あの人ここに来て、きっとホッとしちゃったのね。本当にありがとうございました。」と泣きながらも時折笑みを見せながら、感謝の言葉を告げられ、なんだかビビっていた自分が情けないと思いました。そして、YH様の対応が大変だなと思いながらも、優しく接してくれたスタッフたちに本当に感謝の気持ちしかありませんでした。

 YH様がご逝去された日の私の手帳にこう書いてありました。

  同じ基本給なら、外食の店長の方がよっぽどか楽だな
  ホーム長の仕事は重いわ

 当時のW社の給与体系では、ホーム長と店長の基本給は同額でした。だからこんなふうに思ってしまいました。『外食』は『外食』なりにとても大変な仕事です。しかし、【死】というものには随分かけ離れた仕事です。介護の仕事には【死】が傍にある仕事です。【死】の傍には一人の個人の想いだけではなく、その家族の想いもずっしりと乗っかっています。そういった部分で、気持ち的なの重さが違い過ぎると感じました。

   今の私は、仕事に『重い』も『軽い』もないと思っています。

 しかし、当時の私には『介護』で従事していくための心の準備ができていなかった、と振り返って思うのです。


つづく・・・・次回もまだまだ大宮編

~~♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬~~
世田谷区隣接、調布市京王線仙川駅より徒歩4分
JR中央線の「吉祥寺駅」「三鷹駅」より小田急バス「仙川」下車
甲州街道「仙川駅入口」交差点すぐそば
お気軽に見学にお立ち寄りくださいませ。
連絡先:SOMPOケア ラヴィーレ仙川 
    TEL 03-3305-1165 FAX 03-3305-1168
    E-mail:lv_sengawa@sompocare.com
              ~~ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬ ♬~~

お問い合わせ

お電話から
受付時間 9:00 〜18:00(年末年始を除く)