ホーム長の経歴書⑲大宮編～不承不承
2021年11月7日
ハンガーストライキしていたS様が救急搬送され、一時はどうなるかと思いましたが、その日のうちにホームに戻ってこられました。やはり食事を摂っていなかったことが影響したようで、搬送先の病院で点滴を入れて、意識はしっかりした状態で戻ってこられました。
しかし、高齢なのになんて無茶なことをするのだろう・・・と思った反面、それほどの怒りだったのだな・・・と思い知らされました。SエリアマネージャーやMホーム長がS様と話をして、明日以降は食事を摂っていただくことを了解されたようでした。ただ、W社介護事業のS社長がお詫びに来ることになりました。
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この後すぐのことです。Mホーム長に呼び出されました。
Mホーム長:「井上さん、僕、今月(3月)いっぱいでこの会社辞めるから。」
井上:「ええっ!」
Mホーム長:「会社に対して、いろいろ不信感があって、もう無理かな、って。」
(おいおい!)
井上:「え、じゃあ、後任の方が来るんですか?」
Mホーム長:「さあ・・・何も聞いてないよ。もしかしたら井上さんにお声かかるんじゃないの?」【微笑】
(笑ってるよ、この人・・・よくこんな状況でよく辞めれるよな～)
Mホーム長:「ホームにくるのは今週までで。来週からは有休消化だから。」
(なんと・・・後任が来ることも未定なのに、ぶん投げ?それはないでしょ～)
Mホーム長も大変なことが多かったのだとは思いますが・・・・・
なんか流れが悪いよな・・・・このままホーム長にさせられちゃうのかな?まてまて、俺は『外食』に戻る予定なんだから、必ず後任が来るよな・・・Sエリアマネージャーも責任もって、結果出したら『外食』戻すって言っていたぐらいだし・・・。
後日、Sエリアマネージャーから呼び出されました。Mホーム長が退職することになった話をされました。その話は直接Mホーム長から聞いたことを伝えると、Sエリアマネージャーは、
「それで・・・井上さんにこのホームのホーム長をやってほしいのだけれども・・」
と言います。
私は全力で訴えました。
「いやいや、エリアマネージャー、それはちょっと話が変わってるじゃないですか。与えられた課題(ホームの雰囲気を明るくする)をこなすつもりではいますが、ホーム長になるために大宮に来たわけではないですよ。そもそも『外食』に戻るつもりの私がホームのトップをやるのもどうだか。」
Sエリアマネージャーは、私が目指すことに対して、遠回りになってしまうのは悪いが、今この状況をとにかく治めなければならないし、代わりにホーム長を他から連れてくることも難しいから何とか引き受けて欲しい。管理職の業務などは自分もフォローすると話します。
私がこの日に拒否の態度をしましたのでそのまま終わりましたが、その後日にSエリアマネージャーから、ホームでは話に集中できないから本社に来るようにお願いされます。「説得しようとしているのだな～」と思いました。
(大鳥居にあるW社の本社)
大鳥居の本社に行って、待っているとSエリアマネージャーがS社長とM部長と現れました。そこでSエリアマネージャーから、異物混入事件の件で、S社長がS様のところにお詫びにいくことの打ち合わせをしていたと説明しながら、私のことを社長に紹介しました。
「おまえか!外食の戻りたいなんて言っちゃってるのは!」
S社長にそう言われ、私はそんなに珍しい輩なんかな・・・と思いました。
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S社長とはそこで別れ、当時本社の1階にあったドトールコーヒーにM部長とSエリアマネージャーに連れていかれました。そこで、M部長に
「今さら『外食』に戻ってどうすんだよ」
と話されます。そこで、自分が『介護』への出向を告げられてから抱いてきた思いがあり、どうしてもやり遂げたいことがあるからこそ、『外食』に戻りたい気持ちがあることを話します。
M部長に、『介護』でも遂げられる思いなのではないかと諭されます。
しかし、私がうんと言わないことで、M部長は説得をの方向性を変えてきます。
M部長:「ホームがこんな状況なのに、みんなを見捨てるのか?」
(来たよ来たよ・・(・_・;) 部長、その言葉ずるいよな～Mホーム長にもそれ言ってよ・・)
井上:「そんな、見捨てるとか、そういうのじゃなくて・・・」
M部長:「自分の想いばかり優先して、ホームはどうでもいいのか?結局は誰かがやらなければならないのだから、今の状況を考えたら、おまえがみんなを受け止めるしかないと思わないのか?」
(攻めてくるな～・・・(-_-;)
・・・・・そう思いながらも、大宮のホームに来て約1か月半で、スタッフと話した事柄がいろいろ浮かびました・・・
Oさんに「外食に戻る人に話してもしょうがない。」と言われたこと
Mさんに「私、来月末で辞めますから!」と捨て台詞をはかれたこと
Hさんに「こんな時間まで残って仕事してるのに、誰もねぎらってくれない。もう家のことができず、家庭がぐちゃぐちゃです。」とキレられたこと
Kさんに「ご入居者に優しくない先輩がいて、一緒に働くのが辛いです。」と泣かれたこと
Oさんに「W社の上の人は介護のことなんか何もわかっていねえ!」とキレられたこと
Tさんに「給料が安すぎて、転職考えています。」と言われたこと
Tさんに「Mホーム長は何考えているかわかりません。」と言われたこと
Fさんには逆に「Mホーム長はこのホームに必要なんですよ!なんで会社の人はMさんを引き留めないんですか!」とキレられたこと
誰かが受け止めなければならない～なぜだかそんな気持ちが出てきてしまいました。
「わかりました。やります。」
自分の目指すことは遠回りになってしまっても、今は引きうけるしかないと思いました。
こうして私は4月1日付けでレストヴィラ大宮のホーム長に就任することになりました。
つづく・・・・大宮編次回～後始末
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