ホーム長の経歴書⑰大宮編～嵐の予感(後編)
2021年10月24日
「副長は、『外食』に戻るんですよね?そんな人に話してもしょうがないじゃないですか。」
パート社員の女性ケアスタッフにOさんにそう言われ、固まってしまいました。
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スタッフのみんなが抱えている不平不満を聞いて、ホームの改善につなげていこうと考えていたところ、このような言葉を返され、「すぐに戻るわけじゃないから・・」と返事をするのが精一杯でした。
しかし、なぜ私が『外食』に戻る希望があることが、このホームのスタッフに知られているのだろう・・・管理職やリーダークラスが知っているならまだしも、パート社員にまで伝わっているなんて・・・・私が大宮に異動してきた人事に対して、反発があるのだな・・・そう思わざるを得ませんでした。そもそも、Mホーム長がSエリアマネージャーの愚痴を良く言っていたところから察すると、Sエリアマネージャーが自分の息のかかった『外食』出身の奴をホームを監視するために送りこんだ、とでもMホーム長は思ったのではないか・・・。
今回の人事に対して、不満をあちこちで漏らしていたのだろうな～自分なりにそう予想しました。
「えらいところにきてしまったな・・・・」
ただ、それで怯んでいるわけにもいかないので、みんなの意見を聞いていきました。
ナースセクションは、「ケアマネは自分の考えが一番正しいと思って、周りの考えは一切無視する。」
ケアセクションは、「ケアマネは直接ご入居者と接しているわけではないのに、知っているかのように指示を出す(ご入居者の状態にあっていない介助の指示を出す)。」
ケアマネは「ナースは考察がない。ご入居者の状態を解っていない。」「ケアはご入居者への意識が低い。」
・・・といった具合にセクション間のパワーバランスが崩れている内容が多く聞かれました。
また個人を非難する意見や人手が足らない、給与が低い、労働環境が悪い、対応困難なご入居者・ご家族がいる、などなど。
さらに、大宮のホームはもともとR社が運営していた施設で、W社が買収する前から在籍していた社員も多く残っていたので、会社文化の違いに不満を抱くスタッフも多くいました。
そして、W社が外食産業で培ってきた「お客様の望むことは全てさせていただく」サービス精神が曲解を生んで、ご家族やご入居者に「話が違う」と苦情になっていることも散見されました。
またW社のイメージ戦略が功を奏していた時期でもあり、急激に入居が進んで、しっかり運営する体制も出来上がっていなかった感じでした。
皆の話を聞いていくうちに、人間関係の問題だけでなく、そもそもご入居者にとっても、スタッフにとっても、心が落ち着かない環境であったことがわかってきました。これではMホーム長も大変であったと思います。
そういう中で、最終的にはW社の会長が直接謝罪をするような事件が発生します。
・・・つづく 次回、大宮編～異物混入(前編)
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