グループホームとは?認知症ケアに特化したサービス内容と他の介護施設との違い

「グループホームにはどんな特徴がある?」
「グループホームと他の介護施設の違いを知りたい」
など、グループホームに関して疑問を持っている方もいるでしょう。

グループホームは、認知症の高齢者を対象とした介護施設です。少数制になっており、他の介護施設とはさまざまな違いがあります。

今回は、グループホームの概要、メリット・デメリット、選び方のポイントなどを解説します。最後まで読めば、グループホームに関することがよく分かるので、ぜひご覧ください。

1.グループホームとは

グループホームとは、認知症の診断を受けた高齢者が、9人以下という少人数で共同生活をする住居のことです。認知症対応型共同生活介護と位置づけられ、認知症の方が専門のスタッフのサポートを受けながら生活します。共同生活を送ることで自分らしい自立した日常生活を送ることを目指しています。

グループホームは日本全国に13,977ヶ所(令和2年10月時点)あり、SOMPOケアでは、21ヶ所のグループホームを運営しています。

グループホームとは?

グループホームの設備

グループホームの居室は原則個室となっていて、入居される方の専有スペースになります。また、他のご利用者とともに利用する共有スペースとして、リビングや食堂、台所、浴室などの生活空間があります。

グループホームは、介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)や特別養護老人ホームなどに比べ小規模な施設です。認知症の方のなかには、人の顔を新たに覚えたり新しい環境に慣れたりすることが難しい方もいます。そのため、少人数で生活をすることは他のご利用者、スタッフとも顔なじみになりやすく、認知症の方も安心して暮らすことができるのです。

SOMPOケアでも、家庭的な雰囲気を大切にし、認知症の方がスタッフとともに食事の支度をしたり、掃除や洗濯をしたりしながら、穏やかに過ごせるようサポートしています。

グループホームで受けられるサービス

認知症になると、自立した生活が難しくなるのではないかと思われることがあります。しかし、実際には認知症になっても料理や洗濯などの家事が全くできなくなるわけではありません。グループホームのご利用者は、スタッフのサポートを受けながら、料理や洗濯などの家事をスタッフや他のご利用者と役割分担しながら共に行います。ご利用者のできること、できないことを考慮し、サポートするというケア体制となっています。

また、グループホームは認知症の方のみを対象とした施設なので、認知症ケアの専門スタッフが常駐しており、ご利用者の日常生活のサポート(入浴や排泄、更衣、食事などの介助やアクティビティなど)や、日々の変化への観察と対応、精神的ケアまで支援します。

認知症ケアの専門スタッフがいることで、ご利用者にとって安心して暮らせる環境となっています。

グループホームの入居条件

グループホームへ入居する条件は、以下の通りです。

  • 医師から認知症の診断を受けていること
  • 要支援2~要介護5の認定を受けていること
  • 集団生活を営むことに支障がないこと
  • 施設と同一の市区町村にご利用者の住民票があること

グループホームは、認知症の方を対象としているので、入居するには医師から認知症の診断を受けている必要があります。また、グループホームは地域密着型のサービスであるため、施設と同一の市区町村にご利用者の住民票がなければ入居できません。

2.グループホームのメリット・特徴

それでは、グループホームを利用することのメリットを具体的に見てみましょう。

認知症のケアに特化している

グループホームは、認知症ケア専門の施設です。認知症ケアを専門とするスタッフが常駐し、小規模で配慮の行き届いた生活空間で、ご利用者それぞれに合わせた生活を支援します。基本的な生活動作をご自身で行うことにより、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。

例えば、認知症の進行を緩和するためのレクリエーションとして、園芸など手先を使う作業を取り入れているグループホームがあります。認知症だからできないと決めつけたりせず、その方らしく暮らし続けていただくために、ご利用者にできることは任せるというスタンスで運営されているのです。

住み慣れた地域で過ごせる

グループホームは原則、同じ地域で暮らす方たちが入居するため、慣れ親しんだ地域で生活できます。そのため、共通の知り合いや話題も見つけやすい環境で生活を送れるのが、グループホームの特徴の一つです。認知症の方のなかには、見知らぬ新しい場所で過ごすことで、精神的に不安定になってしまう方もいます。グループホームでは、長年住み慣れた地域で過ごせるので、環境の変化による心身の負担は少なくなるでしょう。

SOMPOケアのグループホームでは、地域のお祭りへの参加や近所の保育園・小学校から子どもを招待するなど地域の交流を大切にしています。

プライバシーが守られ、交流もできる

グループホームでは、ご利用者の居室はほとんどが個室です。そのため、プライバシーが守られた環境で自分の時間を過ごすことができます。また、共有スペースとしてリビングやダイニングもあるため、ご利用者同士の交流はもちろん、ご家族や来訪したご友人との歓談もでき、充実した暮らしを送ることができます。

3.グループホームのデメリット・注意点

次に、グループホームへ入居を検討する際に知っておきたい注意点をご紹介します。

看護師の配置義務がない

グループホームには、認知症ケアを専門とするスタッフは常駐していますが、看護師の配置義務はなく、多くの施設では対応できる医療ケアに限りがあります。

ただし、高齢者向けの施設であるため、ケガや体調の急変などに備えて提携する医療機関を定めています。要介護度が高くなった場合や医療ケアが必要になった場合の対応方法、提携医療機関など、施設の対応がどのようになっているのか、事前に確認しておくと良いでしょう。

また、ご利用者の高齢化に伴い、看取りに対応するグループホームも増えてきています。まだ数は少ないものの、看護師が在籍していたり、訪問看護ステーションと契約して看護師を確保していたりするグループホームもあります。施設により体制が異なるため、入居前に確認するようにしましょう。

施設と同じ市区町村に住民票がないと入居できない

グループホームは、介護保険の中で市区町村が運営する「地域密着型サービス」に分類されます。地域密着型サービスは、要介護度が高くなっても、住み慣れた地域できめ細かいサービスを提供するという趣旨のものです。そのため、グループホームに入居する場合には、その施設と同じ市区町村に住民票があることが条件になります。

4.グループホームと他の介護施設との違い

グループホームの他にもさまざまな介護施設があります。ここでは、グループホームと他の介護施設の違いをお伝えします。

各介護施設に関する情報を説明する前に、グループホームの特徴を下記の表でおさらいしておきましょう。

グループホームの特徴

運営元 法人格をもつ企業(民間の営利企業を含む)
入居条件 次の条件を満たす方
  • 65歳以上でかつ要支援2~要介護5の方
  • 65歳未満の方で、若年性認知症、初老期認知症と診断されかつ要支援2~要介護5の方
  • 認知症であると診断を受けた方
  • 施設と同一市町村内に住民票がある方
  • 集団生活に支障がない方
サービス内容 日常介助、機能訓練、レクリエーションなど

介護老人保健施設(老健)との違い

グループホームと介護老人保健施設(老健)の違いをお伝えします。

介護老人保健施設の特徴

運営元 医療法人や社会福祉法人などが運営主体である公的施設
入居条件 65歳以上でありかつ要介護1以上の方
サービス内容 短期の滞在期間を前提としたリハビリ重視のサービス提供を行い、在宅復帰を目指す

介護老人保健施設の大きな特徴は、リハビリ重視であり滞在期間が短いことです。病院退院後などの自宅での生活に不安を抱えるご利用者が自宅復帰することを前提に入居する施設で、入居期間も3ヵ月〜1年程度となっています。一方で、グループホームには入居期間が定められていません。また、介護老人保健施設の主な運営主体は公的施設であることもグループホームとの違いの一つです。

特別養護老人ホームとの違い

次に、グループホームと特別養護老人ホームの違いをお伝えします。

介特別養護老人ホームの特徴

運営元 地方自治体や社会福祉法人が運営主体である公的施設
入居条件 次のいずれかの条件を満たす方
  • 65歳以上でかつ要介護3以上の認定を受けている方
  • 40歳~64歳で特定疾病であると認められた要介護3以上の認定を受けた方
  • 市町村の特例により入居が認められた要介護1~2の方
サービス内容 日常の介助、生活支援、リハビリなどから看取りまで、終身に渡るサービスが利用可能

特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の方しか入居できません。しかし、知的障害や精神障害に伴い、日常生活に支障をきたす行動が頻繁に見られたり、単身世帯や同居家族が高齢で自宅での介護が困難な場合などは、特例として要介護1〜2の方でも入居できることがあります。また、公的な施設であるため、グループホームと比べて初期費用や月額費用を抑えることが可能です。特別養護老人ホームは人気が高く、入居待ちの方がいる場合もあります。

有料老人ホームとの違い

グループホームと有料老人ホームの違いをお伝えします。

有料老人ホームは、ご利用者の必要に応じて食事や家事、健康管理、介護などのサービスを一つ以上提供している住まいを指し、ニーズに合わせて「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類に分類されます。さらに、介護付有料老人ホームは「介護専用タイプ」「混合タイプ」「自立タイプ」の3つに分けられます。

「介護付」「住宅型」「健康型」それぞれの有料老人ホームの特徴を見ていきましょう。

介護付有料老人ホームの特徴

運営元 民間企業、社会福祉法人、医療法人などが主な運営主体
入居条件 「介護専用タイプ」「混合タイプ」「自立タイプ」の3つの施設形態に応じて、自立~要介護5までの方
サービス内容 24時間体制で職員が常駐しており、利用者の身の回りの世話から日常介助まで対応

住宅型有料老人ホームの特徴

運営元 民間企業が主な運営主体
入居条件 60歳以上でありかつ自立または軽度の要介護状態の方
サービス内容 比較的、医療依存度の低い人を対象とした生活援助やレクリエーションなどのサービスを提供。「介護付」よりも費用が割安で済む

健康型有料老人ホームの特徴

運営元 民間企業が主な運営主体
入居条件 60歳以上でありかつ自立または軽度の要介護状態の方
サービス内容 基本的には介護認定されていない自立した人を対象に、家事手伝いなどのサポートを行いつつスポーツジムなどの設備が充実した環境で日常生活を楽しめる環境を提供

以上の3種類の有料老人ホームは、利用者の身体状態に応じて幅広く対応しているため入居条件やサービス内容の幅が広いのが特徴です。また、初期費用も0円~数千万円と施設によって金額幅が広く、なかには億単位の額を設定しているところもあります。一方、グループホームの入居にかかる初期費用の相場は0円~20万円程度です。施設によっては数百万円かかるところもありますが、有料老人ホームに比べると初期費用に違いがあるといえます。

また、グループホームと有料老人ホームでは、施設の規模の大きさも異なります。最大9名の小規模でアットホームな雰囲気のあるグループホームに比べ、有料老人ホームは定員数100名以上の大規模な施設もあり、自立している方から要介護5の方まで幅広い高齢者が入居しています。

有料老人ホームについて詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

5.グループホームの初期費用・月額費用

グループホームの初期費用・月額費用の目安は以下の通りです。

初期費用 月額費用
グループホーム 0~数百万円 10~30万円

グループホームでは、入居時に初期費用を支払い、入居後に月額費用を支払います。初期費用は施設を利用する権利に対する支払い、あるいは保証金として扱われ、月額費用は介護サービスの自己負担分(1~3割)や家賃、生活費、食費などになります。

費用について詳しくは、次の記事をご覧ください。

6.グループホームへの入居から退去まで

一般的な入居までの流れは、地域包括ケアセンターやケアマネジャーからの紹介と、電話やホームページなどでの情報収集を経て、ご興味のあるグループホームを見学・ご相談の後に、ご契約・ご入居となります。

グループホームの場合、提出書類として認知症の診断書が必要となります。また面談では、他のご利用者と集団生活を営むことができそうか等の判断もされることになります。


入居後、退去を希望する場合は事前に申出を行い(※)、必要に応じて費用の清算を行った後に退去となります。またグループホームの場合、入居したものの集団生活を送ることが難しく、退去するという場合もあります。

入居の詳しい流れについては、こちらをご覧ください。

※事前の申出については施設によって期限(1ヶ月前までなど)が異なる場合があるため、契約時に確認しておきましょう。

7.グループホームの選び方のポイント

入居してから後悔しないよう、グループホームを選ぶ際には以下のようなポイントを確認するようにしましょう。

見学に行き施設の雰囲気を確認する

入居する前に、見学に行きグループホームの雰囲気を確認しましょう。実際に施設に行くことで、ホームページやパンフレットでは分からないことを確認できます。

見学時には、ご利用者の様子や働いているスタッフの動きをチェックしてみましょう。ご利用者が明るい表情をしていたり、スタッフが積極的にご利用者と会話している様子が見られると、丁寧なサービスを受けられるグループホームかもしれません。特に食事やレクリエーションなど比較的人が集まる時間帯は、よりご利用者とスタッフとの関係性が確認できる機会なので見学におすすめです。

初期費用や月額費用を確認する

グループホームごとに初期費用や月額費用が異なってくるので、施設の担当者から説明を聞いて詳しい金額を確認しておきましょう。初期費用や月額費用を確認した後は、現在の貯蓄額や今後の収入を考慮し、予算内に収まるグループホームを選ぶことが大切です。

また、将来的にご利用者の要介護度が変動し月額費用が増額することを見越して、予算ギリギリではなく少し余裕を持っておくことをおすすめします。施設の雰囲気やサービス内容が充実しているということだけで選ばず、経済的に無理なく入居できるよう費用面もしっかり確認しておきましょう。

ショートステイを利用する

ショートステイを利用することもおすすめです。グループホームでは、最大30日間のショートステイが利用できます。ショートステイを利用すれば、実際にグループホームで生活をして、施設の雰囲気や住環境を肌で感じることでき、他のご利用者と交流を図ることもできます。入居後に後悔しないためにも、ショートステイを利用してグループホームでの生活を体験してみることをおすすめします。

なお、ショートステイは介護サービスの一環として利用することになるので、担当のケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。興味があれば相談してみましょう。

8.認知症ケアが充実しているグループホーム

今回は、グループホームの特徴や選び方のポイントなどをお伝えしました。

グループホームは、認知症ケアを熟知したスタッフのサポートを受けながら、ご利用者の状態やご希望に合わせた家事などの役割分担やレクリエーション活動を通して、一人ひとりに適した生活をしていただき、認知症の症状を穏やかにすることを目指しています。グループホームは、認知症の方はもちろん、ご家族にとっても大きな支えとなるので、ご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

SOMPOケアでは、グループホームをはじめ、さまざまな高齢者向け住まいを運営しています。これまでの経験を踏まえ、最適なご案内をさせていただきますので、介護施設に関してお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

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