介護のヒント|話し手:坂本 裕孝(損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社)介護に備えるお金の話は、人生そのもののお話です

お金

近年、日本人の平均寿命は男性80才、女性87才(※1)に達し、世界でもトップレベルの長寿国となりました。一方で、健康に問題がない状態で日常生活を送れる「健康寿命」は、実際の寿命よりも10年前後短く、身体が弱り始めたときの備えが重要です。
長寿の時代だからこそ、前向きに考えたい老後の備え。「人生のお金」に精通したSOMPOホールディングスグループのライフカウンセラー、坂本がお話しします。

※1『平成28年 簡易生命表』(厚生労働省)より

坂本 裕孝損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社 池袋LC支社

ライフカウンセラー。2007年入社。世界の生命保険営業職のトップメンバーで構成されるMDRT会員に8年連続で登録され、お客さまからの信頼も篤い。本人曰く「ライフカウンセラーとは、人生にかかわるお金のことすべてのご相談役」。お客さま一人ひとりの人生に寄り添い、サポートする保険の仕事が、子どもたちの「将来なりたい職業」の上位になってほしいという思いのもと、日々邁進している。

介護の「備え」を考えよう

長寿時代になり、老後の暮らし方や、そのための備えに対する考え方も変わってきているのでしょうか?
そうですね。住宅資金、教育資金、資産形成などの人生を豊かにするためのお金のお話のほか、介護の備えについても、普通に語るべき時代が来たと感じています。
医療と介護も、年金や資産形成と並んで重要なテーマです。医療に関して病気やケガの備えをしている方は多いのですが、介護の備えとなると、漠然として手つかずの方が多いのが現状です。私自身、保険を通して人生設計全体のご相談に乗ることが多い中、2年ほど前からライフプランについてのセミナーも開催するようになりました。その中で、介護施設の見学ツアーを行うこともあります。介護の場を体感することは、より具体的に、前向きに、老後の暮らし方を考えるきっかけになるようです。
介護への備えというと、「公的介護保険があるから大丈夫」と思ってしまうのですが。
確かに公的介護保険は、心強い味方です。ケースバイケースではありますが、お身体の状態によっては、受けたいサービスを積み上げていくと、公的介護保険の支給限度額内に収まらないこともあります。
公的介護保険だけで、備えは万全とは言い切れない…?
備えの全てにはならない可能性があります。実は、介護サービスを実際に利用している人は、意外と少ないのです。それは、なぜか。介護保険制度では、かかった費用の1割(※2)が自己負担になるのですが、その金額を払うことも厳しい状況があるからです。
仕事を引退して年金支給があるとしても、そこから税金や社会保険料、生活費が差し引かれます。さらに、孫にお小遣いも渡したいし、趣味や旅行にもお金を使いたいし…となると、家計はマイナスになることも。60歳以上の無職者世帯(2人以上の世帯)の平均収支は約6万円の赤字(※3)という調査報告もあります。こうした現状を考えると、これからは、介護も見据えた備えが、欠かせません。

※2 65歳以上については、所得金額等によって自己負担割合が2割となる場合があります。
※3 『平成28年 家計調査年報』(総務省統計局)より

必要なのは、人生の収支バランス

「介護の備え」として、いつまでにいくらくらい準備すればよいのでしょうか?
まずは、介護のことだけではなく、「どのような人生を送りたいか」という、人生全体をイメージすることが大切です。何歳まで働くのか、子供にどのくらいの教育費が必要なのか、家は買うのか借りるのか、車を持つのか、いつから年金生活に入るのか、老後はどこでだれと暮らしたいのか……。将来の家族、生活をできるだけ具体的にイメージすることから始めましょう。それに合わせて、年齢を経るごとに変化する収入と支出を大まかに把握します。その上で、不足する分をどのように補うのか、対策を立てることになります。貯蓄か、保険か、家を担保にするか、など、方法はさまざまです。
ただ、自分たちの理想の生き方は描けても、お金の収支を予測するのは難しいですよね。そこで頼っていただきたいのが、我々ライフカウンセラーやファイナンシャル・プランナーなど、人生の資金計画に精通した専門家です。
エピソード:住宅ローンの借り換えがきっかけに
資産形成セミナーに参加したAさま(40代)。目下の悩みは「住宅ローンを借り換えるべきか?」。セミナー後の個別相談では、「娘の教育費もまだまだかかるし、数年後には車も買い替えたい」というプランも見えてきました。さらに、「最近、自分の親が介護施設に入居したが、月25万~30万円かかるらしい。自分たちがこの先、要介護になったとしたら、そんなお金はどこから捻出できるのだろう? 退職金や年金を充てれば大丈夫だろうか。家を担保にして資金調達しないといけないのだろうか?」と、新たな心配も。そこでAさまのライフプランに沿って、収支を計算してみることに。結果、Aさまは金利の低い住宅ローンへの借り換えを決断。浮いたお金で、保険料が月5000円弱の保険に加入し、将来もらえる一時金を老後資金の一部にあてることにしました。人生全体にかかるお金を見通すことで、支出のムダを改善し、老後の備えへの不安も軽減しました。

親と介護の話ができない。そんなときは?

老親の暮らしを心配する熟年世代も増えています。しかし、お金がからむ話だけに、親子での話し合いがしづらいご家庭も多いようです。
親御さんの暮らしや介護費用を心配されるのはもっともですね。しかし、お金の話は繊細なこと。ましてや、ご本人が元気なうちから、介護や相続などの話となると、「話題にしづらい」「親が聞く耳をもたない」という声はよく聞きます。
そんなときは、ライフカウンセラーや税理士、弁護士など、専門家の力を借りて、家族の話し合いに加わってもらうのがおすすめです。自分のことを言うわけではありませんが(笑)、現在入られている保険の担当者に相談してみるのもいいと思います。第三者の視点で論理的に意見を述べることで、親御さんも話を受け入れやすくなるようです。
専門家を呼ぶのが難しい場合は?
「老後の資産形成」「高齢者の医療と介護」「年金」などのテーマで開催されているセミナーや、介護施設の見学会に親子で参加してみるのもいいでしょう。自治体や介護事業会社、保険会社などがよく開催しているので、情報を集めてみてください。セミナーや見学会が、老後の暮らし方を具体的に話すきっかけになることもあります。
加齢とともに必要になるサービスやサポートをうまく利用することで、「こうありたい」と考える老後の暮らしに、より近づけることが可能です。元気なうちだからこそ、老後の生き方を考える前向きな話として、「介護」も話題にしてください。そのための備えは、始まりが早ければ早いほど、人生の選択肢も広がります。
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