介護のヒント|話し手:増岡雅博(SOMPOケア)介護と医療。そのちがいと上手な連携

医療

体の具合が悪くなると、病院に行きます。一方、体が不自由になると介護サービスを受けます。なんとなく同じカテゴリのようですが、医療と介護には、実は大きなちがいがあります。
医療が目指すのは「病気やケガを治すこと」。一方、介護が目指すのは「希望する生活が送れるようになること」です。介護では、本人の人生観や生活への希望が最優先。そのために必要な医療を上手に選択する視点が求められます。介護はいわば、充実した人生を送るための手段。介護と医療との上手な付き合い方を、SOMPOケアの増岡がお話しします。

増岡雅博SOMPOケア 教育研修部介護支援課 リーダー

大学で法学を専攻するものの、祖母と暮らした経験から介護職を志す。2004年に入社後、ケアスタッフ、ホーム長、エリアマネジャーなど、さまざまな立場から介護の現場を経験。現在は、現場からの要請に応じて、対応困難な事態の問題解決にあたる教育チームに所属。関西~四国エリアを中心に日々飛び回っている。

介護に必要なのは「気づける目」

高齢者の心や体の不調。原因も対処法も分からない…そんなとき、どうすればよいのでしょうか。
私たちがご利用者さまのケアプランを考えるとき、一番大切にするのは、ご本人が「どんな生活や人生を送りたいと望んでいるか」ということです。そして、希望される生活に支障が生じていれば、それがケアで取り除けるものなのか、もしくは医療の助けを借りなければいけないのか、見極めていきます。
ご利用者さまの困りごとを解決に導くためには、変化を敏感に察知する「気づける目」を持つことが必要です。ときに、思いもよらない原因が隠れていることもありますが、問題の本質に気づくことができたら、ケアマネジャーや医師が対策を講じることができるようになります。
エピソード:解決法は耳そうじ?
Aさまのお父さまは、最近、家族との会話がめっきり減り、食欲もない様子。外出も減り、お部屋で寝ていることが多くなりました。また、約束を忘れることも見られ始め、Aさまは「父が認知症を発症したのではないか?」と心配していました。「耳が聞こえづらいことも関係しているのでは?」と考えたケアマネジャーが、耳鼻科の受診をおすすめしました。すると、耳垢が詰まっていることが判明。医師に耳垢を取り除いてもらってからは、家族とのおしゃべりを楽しむ元気な姿が戻りました。Aさまが心配していた認知症のような症状は、単に聞こえ辛さから生じていただけであったことがわかり、Aさまは安心しました。
エピソード:照明が解決に導く?
入居者のBさま。ある時から食欲が落ち、外出も控えるように…。ケアスタッフがケアマネジャーに報告し、変化を探ってみると、目が見えづらくなってきたという情報が。そこで、食卓の電気を明るくしてみました。すると、以前のようにお召し上がりになり、表情も明るくなりました。見えないことが、食欲や気持ちに影響していたのです。その後、眼科へ受診したところ遠視の悪化が判明。Bさまに合った眼鏡を作り直したことで、再び外出されるようになり、お元気なBさまを取り戻しました。

「老化現象」と「病気」、どうちがう?

老化による心身の衰えと、病気による症状は、どう見分けたらよいのでしょうか。
老化による衰えは誰にでも訪れ、それは少しずつ現れます。それに対し、病気は急激な変化として現れます。そこを間違わずに見極めることが、医療と上手に付き合う最初のポイントと言えます。
老化でよく見られるのは、筋力の衰え、心肺機能の低下、脳機能の衰えなどです。階段を上ると息切れするようになったり、走ることがしんどくなってきたりというのは、代表的な老化現象です。物事を思い出しにくくなるのも老化現象のひとつでしょう。こうした現象に必要なのは、医療による治療ではなく、適切なケアを含めた介護(自立支援)です。
反対に、病気やケガが原因で老化のような現象や、日常生活への支障が生じることも。そうした場合は、適切な治療で以前の生活を取り戻せる可能性があります。この場合、「歳だから仕方が無い」と決めつけられてしまって、適切な治療が受けられないことのないよう、見極めることが大切なのです。
エピソード:失禁の原因はひざの痛み
最近、失禁を繰り返すようになったCさま。娘さんは「老化のせいだから仕方ないわね」と諦めていましたが、ケアスタッフが注意深く観察した結果、ひざに痛みがあることがわかりました。アドバイスを受けたCさまは早速病院を受診。その結果ひざに水がたまっていることが判明しました。失禁の原因は、足の痛みでトイレに間に合わなかったことだったのです。治療後、Cさまは以前のようにご自分でトイレを済ませることができるようになりました。
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