介護のヒント|話し手:伊藤百子(SOMPOケア)「住まい」とは、その人らしく生きられる場所のこと

「住まい」とは、どんな場所でしょう。だれにも遠慮せずに過ごせる自由な空間。自分らしくいられる場所。そして、使い慣れた道具や家具、あるいはなじみの人に囲まれた、安心できる場所。それが「住まい」の原点です。高齢者にとっての住まいも同じです。自宅にせよ、サービス付き高齢者住宅にせよ、有料老人ホームにせよ、どのような住まいの形でも、その原点は変わりません。
高齢者の住まいについて、ケアマネジャーとして在宅介護を支える伊藤がお話しします。

伊藤百子
SOMPOケア株式会社
SOMPOケア 秋田仁井田 居宅介護支援 管理者・主任介護支援専門員

ケアマネジャー。2006年入社。在宅介護の相談業務、事務所の管理業務を行うかたわら、東北エリアのケアマネジャー約60人の育成も担当。地域に根ざした介護を実践し、奮闘する毎日。医師や看護師、ヘルパーなどが集う多職種連携研究会を主宰し、地域活動も精力的に行っている。

高齢期になってぶつかる「住まい」の悩み

長年住んでいる自宅でも、加齢とともに不便に感じることが増えてくるようですが。
住み慣れた我が家でも、高齢期になると少しずつ不便を感じることが増えてくるようです。代表的なのが、足腰の衰えからくる、「段差」の問題。玄関や居室のちょっとした高低差や、階段の上り下りが大変になり、つまずきや転倒の原因になります。また、ひざが悪くなると正座がつらくなり、和室よりも洋室の生活のほうがラクになることもあります。
視力の低下に伴う不便も生じます。視界が暗く感じられ、今までつまずかなかったところでつまずく。視野が狭くなり、今までぶつからなかった家具にぶつかる。そんな理由から、部屋を移動するのもおっくうになることもあるようです。
不便や危険が増えてくると、施設への住み替えを考える人もいますね。
「もうこの家には住めない?」「そろそろ高齢者向け住宅?」と、考え始める方は多いでしょう。しかし、すぐにあきらめる必要はありません。工夫次第で、安心・安全に自宅で暮らし続けることは可能なんです。「自宅で住み続けられる可能性」を検討するときに頼りにしていただきたいのが、ケアマネジャーです。
そうしたご相談を受けたとき、私たちケアマネジャーは、まずご本人のお話を丁寧にうかがうことから始めます。1日をどのように過ごす習慣があるのか、困っている日常の動作は何か、どんなところに不安を感じているか、などを事細かに確認させていただきます。そして、その情報に基づき、作業療法士や福祉用具専門相談員など各分野の専門家とチームを組み、ご本人とご家族の不安を一つずつ解消していきます。

すぐできる!安全な暮らしのための9つのアイデア

安心安全に暮らすために、日常の困りごとを解消するアイデアをご紹介します。

困りごと⒈ 台所の流しがこれまでより高く感じて、疲れる。
休めるようにイスを置きます。「台所は立ち仕事」というイメージにとらわれず、座ってできる作業は座ってしましょう。スツールなど小型のイスを置いておくと便利です。
困りごと⒉ 浴槽が深く感じるようになって怖い
浴槽脇に手すりやステップを設置しましょう。手すりは工事で壁に取り付けるものもありますが、工事の必要がない浴槽に固定するタイプのものもあります。ステップは専用ステップを利用しても良いですし、シャワーチェアを浴槽脇に置いて、すわった姿勢から浴槽に入る方法も。さらに、浴槽内に滑り止めマットを敷くと、安心して入浴できます。
困りごと⒊ ちょっとした段差にもつまずくので、隣の部屋にある仏壇まで行けなくなった
上がり框に手すりをつけてみましょう。手すりの設置場所は壁際だけとは限りません。部屋の中央でも、必要に応じて取り付けられます。段差は、手すりを使ってゆっくり越えるようにしましょう。安定したイスを、手すり代わりに使用しても良いでしょう。
困りごと⒋ 床を這わせたコンセントのコードにつまずくようになった
コードをじゅうたんの下に隠して、フラットな床にしましょう。
困りごと⒌ 室温の差を感じやすくなり、畳の部屋が寒い
カーペットを敷くのがおすすめです。その場合、カーペット自体が滑らないように、滑り止めマットを使用して。また、カーペットの縁につまずかないよう、端を鋲でしっかり止めましょう。ホットカーペットを利用する場合は、縁がめくれてつまずかないように、床全体を覆うものが安心です。
困りごと6.視力の低下で廊下が暗くなり、トイレに行きづらい
センサーライトを設置して足元を照らしてみましょう。センサーライトは人や暗さに反応して光るライト。最近は100円ショップなどでも販売しています。廊下の壁などに取り付けましょう。
困りごと⒎ 廊下の幅が広く感じ、ふらついて転びやすい
廊下の途中に安定したイスを置いて、手すり代わりにするだけでも、かなりラクになります。さらに足腰の状態が悪化した場合は、廊下全体に手すりをつけることも検討してみましょう。
困りごと⒏ タンスの下の引き出しを開けるのがつらい
よく使う必要な物は、取り出しやすい段にまとめましょう。「使いづらい段は使わない」と割り切ることも大切です。
困りごと⒐ 鍋焦がしが怖くて料理ができない
安全装置のついたガスコンロに変えましょう。火を使わない電磁調理器(IHクッキングヒーター)や電気調理器に変えるという方法もありますが、使い方に慣れるまでかなり苦労することもあるので要注意です。最近は調理油過熱防止機能、消し忘れ消火機能などがついたコンロもあります。
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